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「キミはねあと10日で死んじゃうよ」
「……へっ?」
間抜けな僕の声が通学路の奥へ消えて行く――
■■
疲れた。頭を使いすぎた。
周りのクラスメイトたちも各々帰る準備やら放課後何するかとかわーわー騒いでいる。五月蝿い。しかし僕には無関係である。仏頂面で教室を出ていき、帰路へとつく。
夕日が僕を嫌なほど照らし、空は僕を嘲笑うほど美しかった。
生きるのも面倒。話すのも距離を縮めるのも面倒。早く死にたい。僕が死んでも何も変わらない――
そう小説じみたことを思っていると、突然激しい目眩が僕を襲った。
「……っ」
視界が揺れる。頭がぐらぐらする。
その時だった。
「ねぇ」
声が聞こえた。
はっとして振り向いても誰もいない。
「前を向いてごらん」
前?
前を向けばそこには少女がいた。
しかしただの少女ではなかった。頭には光輪が光り、背中には立派な翼が見えていた。
て、天使か……?誰だこいつ……?色々な考えが頭をよぎる。
「キミの名前は何かな?」
名前を聞かれた。はっと我に返り、しばらく思考が停止していた頭が冴える。
「あっ……えっえーと…」
「ふふ名前わかんないの?」
「あっえっえーと、な、七島藍人……」
「ふーんナナシマアイトくんねー……」
ちょっと片言可愛い。
「んじゃ呼ぶの面倒だから少年でいーや」
僕が名前言った意味とは。
「えっいや僕の名前……」
んー?と間延びした声をあげて少女はこちらをまじまじと見る。
「あっそーだ言ってなかったね私は天使のアリア。よろしくね少年」
「よっよろしくアリアちゃん……」
自己紹介かっると思いながらこちらも宜しくする。
「ノンノン。私のことは呼び捨てでOKよ」
「お、おう……」
急に馴れ馴れしくなったなこの天使。
「ということで、少年には話さなければいけないことがある」
いきなり神妙な顔をしてアリアは話しかける。
「何ですか…」
また間抜けなことを言うのか。と思いつつ、アリアの話に耳を傾ける。
夕日が僕らを照らす。夕の光がアリアの天使の輪に反射して更に美しくなる。
「キミはねあと10日で死んじゃうよ」
「……へっ?」
間抜けな僕の声が通学路の奥へ消えて行く。
これが僕と天使アリアとの出会いだった。