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第14話:「山本蓮が語る最後の夜」
【“最終スピーカー:山本蓮”】
【まさかの本人登場かよ】
【これで終わるってこと?】
【一番怖い人来た】
【やっぱ全部知ってたんだろ】
闇の中に、一人の男の姿が浮かび上がる。
山本蓮――その口元には、いつもの柔らかな笑みが浮かんでいた。
「こんばんは。……ようやく、この番が来ました」
モニター越しでも伝わる、ぞっとするほどの静けさ。
彼はまるで芝居のように、滑らかに語り出す。
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「僕がこのチャンネルを構想したのは、七年前のことです。
きっかけは一つの“匿名告発”でした。
“殺人を隠蔽した有名企業の内部関係者がいる”――
それが、田中蒼の勤務先でした」
蓮は、淡々と話す。
「告発内容を精査するうちに、あることに気づきました。
“この事件、蒼くんは被害者じゃない。彼は、捨て駒にされたんだ”」
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「小林悠斗。
彼は会社と取引を持つブローカーの息子でした。
内部資料を流す代わりに、借金帳消しの契約を交わしていた」
「加藤翔。
一見穏やかに見える彼も、妹の医療費を理由に情報売買に関与していた。
……“正義のための嘘”だったと彼は言っていましたが、
それが蒼くんを追い込む引き金になったことに変わりはありません」
「伊藤悠真。
彼はもはや“教育者”ではなかった。
ある人物の命令で動いていた。
そう――“斎藤海翔”。暴力団関係者で、表では投資顧問を装っていた男です」
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「じゃあ、なぜ僕が蒼くんに近づいたのか?
彼に復讐の機会を与えるためです。
そして、すべてを暴く“舞台”を整えるため。
この【告白ノ間】は、“実験”であり、“罰”でもある」
一瞬、蓮の声が低くなる。
「そしてもう一つ――
僕には、蒼くんにどうしても見せたかった“映像”があるんです」
画面が切り替わる。
そこに映っていたのは、村瀬美月。
死の前日、自室で残した動画だった。
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「蒼、もしこの映像を見ているなら、私はもういないんだと思う。
……怖いよ。でも、あの夜のことを、私は言わなきゃいけないと思うの。
屋上にいたのは、“あの人”だった。
あなたが信じている“友達”――」
映像が途切れる。
蓮が静かにモニターを見つめる。
「……その続きを、今日語ってもらいましょう。
“あの人”には、すでに招待状を送ってあります。
この配信の特別ルームへと」
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「次回、“真相法廷”を開きます。
小林悠斗、加藤翔、伊藤悠真――
あなたたちは、村瀬美月の死に関わった“疑いのある者”として招かれます」
「もちろん、話すかどうかは自由。
でも……黙っていれば、“視聴者”が裁くだけです」
チャット欄が騒然とする中、蓮は最後に一言だけ付け加える。
「沈黙の代償を、今こそ払ってもらいましょう」