コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ここは、人間とヴァンパイアが共存する世界。
人間とヴァンパイアが共存なんてできるわけが無いそう思う人もいるだろう。実際この世にも沢山いる。
そのため、人間とヴァンパイアで分けられた街と人間とヴァンパイアが共存できる街がある。つまり世界が3つにわけられている。僕はと言うと、人間とヴァンパイアが共存する世界にいる。僕のいる世界は、たまに人間を狙うヴァンパイアが出るため夜8時以降外を出歩くのはあまりおすすめされない。
その悪いヴァンパイアに出会ってしまうから。
(で、出会ってしまった…)
僕は、咄嗟に逃げようと後ろを振り向き走ろうとするが先程まで僕の目の前に居たはずヴァンパイアが僕の行く道をを塞ぐ。
その後、壁へと追いやられ顔をあげられる。
怯える僕を見て楽しんでいるのか、にやにやしているヴァンパイア。
「血、吸ってもいい?」
全体的に黒い服装に青髪の青年にそう言われる。僕は必死に首を振るが初めから血を吸うつもりだったようで、僕の首筋に牙をたて血を吸われる。
「んぅ……もッ…やめッッ……」
初めての血を吸われるという感覚に、ついそんな声がもれる。しばらくすると、満足したのか口を離し顔をあげるヴァンパイア。
僕と目が合ったので僕は「契約てない人の血を吸うのは規約違反…ですよ」と言うとヴァンパイアはにやっと笑い「味見は大事だよ」と言った。
「それじゃあ、またよろしくね♡」
ヴァンパイアはそう言うとどこかに去っていった。僕は最後の言葉がどういう意味なんだろうと思いながら、これ以上外にいては危ないと思い急いで家へと向かった。
「ただいまー」
「るぅと!おかえりなさい!怪我は?!ヴァンパイアには出会わなかった?!」
家に帰るとすぐに、お母さんとお父さんが駆けつけ僕に問いかける。
「うん。ごめんね?大丈夫だよ。少し学校で残ってたら遅くなっちゃった」
2人を安心させるためにそう言うと2人はほっとしたのか「よかった…」と胸を撫で下ろしていた。
きっと本当の事を話してしまえば、2人とも心配性なので学校に行かなくていいと言われると思い言わなかった。
ご飯やお風呂を済ませ部屋でくつろいでいる時、ふとヴァンパイアが言っていた『またよろしくね』はどう意味だったのか考えていた。
恐らく、あの流れからにしてはまた血を吸わせてねという意味だろう。
だが、僕がもうあの時間に外を歩かなければもう出会うことはないだろう。
万が一出会ったら次はどうやって逃げるのかそんなことを考えていた。
人間とヴァンパイアでは天と地ほどの差がある。ヴァンパイアは運動能力が高い。そのため人がヴァンパイアから逃げるというのはほぼ不可能に近い。
だか、そもそも夜に外を出歩かなければいい話だと思い僕は眠りについた。
✘✘✘
昨日、街で出会った黄色い青年。
その青年の血を飲むとすごく美味しかった。
ヴァンパイアと人間にはそれぞれ相性というものがある。相性がよければ血が美味しくなり、悪ければ不味くなる。
だから、きっと僕と青年の相性は良い。また、彼の血が飲みたいそう思い彼が帰る時後を追い彼の家を突き止めた。
血が飲みたい時、何時でも彼の家へ行けば血が飲める状況だ。昨晩も飲んだばかりで、彼には申し訳ないが僕は飲みたいので彼の家へお邪魔させてもらう。
不用心にも、彼の部屋の窓は開いており部屋に入るが彼の姿はない。
僕は、彼が戻って来るまで彼の部屋の椅子に座って待つ。
しばらくすると、こちらへ向かってくる足音が聞こえドアがガチャっと音を立てて開いた。
僕が彼の方を振り向くと彼は少し、ビクッとしてドアを閉めた。わざわざ自分で僕と密室の状況を作ったのだ。
「な……なんでいるんですか…?」
少し震えた声で問いかける彼。
「大声、出しますよ?」
大声を出されては困るため、彼の後ろにまわり口を塞ぎ人差し指を口にあてると彼はすんなり黙ってくれた。
まず、仲良くなるためには自己紹介だと思い、僕は軽く挨拶をする。
「僕はころん。よろしくね?」
自己紹介をすると、彼も少し警戒を緩めてくれた。
僕が「君の名前は?」と尋ねると恐る恐る「るぅとです」と教えてくれた。
僕がここに来たのは血を吸うためでもあるが彼、るぅとくんと交渉をしに来た。
「早速だけど…僕と契約しない?」
「無理です」
しばらく彼の返事を待つと、そう返答された。
「無理やり、血を吸ってきたと思ったら今度は勝手に家に入ってる人と契約なんてしません!」
「いや、勝手に血を吸ったのは悪いと思ってるよ!ごめん」
僕は慌てて昨日のことの謝罪をする。
「それだけですか?」
他に何を謝罪をするんだろうと考えると彼は「勝手に家に入ってることは悪いと思わないんですか!?」と殴られた。意外にも彼は暴力的なようだ。
「とにかく!僕は貴方となんて絶対に契約しません!出て行ってください!」
僕もこれでは引き下がれないので、わざと体調の悪いふりをし「血が足りないよ…」と言うと彼は無駄だと言わんばかりに僕を睨んでくる。
「ぐぬぬ……るぅとくんのこと諦めたわけじゃないからね」
引き下がりたくはなかったが、今は何をしても無駄だと思った為僕はそう言って1度引き下がることにした。
数週間後。
「今日は転校生を紹介する。」
僕はその声とともに教室に入った。
「初めまして!蒼月空ころんです!ヴァンパイアです!よろしくお願いします!」
僕は、るぅとくんのいる学校に転校生という形でやってきた。
るぅとくんを見るとうわっという表情でこちらを見ていた。僕は少し、意地悪してやろうと「あ!るぅとくーん!」そう叫ぶと彼は不機嫌そうな顔をしてそっぽを向かれた。
「なんだ、知り合いか。なら黄川が学校案内してやってくれ」
先生がそう言うと彼は更に不機嫌そうな顔をしていた。
昼休み、ほとんどの人がお昼を食べ終わった頃。
「学校案内しなくていいんですか?」
横からそう言ってきた彼。どうやらあれほどまでに不機嫌そうだった彼は学校案内をしてくれるようで「ありがとう!よろしく」と返すとさっさと歩いて行ってしまった。
急いで彼の後を追いかけると、るぅとくんはテキパキと学校の案内をしてくれた。
その間、るぅとくんは全く僕の名前を呼んでくれなかったので「名前で呼んでよ」と言うと彼は「嫌です」と即答された。
「じゃあ無理やり血、吸っちゃおっかなー」
少し脅し気味に言うと「ころん…さん?」と返された。
少し距離を感じたので「ころちゃんがいい!」と返すと彼はまた嫌そうな顔をした。
「血、吸うよ?」
「こ…ころ……ちゃん?」
よっぽど僕に血を吸われたくないのか、素直に従ってくれるるぅとくんににやにやしながら教室に戻ろうと促すと「気持ち悪いですよ」なんて言われ僕の、良かった気分は一気に下がってしまった。
✘✘✘
あれから数週間。
あの、高すぎた警戒心も無くなり今では一緒に帰ったり遊ぶ仲になった。そろそろ僕と契約してくれてもいいと思うのだが、なかなか契約してくれようとはしない。
血も吸わせてくれないため、最近はずっとあの不味い血液パックを飲んでいる。本当は人の血が飲みたいから、るぅとくんと出逢う前にしていたようにそこら辺の人達の血を飲みたい。
僕が、人の血を吸わなくなった理由は転校してから2日目のこと。
るぅとくんにまとわりついて「血吸わせてよ」とずっと言っていたがわかっての通り血を吸わせてくれなかった。
その時は、今まで通りその辺にいる人の血を吸って過ごしていた。
だが、3日目の日。
また、るぅとくんにまとわりついていた時彼から「まとわりついてこないでください」と言われた。
僕はそれは無理だったため「なんでダメなの?」と聞くとるぅとくんは「人の血を吸って生きてるような人と一緒に歩きたくはないです」と言われたことがきっかけだった。
だから、僕はその時以来人の血を吸うのは辞めるぅとくんにまとわりつく日々を送っている。
「ころちゃん?帰りますよ」
気がつくとるぅとくんは僕の目の前で顔を覗かせていた。
「置いて帰っていいんですか?」
僕が何も返さないでいると、顔をむっとさせて続けてそんな事を言う。
「ごめんごめん。帰ろ」
少し笑いながら言うと「何笑ってるんですか」と突っ込まれる。
僕は曖昧に返しながら席をたち、教室を後にする。
「ねえ、そろそろ契約してくれて良くない?」
帰り道、るぅとくんに文句のように言う。
「自分のメリットしか考えてないじゃないですか」
「別にメリットなんて」
「じゃあ!なんで契約して欲しい理由が、血が美味しいからなんですか!?」
僕が言いかけた言葉に、重ねて言うるぅとくん。確かに、1度理由を聞かれた時るぅとくんの血が美味しいからと答えた。
僕の友達のヴァンパイアは、その人間のことが好きだから契約していた。
大抵のヴァンパイアはお互いが、好き同士なら契約をするらしい。
だが、僕は好きとかよく分からないため自分のメリットだけで動こうとしたがそれは彼にとっては不満だったらしい。
「てか、普通は好きだから契約するものなんじゃないんですか?」
「うーん、まあ大体はそうだけど…。どうせなら相性がいい人と契約したいじゃん?」
「なんか、嫌です」
「てか、2日か3日に1回血をくれるだけでいいんだよ?」
「嫌です」
「なんで即答するの?」
るぅとくんは、僕のことを睨んだ後そっぽを向いて歩き出した。
「惚れさせればいいんでしょ?」
僕は勝手に、るぅとくんが惚れれば契約してくれるのだと解釈をしてるぅとくんを僕に惚れさせることにした。
✘✘✘
ころちゃんが転校してきてから、数週間。
ころちゃんがそこまで、悪い人ではないと言うことは分かったがずっと契約をしろも迫られる日々。そもそも、はじめて出会ったときに、血を吸ってきた相手を悪い人ではないと言ってもいいのか曖昧ではあるが。
僕は、ころちゃんと契約するつもりはないので断っているが、彼は諦めが悪いようで何度も諦めずに聞いてくる。
そんな、諦めないところがこういう所になければいいなと思わなくもない…。
だが、初めはずっと契約を持ちかけてきていたがここ数日は契約を持ちかけてこなくなった。逆に、何か守ってくれているような気もしなくもない。例えば…。
「るぅとくん!先生がクラス全員分のノート回収して職員室まで運んでだって」
「あ、分かりました!」
僕が先生に頼まれたので、回収して職員室まで運ぶ途中ころちゃんと出会うと「るぅとくんそれ持ってあげる」と今までであれば、ありえないことをするようになった。
そんな妙な行動も日常生活へと変わった頃。
「ころちゃん、急に優しくなってどうしたんですか?」
「は?!急じゃないだろ」
僕は、ふと思い浮かんだ疑問をころちゃんに投げかけていた。
「いや、だって初めはただ契約迫ってくる変な人だったじゃないですか」
「え、変な人?!」
ころちゃんは少し、びっくりしたような表情で聞き返されたので僕は頷くと「マジか…」と項垂れていた。
「僕もるぅとくんに聞きたいことあるんだけどいい?」
「…?いいですよ」
ころちゃんはその聞きたいことが、言いにくいのか僕が返事をしてから数秒の沈黙が流れた。
そして、沈黙の中ころちゃんが口を開いた。
「るぅとくんはさ…ヴァンパイア怖くないの?あ、ほらはじめこそは怯えてたけど2回目からあんまり怯えてないというか…いや、少し怯えてたけどそんなに怯えなかったからさ」
ヴァンパイアだとはっきりわかった人はころちゃんが初めてだった。ここは、ヴァンパイアの学校と人間の学校が別れている学校が多く、僕の学校はヴァンパイアも人間も入学できる学校だがヴァンパイアがいるということは聞いたことがなかった。
「初めは、凄く怖かったですよ。でも、ヴァンパイアも普通の人間のと同じなんだなって分かったのであまり怖くないですよ」
僕が答えると「そっか」と少しほっとしたような、優しい顔をしていた。
そんな表情に、胸がドキドキと音をたてる。
(なんでこんなにドキドキしてるんだろう…)
「るぅとくん?どうかした?」
僕が、ずっと立ち止まった間までいるのが不思議だったのか顔を覗き込むころちゃん。
「へっ!?いや、!なっ、なんでもないですっ!」
僕は焦ってそう返すと不思議そうな顔を浮かべたが、直ぐにいつもの表情に戻り「早く帰ろ!」と言う彼に僕は「はい」と頷き一緒に帰った。
✘✘✘
最近、るぅとくんの挙動がおかしくなった気がする。僕が少し話しかけただけで、少し顔を赤くして焦ったように返事を返してくる。
特に何かしてしまった自覚もないため、僕の親友恋愛マスターのさとみくんに相談することにした。
「ふーん。それで俺のところに来たんだ?」
今までの出来事を彼に話すとそんな、言葉が返ってきた。
「で?ころんはその…るぅと?ってやつのこと好きじゃないの?」
さとみくんは、ニヤニヤしながら僕に聞いてくるが好きなどよく分からないため曖昧な返事をする。
「好きとかよくわかんないし。」
「ふーん?じゃあ、俺が恋とは何か教えてやるよ」
少し、ドヤ顔をして言うさとみくん。
僕も恋がなんなのか知りたいため、普段役に立つことを言った試しがないが真剣に聞くことにした。
「恋とは、気づいたらその人の事を目で追っていて気づいたらそいつの事を考えて、一緒にいるとドキドキする…みたいな感じ?」
「ほー…」
るぅとくんといる時そんなことがあったかと思い浮かべると、確かにあった。
常にるぅとくんのことを目で追っていて、気づいたらるぅとくんのことを考えている。
「ころんはるぅとのこと好きじゃないの?」
「多分…好き」
「だったら告白すれば?」
「え!?」
予想外すぎた彼の言葉に、思わずそんな声がもれる。
「いや、だってさ告白する方がスッキリするよ?あ、それともころんにはそんな勇気ないか」
少し、煽りのような言い方をする彼に僕はムキになり「いいよ!告白してやるよ」と返すと「そのいきそのいき」と陽気な声が聞こえたが僕は無視して、立ち去った。
「絶対上手くいくから。がんばれよ」
そんなさとみくんの声は、僕には届かなかった。
さとみくんと、話してから数日。
僕はるぅとくんに告白をしようと、るぅとくんを屋上に呼び出していた。
約束の時間の10分前。
僕が心を落ち着かせるための深呼吸をしている時、彼は来た。
「お待たせしました。どうしたんですか?」
「あ、る、るぅとくん…」
るぅとくんは僕の方へ歩み寄ると、僕が言い出すのを静かに待ってくれた。
「る、るぅとくんのことが好きです!付き合ってください!」
るぅとくんは、目を見開き驚いたような顔をして次に目に涙をためて「よろしくお願いします」と返してくれた。
僕は信じられなくて何度か本当か確かめたが、彼はずっと頷いてくれたので本当なのだと思いうれしくなり力いっぱいに抱きしめると「ころちゃん、苦しいです」と言われた。
「るぅとくん、改めて僕と契約してくれますか?」
「~~っ…はい」
「ありがとう!」
僕はるぅとくんの返事を聞き、るぅとくんと契約を交わした。るぅとくんの首筋には、僕色の青い紋章が浮き出ていた。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
なんか、短編集にあがってる前編の終わり方変ってことにこれ読んでて気づきました
♡沢山ください