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餅千 @ 別 后 。
会議はまだ続いていた。らんはスマホのメモ帳を見ながら、さっき聞いたことを整理しようとしていた。曲、振付、スタッフの名前、筋トレ、ダイエット。覚えることが多すぎて、頭がじんわり熱くなってくる。しかも横では、こさめがずっと腕に抱きついたままだった。
肩に顔を埋めてきたり、腕をぎゅっと抱きしめたり、とにかく離れない。らんはメモを取る手を止めないようにしながら、少しだけ困った顔をしていた。
「……こさめ」
「んー?」
「ちょっと離れて」
こさめは顔を上げて、らんを見た。
「やだ」
即答だった。
そしてさらにぎゅっと抱きつく。
「らんくん逃げそうだし」
「逃げない」
「ほんと?」
「ほんと」
それでもこさめは離れない。むしろさらに距離が近くなった。
メンバーたちは最初こそ驚いていたが、もう慣れたのか普通に会議を続けている。
らんは少しだけ助けを求めるように周りを見た。
そして、近くにいたいるまに目が合う。
(……助けて)
目で訴える。
いるまはその視線に気づいて、にやっと笑った。
(無理)
そんな顔だった。
らんは小さくため息をつく。
それでも諦めきれず、そっと体を動かしているまの方へ少し寄った。
そして、助けを求めるようにいるまの肩に手を置いた。
その瞬間だった。
「らんくんが浮気したぁああ!!」
こさめが突然叫んだ。
部屋が一瞬で静まり返る。
「え!?」
「なに!?」
メンバーたちが一斉に振り向いた。
こさめはらんの腕を掴みながら、完全にショックを受けた顔をしている。
「らんくんが!!」
「いるまくんに触った!!」
いるまは一瞬ぽかんとしたあと、吹き出した。
「いやいやいや!!」
すちも爆笑している。
「それ浮気判定なの!?」
らんは完全に慌てていた。
「ち、違う!!」
こさめはらんの腕にしがみつく。
「違わない!!」
「肩触ってた!!」
「助け求めただけ!!」
らんが必死に言うと、いるまは肩をすくめながら笑った。
「知らねーよ」
「お前の嫁だろ」
その言葉に、メンバーたちがまた笑い出す。
こさめはじっとらんを見た。
「……ほんとに?」
少しだけ不安そうな声だった。
らんは慌てて頷く。
「ほんと」
「浮気じゃない?」
「違う」
こさめは数秒らんの顔を見つめていた。
そして、突然。
ぎゅうううっと強く抱きついた。
「よかったぁああ…」
らんは少しよろける。
「ちょ、こさめ」
こさめはらんの胸に顔を埋めていた。
「らんくん取られるかと思った…」
いるまが横で呆れたように笑う。
「重いなこいつ」
すちは机を叩きながら笑っている。
「会議進まねぇって!」
こさめは顔を上げると、らんをじっと見た。
そして、当然のように言った。
「らんくん」
「なに」
「いるまくん触っちゃだめ」
「なんで」
「浮気になるから」
らんは完全に言葉を失った。
メンバーたちはまた爆笑していた。
コメント
2件
大好きです続き楽しみにしてます!> <
