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兄様の背中が大好きだった
大きくて優しい
冷酷で残酷な人だなんて言われているけれど
僕は知ってるよ
兄様は誰よりも強いこと
兄様は誰より優しいこと
兄様は誰より暖かいこと
兄様は僕の自慢
だってね
罪人 お許しくださいッ”
黒 殺せ
処刑人 承知いたしました
罪人 やめろッ 誰かッ…!!!
たった一言で他人の人生をくるっと変えちゃうの
すごいでしょ?
青 兄様っ!お帰りなさい!!
黒 …
僕がおかえりっていうとチラッとこっちを見てくれるの!
僕はそれだけで嬉しい
だって兄様の目に映ることができるから
兄様がなかなか家に帰ってこなくなった
帰ってきてもこちらに見向きもしなくなった
いつからだろう
兄様の目に俺が映らなくなったのは
今日は大罪を犯した罪人が公開処刑されるらしい
正直処刑には興味はない
ただたまたま通りかかったら行われていた
そしてそこにはよく知る大好きな背中があった
黒 殺せ
その一言で罪人は殺された
は?
ずるい
罪を犯したくせにどうして兄様の目に映ることができる
俺は見てもらえないのに
俺だって兄様の目に映りたい
映るだけでいい
声なんてかけてもらえなくても
なんだって構わない
ただ
見てほしかった
昔から兄様が大好きだった
青 兄様っ!
僕今日もテスト満点でした!
黒 …そうか
初めは返事をくれていた
素っ気なくても愛を感じていた
いつしか
青 兄様…無事志望校に合格いたしました
黒 …
青 兄様…コンクールで優勝しました
黒 …
俺のことを見てくれることもなくなった
それでも諦めたくなかった
大好きだから
俺のことを見てよ
お願い
見てくれるだけでいいから
汚い感情が俺の心を蝕む
そして気がついた
あぁそうだ
見てくれさえすればいいんだから
初めからこうすれば良かったんだ
兄様の目に映れるならなんだってする
罪人にだってなれる
だから…
いいよね?
父 やめろッ…やめてくれ…
何を考えているんだ…!!
そんな父様の言葉を聞かず
俺は赤く手を染めた
ナイフは父の胸を貫いていた
母様はいない。
昔病気で亡くなった。
それでも父様は俺たちを育ててくれた。
ごめんね。
すぐにそっちに向かうから。
待っててね。
黒 はっ…?
青 お帰りなさい!兄様
黒 お前…何してッ…
兄様は俺を見て驚いた顔をしていた
仕方のないことだろう
俺の手は赤で染まり
父様の心臓をナイフで貫いているから
黒 お前自分が何をしているかわかって—
そう兄様が怒鳴る
大好きな声で
俺だけを見て
赤くて黒い俺を見て
青 んふふッ…
黒 何がおかしい…
青 兄様が俺を見てくれてる…
ふふッ…
ずっと考えていたんです
どうすれば兄様に見てもらえるか
そして気がついたんです
俺が罪人になれば兄様が殺してくれる
そんな幸せなことはないって!
黒 俺が…お前を壊してしまったのか…?
そういう兄様の顔は少し引きつっていて
いつもとは違った
青 そうですよ
全部兄様のせいです。
黒 …
青 だから…
責任取ってください
黒 責任…?
俺は父の胸を貫いていたナイフを引抜き兄様に渡した
青 俺はもう取り返しがつかない
だから最期は兄様に終わらせてほしい
弟からの最後のお願いです
黒 …
すまなかった。
最後に俺にそう言って兄様は俺の胸にナイフを突き刺した
冷たく鋭い刃が
とても暖かく感じた
家には3人の血が赤く黒く広がっていた。
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