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どうもtttです。たくさんのいいねありがとうございます。第2話です。
翌日の朝練。
白鳥沢の体育館には、まだ薄暗い空気が残っていた。
その中で一番早く来ていたのは——日向だった。
「よし……!」
ひとりで助走を繰り返す。
跳ぶ。
着地。
また跳ぶ。
ネットもない。
トスもない。
ただ、“もっと高く”を身体に叩き込むみたいに。
「朝からうるせぇと思ったら」
背後から声。
振り返ると、ジャージ姿の白布がいた。
「……何してんの」
「助走確認です!」
「確認ってレベルじゃないだろ、それ」
呆れたように言いながらも、白布の視線は自然と日向の脚へ向く。
(踏み込み、速……)
しかも無駄が少ない。
身体は小さい。
だが、空中へ入る瞬間の爆発力が異様だった。
「……一本上げるから、打ってみろ」
「え!?」
日向の顔がぱっと明るくなる。
「ありがとうございます!!」
「声でけぇ」
白布は面倒そうにボールを持つ。
正直、期待は半分だった。
跳べるだけの選手ならいる。
だが、白鳥沢で必要なのは“決め切る力”。
高さだけじゃ意味がない。
「行きます!!」
日向が走る。
速い。
白布の指先からボールが離れた瞬間——
(速っ)
日向の身体が、もう空中にいた。
「っ!?」
想定より、早い。
だが。
バァン!!
重い音が体育館に響く。
「……は?」
白布の目が見開かれる。
今のタイミング。
今の体勢。
普通なら打点は崩れる。
なのに日向は、空中で無理やり身体を残して叩き切った。
しかも——
「うおー!!今の気持ちいい!!」
本人は満面の笑みだった。
「……お前」
白布がぽつりと呟く。
「なんで打てんの、それで」
「え?」
「いや普通落ちるだろ」
「落ちる前に打てばいいんじゃないですか?」
「意味分かんねぇよ」
でも。
白布は気づいていた。
この選手、“感覚”で空中を支配している。
理屈じゃない。
野生に近い。
だからこそ——扱いが難しい。
そして同時に。
「……面白」
ぽつりと漏れた本音。
日向は聞き逃さなかった。
「今、“面白い”って言いました!?」
「言ってねぇ」
「言いました!!」
「うるさい」
その時。
バシンッ!!
強烈なスパイク音。
空気が震える。
コート奥。
牛島若利が、淡々とスパイクを打っていた。
重い。
ただ重いだけじゃない。
“絶対に止まらない”と思わせる球。
日向は思わず見入る。
(すげぇ……)
全国トップクラス。
テレビで見たことはあった。
けど、目の前で見ると全然違う。
圧力だけで呼吸を持っていかれる。
「見惚れてんな」
天童が隣に立っていた。
「若利くんのスパイク、初見だとみんなああなる」
「……俺、止めたいです」
その言葉に、天童が目を細める。
「へぇ?」
日向は牛島を見つめたまま言った。
「いつか、真正面で」
沈黙。
そして。
「いいじゃん」
天童は笑った。
「そういうの好き」
その瞬間だった。
「じゃあ、やってみるか」
低い声。
牛島本人だった。
「へ?」
「俺のスパイクを止めたいんだろう」
振り返る。
牛島は無表情のまま、ボールを持っていた。
「ブロックにつけ」
体育館の空気が変わる。
白布が眉をひそめ、
天童が楽しそうに笑い、
周囲の部員たちがざわついた。
一年の新人。
しかも170にも満たない小柄な選手。
そんな日向に、
白鳥沢の絶対的エースが直々に勝負を仕掛けている。
「お、おれが!?」
「他に誰がいる」
牛島はネットの向こうへ立つ。
その姿だけで威圧感があった。
日向は、ごくりと唾を飲む。
怖い。
正直、めちゃくちゃ怖い。
でも——
(逃げたく、ない)
コートに入る。
ネット越し。
真正面。
全国三本指のエース。
牛島若利。
「来い」
白布がトスを上げる。
高く、
重く、
絶対的な一球。
牛島が跳ぶ。
その瞬間。
日向の背筋に、ぞわっと電流が走った。
(高っ——!?)
今まで見てきた誰より高い。
なのに。
日向も跳んでいた。
反射だった。
“止めたい”
その一心だけで。
次の瞬間——
ドゴォッッ!!!
凄まじい衝撃。
日向の腕が吹き飛ばされる。
「っぁ!!」
勢いのまま尻もちをつく。
ボールは壁に突き刺さるように跳ね返った。
静まり返る体育館。
圧倒的。
実力差なんて、考えるまでもない。
それでも。
「……っはは」
日向は笑った。
腕は痺れてる。
痛い。
めちゃくちゃ痛い。
でも。
「今、見えた」
立ち上がる。
「次、もうちょい触れます」
その言葉に。
牛島が、ほんの僅かに目を細めた。
「……そうか」
短い返答。
だがその声には、
最初にはなかった“認識”が混じっていた。
白鳥沢の体育館に。
小さな挑戦者の声が響く。
そしてその日から——
“牛島若利を止めるための男”として、
日向翔陽は少しずつ、
白鳥沢の中心へと入り始めていた。
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𝓡𝓮𝓷
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