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kzsyu
♡ 煌めく一等星
🩷side
夜景が綺麗な高層マンションに住んでも、心が満たされるわけじゃないと、幼い頃の自分が聞いたら驚くだろう。 まだらな日々を生きることに疲れることしばしば。その中でも夜が長いことが唯一の救い。街中に、仄かに響くエコー。 たくさんの音が聴こえる中で、彼の声を探している。ふと、空を見上げれば、ひとつだけ灯りがあった。あれは、なんという星なのだろうか。星に詳しくない俺はただの星でしかなくて、なんの価値もない。でも、その星から目が離せなかった。
俺は変化が苦手だった。だから欲しい未来はそんなに無い。強いて言えば、未来に彼がいればいい。それくらいだ。その次くらいに俺がいれたらいい。それでいいのに。変化が苦手な俺が変化を求めるようになった。彼ともっと先のことを考えたい。彼を俺のモノにしたい。そう考えるようになった。この変化は俺にとっていいものなのかは、俺にもわからない。
彼は起きているだろうか。最近は彼の仕事が忙しく、リアルで会えていない。通話越しの声だけじゃ足りないけれど、彼には仕事があるから。彼の邪魔はできない。でも、メールを送ることくらいは、許してくれないか。
『お疲れ様。
会いたい | 』▶︎
"会いたい"の改行と定型。もしかしたら、今日は返信がこなくて、朝に謝罪メールが来るかもしれない。それでも、会いたくて、声を聴きたくて、たまらない。重い奴だと自覚している。彼には迷惑ばかりかけているだろう。我儘な奴でごめん。でもそんな俺にしたのはお前なんだよ、って伝えたい。彼を考えると胸が苦しくなるのを治してほしい。いつもの笑顔で小さい子が言うみたいに。「いたいのいたいのとんでいけ」って。そう言ってくれたら、幾分と気分が良くなるような気がする。まあ、彼が何か言えばなんでも治るような気もするけど。
『おれも、会いたい』
返信が来たのは送ってから10分ほどだった。この文章を見るだけで苦しかったものも緩和されて、心からあたたかくなる。この感情は君がくれた。そしてその瞬間を、愛と名付けた。愛を教えてくれた君に会いたい。生きる意味になった君に。返信を考えているとチャイムが鳴った。こんな夜遅くに?と疑問に思っていると、また通知が鳴った。
『kz、寒いからはやく 』
俺は急いでドアを開けた。そしてオートロックを解除し、エレベーターを連打して降りた。
❤️「…来ちゃった、kz」
🩷「…おま、寒かったろ?」
❤️「うん、寒かった」
❤️「けど、kzが来たから、もう平気」
やっぱり、syuには敵わない。俺はマンションの前にもかかわらず、syuを抱きしめた。syuは苦しいと言っていたが、仕方がない。ずっと会いたかった人が目の前にいるのだから。
思う存分syuを堪能したら部屋へ向かった。たわいもない会話が、心地よかった。部屋に着き、ソファに座らせたsyuに珈琲を渡せば、ふわふわとした顔で微笑んでそれを口をつけた。しばらく横顔を堪能していると、こちらに気づいたsyuが手で目を塞いできた。地味に痛い。
しばらくして、手を離されると照れた顔でこちらを見るsyu。その顔にどこかのスイッチがはいった。後頭部を抑え、触れるだけのキスと大人なキスをする。首に手を回し俺を受け入れる姿に、胸が高鳴る。
❤️「ん、っぅ…は、ぁ、ふ…」
🩷「っは、ん、syu、っ…いい、?」
火照った顔でこくりと頷くsyu。硬く狭いソファからやわらかく広いベッドへ、抱っこのような体制でsyuを連れて行く。丸く可愛らしい頭をひと撫ですれば、上目遣いで何かを訴えてきた。よくわからなかったが、もう一度撫でてみれば満足げな顔をして、俺の胸に顔を伏せた。愛おしすぎる彼をベッドへ下ろし、キスの続きを行った。ゆっくりと、ゆっくりと身も心も溶かしていく。時々出る甘い声とともに、営みは続く。
❤️「っう、ぁ…っ♡…ふ…ぁ、っ♡」
🩷「きもちい?syu」
❤️「ん、っぅ…!♡kz、は…?」
🩷「おれも、っ…」
肌と肌がぶつかり合う音と水音が響くワンルーム。届かぬ星のような儚い彼と、結局のところ、心の根の部分は変われない俺が体を重ねている。
❤️「ッ"、ぅあ…っ!♡、い"…っ♡」
🩷「ぅ"ぐっ、♡っあ__…ッ♡」
行為を終えた後、外の空気を吸うために、ベランダに出た。夜も深くなってきたことで、あの星も一層輝いて見える。都会なのに、よく見える。そのまま、夜風に当たっていると背後から暖かい身体が当たった。
🩷「syu?」
❤️「…さむっ」
🩷「そりゃそーだわ」
🩷「部屋帰る?」
❤️「……」
🩷「…帰んないのね?笑」
syuに自分の羽織っていた上着を着せ、再び夜空を見上げた。時々、街の様子を見ながら。しばらくそうしていると、お腹に回っていた腕が解かれ、隣にsyuがやってきた。
🩷「…どうした?」
❤️「……」
ぼんやりと、どこかを見つめているsyu。
そんな彼に尋ねてみた。
🩷「あの星の名前知ってる?」
❤️「…あれ?」
🩷「そうそう、あのでかいやつ」
❤️「…スピカ」
🩷「スピカ?」
…スピカ。ようにしっくりくる名前。
話を聞けば、それは乙女座で最も明るい一等星なのだとか。
❤️「…かえろ」
🩷「ん、」
syuが眠った頃、スピカについて調べた。
そこには…『春の夫婦星』と書かれていた。
出来るなら、結婚なんてとっくにしているだろう。でも、こんな風当たりの強い世の中で、両親や友達に結婚を公表するのはリスクがある。
…結局、俺は臆病でなにもない。 変われたと思っていたのが間違いだった。今も変化を恐れている。 変われぬ僕が、ずっとずっと、君に手を伸ばしてただけだった。
スピカ/ロクデナシ様
素敵な楽曲の歌詞お借りしました❤︎
コメント
4件
莉諳さんの新作見れて溶けそうです🫠ᩚ スピカ…聞いたことあるかなって聞いてみたらめちゃ聞いたことある曲でした👉🏻👈🏻︎💕︎ 曲を物語に入れ込むのがめちゃくちゃ上手くて、尊敬です😭💞 相思相愛なのに儚い感じがもうやべーです(?)
えやばい 、 儚すぎて 溶けそう
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