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「……」
何も言えなかった。君がそこにいる。何故?何故君が?
震える手で君に銃口を向ける。狙いが定まらない。ただ俺の荒い、焦ったような息の音が聞こえる。
「…お前なにをしてるんだ。」
やっと絞り出した声は力なく、震えていた。俺がこんなにも焦り、絶望し、悲しんでいるのに。
何故君は笑っている?いつもの笑顔で。
『いやぁ、なあ?見ればわかるだろぅ?』
顔だけこちらに向けている。上がった口角が忌々しい。
俺の態度を気にすることなく、いつものように君は言う。陽気な声だが感情を読み取れない。
「…※規則上、お前は裏切り者だ。」
当たり前のことを何故か口にしてしまう。……俺は時間が欲しいのか?
睨みつけるが何も気にしていない様子の君。
※【規則のごく一部】許可なしに組員の殺害を実行した場合は死
『そうだなぁ。』
軽く笑いをこぼす君。頭のてっぺんからつま先まで、返り血で赤く染まっている。
……彼はこの組織、俺たちが所属していた【tarionis】の組員であった。
しかし彼の足元にはその組員達がゴロゴロと無造作に転がっている。
「……なぜこんなことを、」
銃口はまだ君を見ている。君がこちらに体を向ける。そしてまたニコリと笑って俺を見る。
『…これが俺の復讐だからだなぁ』
一歩ずつこちらに近ずいてくる君。
…『俺の復讐』という言葉は俺を困惑させた。
物心ついた時から、俺らは既にそこにいた。他の組員と深く関わりがあった訳ではない。広く浅く、それが彼のコミュニケーションだ。だから特に目立った問題はなかった。……ではなぜ?
「意味がわからない…」
君がこちらに向かってくるのを見ると警戒して、銃に込める手の力を少し強める。
『嗚呼。そうだろうなぁ。…相棒?ちょっと昔話でもしてやろうかぁ』
俺の向けた銃口は君の胸に塞がれる。このまま撃てば心臓を貫けるだろう。
余裕があるかのようにまた笑う。俺が撃てないことを知っているからだ。
手の力が抜けた。銃は音を立てて地面に転がる。
〈…ところでなぜ俺がこんな彼に『相棒』と呼ばれているのか。
それはただ、組織の※【バディ制度】によるものだろう。彼もおふざけ半分で呼んでいたものが
いつの間にか‘’普通”になったのだろう。
※【tarionisのバディ制度】敵も仲間も信用出来ない中、バディはtarionisのボスによる禁術により裏切ればお互いに命が絶たれる。よって強制的にバディを信じるしかなくなる。
バディのことは「相棒」、または「名前以外」で呼ぶこと。
なぜこの制度があるかは不明
(.憶測だが、ボス自身が嫌う“孤独”を組員に経験させたくないのか。
まあこんなとこに来ていて孤独じゃない方がおかしいが…。
それに名前を呼ばれないのは孤独感を感じる気がする。…気がするだけだ。)〉
「…」
無言で笑顔の君を睨む。
この沈黙は肯定と受け取ったらしい
落ちた俺の銃を拾い上げると弾を抜き、使えない状態にする。
その動作が終わると再び俺に向き直し口を開く
「相変わらず大好きだなぁ俺の事ぉ?」
揶揄うような口調。しかし感情の乗せてない声で。
ただ彼の言う通り。俺は君が好きだ“相棒”として。
そりゃあ何年も共に過ごせば誰でもそうなるはずだろう
「悪いか…」
血の着いた壁によっかかり腕を組む。
『悪かねぇよぉ。』
軽く笑う。しかし俺を馬鹿にした様子は無さそうだ。
『…さてと?きいてってくれよ。』
俺の横に君もよっかかる。横目で俺を見て話し始める。
数十分後ーーーーーー
「…は?」
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