テラーノベル
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校門を抜けた瞬間、足元の感覚が変わった。
白い霞がふっと消えて、空気が柔らかくなる。
聞き慣れた生活音が耳に戻ってくる。
風の匂いも、街の明かりも、ぜんぶ現実のものだ。
気づけば、俺はいつもの道に立っていた。
シェアハウスへ続く、何度も歩いた帰り道。
「……帰ってきたんだ」
声に出すと、胸がじんわり熱くなった。
怖い世界から抜け出せた安堵だけじゃない。
あの場所のことを、確かに“持ち帰った”気がしたから。
歩きながら、ふとポケットに手を入れる。
指先にザラリとした感触。
チョークの粉が、少しだけついていた。
本当だったんだ。
夢でも幻でもなく、俺の中に残っている。
シェアハウスの玄関に近づくと、中から笑い声が聞こえてきた。
仲間たちだ。いつも通り、くだらない話で盛り上がってる。
ドアを開けた瞬間、みんなが僕を見た。
「おっ、ゆあん!どこいってたんだよ〜!」
「遅い!置いてくところだったぞ!」
「またナナチキでも買ってたんじゃないですか?また寄り道したら、おやつ抜きですよ!」
なんでもない言葉に、ホッとした。
生きてる日常の音。
「ただいま!」
そう言うと、みんなはいつものように笑って迎えた。
僕は靴を脱ぎながら、一度だけ外を振り返った。
夜風が吹き抜け、遠くの街灯がゆらりと揺れる。
その中で、ふっと校門の影のような形が見えた気がする。
消えたはずの学校が……
笑っているみたいに。
「……うん。忘れないよ。」
小さくつぶやいて、玄関のドアを静かに閉めた。
その瞬間、どこかでかすかな声が聞こえた気がした。
――いってらっしゃい。
それは、もう怨念ではなく、ただの優しい送り出し。
僕は仲間の輪に座り、いつもの生活に溶け込んだ。
だけど、胸の奥に確かに思い出は息づいている。
過ぎた時間が消えるんじゃない。
未来に、形を変えて続いていくんだ。
だからきっと――
忘れない限り、あの学校はまだどこかに生きている。
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むあ
さくさくパンダ
コメント
1件
コメ失礼します! ずっと見てました…!! 完結してしまって満足感の他に寂しさもあります……!最高の作品です!! エピロード見るたびに泣きそうになるんですが最終話はもう完全に泣きました。物語に入り込めるぐらいえぐいです。 完結ありがとうございました😊😭