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祓ノヒト

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祓ノヒト

2 - 第一幕

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2023年06月12日

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真夜中に目が覚めてしまった。

今日も母が焼死する夢を見た。小さい時から見る夢だ。最後の母の叫びと顔は脳裏に焼き付いている。いつもあの叫びで目が覚める。僕が3歳の時だ。何かが母を焼き払い、僕に気づかず置いていった。シャツを着替えて、布団を被り直す。目を開いて朝が来るのを待つことにした。

鳥が鳴き始める時間になった。久しぶりに寝れなかった日だ。このまま学校に行くのは気が滅入ってしまう。手の甲を見つめて、そこに母の姿を見つけた。喜びと憎しみと悲しみ…色々な感情が渦になり、霧散する。押し殺す様に、布団を出てダイニングに向かった。

僕は1人で暮らしている。学校の寮でご飯を作り、1人で食べて、人の暮らしを保っている。美味しいと思えない、難しい日だ。普段の食欲とは程遠いもので、中々食べる気はしない。

今日はダメだ。頭から離れない、2人の顔。母と悪魔だ。かの貪欲、姿を見せないはずのもの。僕はなぜ母を失ったのだろう。そう考えていたら、ふと眠気がやってきた。僕はそのまま倒れ込んだ。母の叫びを耳にして。


目が覚めた。そこは炎に満ち苦悶に満ちていた。見たことない世界だった。僕は溶岩の上に立ち、黒い霧が前に立ち込める。霧はこう言った。

母は生きている、殺しはしない。あれほどいいものはないのだ

その声が頭に響いて、つんざいた。われそうだ。ただ少しその痛みが嬉しかった。生き別れの親と初めて話したときの様な安堵を得たのだ。

そしてまた目が覚めた。夢だった様だ。学校に行こう。僕が誰かはわからないけれど。

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