テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,024
420
※実際の団体、個人とは無関係です。****※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他、捏造した設定が多く含まれます。
※中華絵巻を元にしてます。
※※※ 閲覧には十分注意してください。
春が四回、冬が三回。あともう少しでまた春が来る。そんな日。
雪が窓際まで積もって、長靴無しでは外へ出られない。それでも雪はまだ降り、どんどんと積もっていく。
「アキラ〜そっち寒くない?」
「大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
奏斗は暖炉へ薪を焚べながら居間にある長椅子へ振り向いた。
長椅子には四季凪とその横で眠りこけている雲雀がいる。四季凪の膝のうえには黒い猫、雲雀のところにはまだ小さな子犬がいた。
雲雀の腕の中ですやすやと眠る紫の毛をした犬は二回目の春の時に赤い猫が連れてきて、いつの間にか家族の一員になっていたのだった。
微笑ましい団らんの様子に目を細め、奏斗は長い髪を後ろで一纏めにした。
「ねぇ、セラって今日何時?」
「えっと………まぁ、夕方頃ですね。」
「ん〜…じゃあ、ちょうどくらいかな」
そう言うと奏斗は台所へ入り、何やらガタゴトとやり始めた。
普段あまり台所に立ち入ることがない奏斗に驚きつつ四季凪は目線だけで彼を見る。
胸元までしか見えないが、戸惑いながらレシピに沿って動いているように見えた。
本当に危ないようであれば手を出しに行こう、そう思いながら見守ることにした。
ーーー
ーーー
疲労で足を引き摺るようにしながらセラフが帰宅する。いっそのこと玄関で寝てしまいたいがそんなことをすれば心配する人がいる。幸せなことだ、と改めて噛みしめる。
「は〜……ただいまぁ…。」
靴を脱いで居間へと入るとふわりと暖かい空気に包まれる。さっきまで外で冷えていた身体がじんわりと休まっていく。
「おかえりなさい。」
「おかえり〜っ!」
台所前の食卓には雲雀がカトラリーを並べて、四季凪は赤毛の猫を抱きかかえながら雲雀の様子を見ていた。
二人と軽く会話をしていると、台所の方から奏斗が顔を覗かせた。セラフと目が合うとにぃ、と歯を見せて笑う。
「おかえり、セラフ 」
「ただいま。」
自然と口角があがってしまう自分に笑いそうになるセラフ。
何笑ってるんだ、と奏斗に小突かれながらセラフも食事の手伝いに加わった。
数分もせずに食卓が賑やかになると、みんな揃っていただきます、と食べ始めた。
温かいシチューと街で買ってきた白パン、それから果物を添えたサラダ、という夕食にしてはシンプルなものだった。
加えて、セラフはシチューとサラダに違和感を覚えていた。
料理が得意な雲雀や四季凪が作ったにしては形があまりにも不揃いなのだ。
でも、美味しい。中までしっかりと火は通されて柔らかい甘みがある野菜と濃い牛乳の味。それともう一つだけ違う味がする。
「今日のシチューいつもと味が違うね 。」
ポツリとセラフが口にしてみると、一番先に反応したのは奏斗だった。肩をわずかに動かして、視線を一瞬だけこちらに向けた。
「あー!これな、今日奏斗が作ったんやもん!しかも、一人で 」
作った本人より先に言う雲雀に、奏斗は興味無いと言いたげにパンを頬張った 。
その行動が照れ隠しだと見抜いた四季凪はわざとらしく、だが本心で奏斗の料理への感想を述べていく。
「奏斗、思ったより料理上手なんですよ。切るのは苦戦してたみたいですけど、でも味の調整がねぇ…」
「そうなんだ。俺いつものシチューも好きだけど、奏斗のが一番美味しいかも。俺、好きだよ。」
「なぁ、あとさこれ隠し味にさ、味噌いれたんやって!よく思いついたよな〜」
四季凪に合わせてセラフも雲雀も、と感想を言い合っていると耐えきれなくなったのか、奏斗が食事中には珍しく大声を出し始めてじまった。
「わ、わー!!わー!何、お前ら!?なんだ!!?今日なに!?」
頬を赤らめて顔を手で覆う奏斗の姿に3人が笑いだすと、不機嫌を前面に出してそっぽを向いてみたが、結局奏斗も笑いだしてしまった。
「ねぇ、今度作り方教えてよ。」
セラフは言いながら隣に座る奏斗の手を取る、軽く握ると奏斗もちゃんと握り返してくれた。
「え〜?しょーがないなぁ〜、セラフくんってば! 」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!