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『神羅迅伝』

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『神羅迅伝』

3 - 第参章「家族」

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2025年10月29日

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第参章『家族』

玄関の引き戸をガラガラと音を響かせながら開ける。

「ただいまぁ!」と戸を開けながら帰りの挨拶をしたのは罪夢であった。

「「「「おかえりなさい!」」」」

玄関で待ち構えていたのは罪夢の家族であった。母の不死ひとみ、長男の不死凶夢(ふし きょうむ)、次男の不死吉夢(ふし きちむ)、そしてペット兼妖怪の不死猫又(ふし ねこまた)の計四人が罪夢の帰りを待ち望んでいた。

「罪夢にぃ!おかえりなさい!!」 一番最初に罪夢のもとへと駆け寄り抱きついたのは猫又からであった。

「あぁ!ただいまぁ!!」

「やっと帰ってこれたんだな。」

「あぁやっとのやっとだぜ!意外と一週間って長いんだなぁ!にしし!!」

「思い出話はさておきさ、あんたどんな神の力を手に入れたのよ!一週間、みんなから隔離される程の神の力ってどんなものなのよ!」

「見せてあげたいのはやまやまなんだけど、日常での神力の使用は禁じられてるから出来ないんだよね!」罪夢は自分の力を使うことで何かみんなに被害を及ぼすかと考え話を流した。

罪夢、凶夢、吉夢、猫又が一緒にいるところを見て母のひとみは一粒の涙をこぼした。

「よ~し!!あんた達!このまま散歩へ行ってきなさい!!」と母は一つの話を振る

「「「「いいの!?お母さん!?」」」」

「えぇ!いいわよ!」

「よし!!」

「それじゃあ罪夢行くぞ!」

「ちょっと!罪夢だけじゃないでしょ~!!」

「あぁ!そうだった、そうだった!みんな行くぞ!!」

「「「おぉ!行ってきます!!」」」

「はぁい!!行ってらっしゃい!」家を出る挨拶とともに母もそれに合わせて声を出した。みんなの影が見えなくなった頃。

「良かったわね。巫零炎《ふれあ》。」母の涙が頬を伝うと意味深な言葉を残した。


《三十分後 神森公園にて。》


罪夢と猫又はかけっこをしており吉夢と凶夢はブランコに座ってそれを眺めていた。

「休憩ぃ~!」罪夢は疲れ果てて地面に座ってしまった。

「えぇ、休憩なのぉ?罪夢にぃ、神力まとってなかったぁ~。」

「それも修行の一環だからねぇ~。」

「もっと走ろうよォ!」

「仕方ないねぇ。猫又、次は私が相手よ。」

「やったぁ!!」吉夢は重たい腰を上げて選手交代をする。罪夢は疲れ果てた腰を上げて吉夢が座っていたブランコに腰をかける。すると凶夢が口を開いた。

「おい、罪夢、お前はなんの神になったんだ?」

「それは教えられないよ。さすがのお兄ちゃんでもね。」

「ねぇねぇ。私には?」

「姉貴でもダメ!!」

「えぇ、ドケチ!!」

「えへへへへっ。」

二人の質問攻めに耐えた罪夢は苦笑いを見せた。

「ねぇねぇ、にぃに達も一緒にかけっこしようよ!」

「「応!!」」

「よし!それじゃあ、罪夢が鬼な!!」

「はぁ!?ちょっ待て!!」

「「「ぎゃ~逃げろぉ!!」」」

「お前らなぁ!!仕方ねぇ一週間溜め込んでいた分ここで全部ぶっぱなしてやるぜ!!」罪夢の声は周辺に響き渡る。


《一時間三十分後》

「「「「お母さんただいまぁ!!」」」」罪夢を先頭にして引き戸を開け元気に帰りの挨拶をした。

「あらあら!おかえりなさい!!随分と長かったわね!その分楽しんでこれたの? 」

「うん!みんなで鬼ごっこしたらさ、罪夢が素早くて捕まえられなかったの!!」

「あらあら!その分強い神力を手に入れたのね!」

「へへへっ、そういう事!」母が罪夢の頭を撫でると照れる素振りを見せた。

「ご飯ができているの!手を洗ってご飯にしましょ!!」

「「「「は~い!!」」」」

帰ってきた四人組は洗面台へと向かい、手を洗いテーブルの座席に着いた。

16時頃。最後の一食品がテーブルに並ぶ。

「ご飯できたわよ!!食べて食べて!!」

「「「「いただきま~す!!」」」」

「はぁい!召し上がれ~!!」

皆の挨拶に母は答え、がっつくように食べ始める。

だがその裏で不穏な影が手を伸ばしていることは誰も知りはしなかった。

夜の暗闇の中、不死家の向かいの家の屋根に見知らぬ二人の影がある。肉付きが良くガタイが化け物じみている赤髪の男と細身の水色髪の男。二人は仮面をつけており赤髪の男の仮面は白黒のピエロ化粧のような柄で水色髪の男は黒の仮面に赤のピエロ化粧のような柄の仮面であった。

「あそこが不死家のご自宅です。」

「ほぅ。あそこがそうなのか。不死罪夢、お前を今から捌いてやる。」水色髪の男がそう言うと手に持っている物を強く握った。誰かの裾のようなものを掴んでいるように見えるがその姿は夜の帳のせいで誰か見えない。

「「「ご馳走様でした!!」」」

「は~い!!結構食べたわね!!」

「げぷぅ~。」

罪夢の兄弟達はひとみの作った料理を全て平らげてテーブルの上には具材のない皿がたくさん並んでいた。

「やっぱり美味しいなぁ~!!お母さんの手料理は~!!ん?」

「罪夢にぃ、どうしたの?」

「なんか来る。」

「なんかってなに?」吉夢は話に割って入るような形で質問をした。

「何か悪魔的な邪悪な神力の持ち主が来る。」

「え?」

ドォォォォォォン!!

「うぉぉぉぉぉぉりや!!」罪夢は庭へ通じる大きな窓の方から突進してくる赤髪の男に吹っ飛ばされ壁に激突する。

「手荒な真似をして済まない。私達は神日本政府直属の死刑執行人、死罪《しざい》と申します。そしてこちらが私のパートナーの赤崎 豪《あかさき ごう》と言います。この度は、罪夢、お前は国、直々に死刑宣告が出ている。こいつと共にな。」

「いってててててて~、ん?龍鬼!!」なんと、死罪が掴んでいたのは龍鬼本人であった。

「最後の晩餐をしていたらしいな。まだ微かにご馳走の匂いが漂っている。」

「す、すまねぇ。神力も使いすぎて回復もままならねぇ。こいつらヤベぇほどに強ぇ。」

(お前が勝てねぇってことはこいつら。 )

(あぁ相当のやり手だ。)罪夢と龍鬼は脳内上のテレパシー会話をしている。この慣れている感じは数日前にもやっているような感じだ。

「ちっ。俺自身がやるしかねぇか。炎龍ノ極 炎ノ咆哮(えんのほうこう)」罪夢は覚悟を決めると共に炎龍神へと姿を変えた。水色髪の男と赤髪の男二人をまとめて攻撃した。

「龍神の類がこれまでやるとはな。その力に心惹かれるがまだこの未熟さなら、今、ここで摘んでおくのが最適。豪ノ極 荒呉(ごうのごく あらくれ)」剛の拳から放たれる咆哮に押勝ち重たい一撃を罪夢に与えたが罪夢は神力でその傷を癒した。

「そんなに甘くは無いな。◻️◻️ノ極 斬(ざん)。」

ザクザクザクザクザク…

死罪の神技により罪夢の身体は切り刻まれる。

「薄く切った。死にやしないだろう。俺たちはこいつを連行する。お前ら一家は死刑執行の際に見に来るとよい。そのお前らに勇気があればな。」

猫又と吉夢、凶夢は恐れて身動きも取れない。それに呼吸さえ困難だ。

「ねぇねぇお兄ちゃん、お姉ちゃん。こいつらやっちゃおうよ。」

「あぁ、やろう。」

「ダメよ。やっちゃいけない。」

「何が戦ってはいけないんだ。罪夢が連れていかれるのを目の前で見ていろって言うのかよ。」

「そんなんじゃないわよ。相手は死刑執行人なのよ。死の道ずれを食らうだけだわ。」

「でも罪夢が連れていかれるんだぞ!!俺らの家族が!!目の前で!」

「そんなの分かってるわよ!!それをわかっていてもアイツには勝てないって言っているのよ!!」

「それはやってみないと分からないじゃんか!!」

「このわからず屋!!」

「ねぇねぇ、やめてよ。やめてよ!」猫又の目に涙が滲み出て大粒の涙が頬をこぼれる。

「見ているだけで弟を殺せって言うのかよ!!」

「そうするしかないでしょうが!!国からの死刑宣告が出ているのよ!!」

「やめてって!!家族はそう言う物じゃない!!弟の目の前で連れているのに抗わずに喧嘩で済ませるの!?連れ戻してよ!!お兄ちゃん!!お姉ちゃん!!」

「哀れなものだな。所詮、力を持たない蟻どもだ。せいぜい楽しめ。大切な弟が死するその時まで。」

死罪と剛は罪夢と龍鬼を連れて自分達の神域へと姿を消した。家族の涙を残して。


第参章『家族』終わり

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