テラーノベル
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スタッフ「相手役の方が急用で本日お休みになりまして」
〇〇「……え」
スタッフ「本当に直前で申し訳ありません」
〇〇「じゃあ今日は中止ですよね」
スタッフ「実は、近くで別の仕事を終えた菊池さんが今合流できると」
〇〇「……菊池?」
菊池「呼ばれた」
〇〇「呼んでない」
菊池「急って聞いた」
〇〇「私、反対なんだけど」
菊池「理由は?」
〇〇「メンバー同士だから」
菊池「仕事としてなら問題ない」
〇〇「簡単に言う」
菊池「余計なことはしない」
スタッフ「テーマは“余白のあるセクシーさ”です」
〇〇「余白って言葉が一番むずい」
菊池「考えすぎなくていい」
〇〇「それができたら苦労しない」
菊池「できてる顔してる」
〇〇「どこ見て判断してるの」
菊池「雰囲気」
スタッフ「菊池さん、ジャケット外してください」
菊池「はい」
〇〇「……腕」
菊池「なに」
〇〇「いや、なんでもない」
菊池「今さら?」
〇〇「今さらだから」
スタッフ「〇〇さんは黒のシースルーでいきます」
〇〇「透け感、結構ありますよね」
スタッフ「光で上品に出します」
菊池「似合ってる」
〇〇「今言わなくていい」
菊池「今だから」
カメラマン「立ち位置お願いします」
〇〇「……近くない?」
菊池「これくらい」
〇〇「心臓に悪い」
菊池「顔に出てない」
シャッター音。
カメラマン「〇〇さん、顎少し上げて」
〇〇「こう?」
菊池「いい角度」
〇〇「見てるじゃん」
菊池「見てないって言ったら信じる?」
〇〇「信じない」
スタッフ「照明落とします」
〇〇「急に空気変わった」
菊池「大人っぽいな」
〇〇「それ褒めてる?」
菊池「褒めてる」
カメラマン「距離、もう少しだけ詰めましょう」
〇〇「聞いてない」
菊池「大丈夫」
〇〇「何が」
菊池「全部」
〇〇「菊池、なんでそんな余裕なの」
菊池「慣れ」
〇〇「ずるい」
菊池「〇〇は慣れてない顔してる」
〇〇「してない」
菊池「してる」
シャッターが続く。
スタッフ「〇〇さん、表情すごくいいです」
〇〇「本当ですか」
スタッフ「ドキドキしてる感じが」
〇〇「ばれてる……」
菊池「それが色気」
〇〇「色気って言わないで」
菊池「じゃあ言わない」
〇〇「思ってるでしょ」
菊池「否定はしない」
カメラマン「〇〇さん、カメラから視線外して」
〇〇「外す先は?」
菊池「近くで」
〇〇「……一瞬ね」
菊池「十分」
シャッター音。
〇〇「近いと余計ドキドキする」
菊池「それでいい」
〇〇「簡単に言う」
菊池「簡単なことしか言わない主義」
スタッフ「菊池さん、後ろに回ってください」
〇〇「……背中感じる」
菊池「触れてない」
〇〇「分かってるのが余計」
菊池「余裕」
〇〇「ほんとにメンバー相手でよかったの?」
菊池「よかった」
〇〇「即答」
菊池「〇〇だから」
カメラマン「いいです、その空気」
〇〇「空気って」
菊池「一番写るやつ」
シャッター音、少し間。
スタッフ「ラストいきます」
〇〇「もう終わり?」
菊池「早かったな」
〇〇「心臓は長かった」
菊池「顔は落ち着いてた」
カシャッ。
スタッフ「はい、OKです」
〇〇「……終わった」
菊池「お疲れ」
〇〇「最初、正直やりたくなかった」
菊池「知ってる」
〇〇「でも助けられた」
菊池「仕事しただけ」
編集「今回、セクシーさがかなり際立ってます」
〇〇「ほんとですか」
編集「黒の透け感と表情がすごくいい」
菊池「ほら」
〇〇「……信じていい?」
菊池「ananが言うなら」
〇〇「ドキドキしてたの、誌面に出るかな」
菊池「出る」
〇〇「恥ずかしい」
菊池「武器だよ」
〇〇「次は一人でやれる気がする」
菊池「今日やれてた」
〇〇「……うん」
菊池「余裕、少し分けてやる」
〇〇「いらない」
菊池「その強がりも写ってた」
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