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銃兎side
ここ最近、うちのシマでヤクを売り捌いてる野郎のせいでずっと忙しかった。
1日の睡眠時間は、2時間あれば良い方。酷い時なんてオールだった。
そのせいで体は本調子ではない。頭はまるで鈍器で叩かれるように痛み、冬の風呂を沸かしてない浴槽くらいの寒気が襲ってくる。とにかく、休みたかった。
それでも願いは叶わず
上司「入間!悪いがこれのことに関して調べといてくれ!」
銃兎「はい。分かりました。すぐ終わらせますね。」
内心は体調不良のせいかでかい声が頭に響いて苛立っていた。
銃兎(あークソ。なんなんだよ、早く休みてー。このクソ野郎絶対にしょっぴいて豚箱にぶち込んでやる)
そんなことを思いながらタバコを吸いパソコンとにらめっこしていた。
後輩A「入間先輩こちらの資料ができました..ってすごい顔色悪いですよ。ここ最近ずっと忙しそうにしてましたもんね。休んだほうがいいですよ。」
後輩はこう言ってくれるが上司に調べるように頼まれてるっていうのもあるけど俺自身がヤクを売り捌いてるクソ野郎共をこの手で全員しょっぴきたい。それは警官になろうと決めたの理由の1つだった。だから休むわけにはいかない。
銃兎「大丈夫だ。心配かけてすまなかったな。資料、ありがとな。」
後輩A「先輩がそう言うなら..でも無理は絶対にしないでくださいよ?これは絶対ですからね!」
念を押すように言われ苦笑しながら
銃兎「はは、そこまで言わなくても大丈夫だ。じゃあしばらく俺はやることがあるから。」
そう言って俺はまた画面と再びにらめっこを始めた。
30分も経つとパソコンのブルーライトがだんだんキツくなってきて、目の奥がじんじん痛んだ。肩を軽くさすりながら何とか姿勢を保つが、もう限界で机に突っ伏してしまいそうだった。今すぐ倒れてもおかしくないが、俺の変なプライドが勝ち、なんとか座り続けることができた。
銃兎「(あと少しだからやらないと..またこいつのせいで、誰かがヤク中になって、下手すれば死んでしまうかもしれない。その怖さは俺が一番分かっているんだから、どうにかしてでも情報を探さないと)」
銃兎「…..これだ。あった。これで大丈夫だ…..。」
ようやく有力な情報が見つかり俺のプライドより達成感が勝ったのかそのまま視界がブラックアウトした。
目が覚めたのは白い天井が見える場所だった。
??「よお、やっと起きたかうさちゃん。」
声がする方を向くと白髪の端正な顔立ちをした男が立っていた。
銃兎「左馬刻、何でお前がここにいるんだ?」
左馬刻「あ?んなもん決まってんだろ。てめぇの可愛い後輩から電話があってよぉ『銃兎さんが机に伏せたまま起きません!』ってな。お前いい後輩持ったなwで、とりあえず救急車呼んで病院名教えられたから来たわけ。それなのにお前ときたら俺様がせっかく来てやったって言うのによ、ずっと寝てやがったんだぜ?
全く倒れるまで自分を追い込むなんてお前らしいっちゃお前らしいけどな。」
そう言って左馬刻は俺の頭をぐしゃぐしゃ撫でた。髪のセットが崩れると思ったがそんな事を言う気力もなかったためされるがままにした。
左馬刻「…お前前見たときよりやつれてねーか?」
確かに言われて初めて気付いた
左馬刻「その反応からすると俺が言うまで気づかなかったな。」
銃兎「…左馬刻、お前はエスパーか?」
左馬刻「はっ、てめえの今の顔を見れば誰でも分かんだよ。うさポリしっかりしろよー、そんなに簡単に心情を語らせちゃ、だめじゃねーか。」
銃兎「…別にお前とか理鶯にはバレてもいい。」
左馬刻が少し驚いたような顔していた。
左馬刻「なんかお前今日素直でキモくねーか?」
銃兎「てめえ俺を何だと思ってんだ…..」
左馬刻「生意気なウサポリ。」
銃兎「死ね。」
俺がそう返すと左馬刻は豪快に笑って
左馬刻「ハッハッハッわりーわりー」
が全く悪びれる様子はなく、もう一言言ってやろうと思った時
左馬刻「でも、少しは俺、いや俺等を頼れよ。最年長のプライドかなんか知らねーけどよ俺等だってそりゃあお前ほどじゃねーけどできることはある、だから頼れ」
左馬刻は見たこともないまるで子供をあやすような優しい顔だった。こいつでもこんな顔できるんだなと何故か場違いなことを思った。
銃兎「お前も今日気持ちわりーぞ?」
左馬刻「あ?うっせ。こんなになるまで仕事してしまったうさちゃんには、重ーい罰があります。理鶯」
銃兎「は?」
理鶯「すまないな銃兎。左馬刻に呼ばれて隠れてろと言われたからずっと隠れていた。」
淡々と話す理鶯に怖いと言う感情すら沸いた。
銃兎「…で、罰とは?」
理鶯「ああ、左馬刻と話し合った結果銃兎は2週間の強制有給を使って。小官と左馬刻で世話をすることになった」
え
銃兎「…今ヤクを売り捌いている野郎の調査をしてた途中なんだがどうやって有給なんて使ったんだ?」
そう聞くと理鶯が少し苦笑いしていた。珍しい。理鶯は普段感情を顔に出さないから、余計ヤバいことを悟ってしまった。
左馬刻「おーそれなら俺様がうさちゃんの上司に話をつけたから安心しろ。」
あ、終わった。職場になんて言おうか。最悪の場合巡査部長降格されるかも、なんて思うと先程まで落ち着いていた、頭痛がまた襲ってきた。
理鶯「銃兎あまり気にしなくて大丈夫だ」
あまりにも理鶯が無表情すぎて面白かった。
左馬刻「あ、あとお前は今日から3日間は入院らしいから」
理鶯「小官達は先に家に帰る。何かあれば連絡してほしい。」
銃兎「ああ、ありがとう。ではまた明日。」
左馬刻「おーよ」
理鶯「失礼する」
そう言って二人が出て行ったのを見送ると俺はゴロンとうつ伏せになり枕を抱きしめた。
銃兎「ああ、俺って愛されてるんだな。」
そう呟いて今日あった出来事に浸っていた。
銃兎「たまには、体調を崩すのも悪くないかもな。」
後日あの日の夜、俺が言った言葉がしっかり二人の耳に届いていて、揶揄われ抱きしめられるのはまた別の話。
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