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手紙を読み終えた私は
彼を追いかければ まだ…まだ間に合うんじゃないかって思った。
けど 体が動かなかった。 いや… [動けなかった]の方がいいかな?
どうしても腕や脚に力が入らないの。
「なんで?」って考えなくても分かる
私はそこまでバカじゃないし それに…
考えたくもなかったから。
頬を伝う涙。 誰もいない校舎に響くわたしの嗚咽。
まだ彼が撫でてくれた感覚が残ってる。
「なんでなの?」 そう呟き 手紙を見た。
『好きだよ』
その文字がどんどん見えなくなる。
そんなの言わなくてもわかるでしょ?
私が泣くから。 わたしの視界が涙で滲んでいくから。
もう戻れないだ。
あの頃のように 笑いかけてくれる彼はもういない。
これから先彼に会うことはもうないだろう。
私を避けてきたのはきっと彼なりの優しさだった。
そう信じたい。
でも、本当に優しさで避けてきたのかはわかんない。
だってさ、本人すら分かんないって言ってるんだし?
私は彼の事を何も知らないし、 もう知る必要もない。
知ってしまったら どうなるかな?
今度こそ もう本当に戻れなくなっちゃいそう。
そしたらさ、私は
あなた以外の人を好きになれなくなってしまう。
だってさぁ だってね。
そのくらい…忘れられなくなるくらい
「あなたの事が好きだったんだよ?」
その声は誰にも届かずに消えた。
3月。
早咲きの桜が少しずつ散っていく。
風が私の髪を優しくなびかせた。
窓から差し込む 柔らかな日差しに包まれながら
私は声と涙が枯れるまで 泣き続けた。
このときの私はまだ知らない。
まさか 彼以外の人を好きになってしまうなんて。
彼以上の人が現れるなんて思ってもいなかったから。
そして
その人に『惚れ』 『恋に落ち』 『溺れ』
〖沼〗にハマっちゃうこと。
その人から抜け出せなくなることを。
私は知るよしもなかった。