テラーノベル
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小坂莉子の放った『苺光閃』は轟音を残して飛んでいき、到着した先では爆音を響かせた。
威力は相変わらずであり、ラキシンシを特殊な加工で防壁にしているデスター。
その鉄壁のガードを容易く破壊していた。
「うんうん! 良い感じだよ! でも、もう少しだけ煌気の抽出を絞ると、もっと威力が出るからね! 次はそこを考えて撃ってみよう!!」
「はぁーい! 分かったよぉ! 六駆くんはなかなか合格点をくれないんだからぁー!」
アトミルカの誇る最大の軍事拠点の防壁をぶっ飛ばしてなお、反省会を行う六駆と莉子。
「やり過ぎたね」と反省するならばまだ分かるが、「もっとやれたはず!!」と反省している点はもはや恐怖を乗り越えていっそ清々しい。
アタック・オン・リコの中では、南雲修一が満足そうに頷いていた。
「どうやら、計画通りに事が運んだようだな」
「そうですね! さすがは小坂さんだ! 逆神くんの愛弟子なだけはありますね!!」
南雲と加賀美は「やっぱあの子たちってすごいわぁ」と納得しているが、これは彼らの常識が苺色に塗り潰されているだけである。
実際のところ『苺光閃』の全開放出を初めて見た面々は、慎重に感想を選んだ。
「こ、この世の終わりかと思ったんでぇ……。よろしくぅ……」
「小坂さん、17歳でしたっけ? 私、もう探索員を引退しようかな……」
まず潜伏機動部隊の2人の心を根っこからへし折った。
「あはははっ! これはすごいや!! いいなぁ、俺も習いたいなぁ! あんな規模の狙撃したら、絶頂ものだろうなぁ!! ふふ、狙撃じゃなくて、ただの爆撃か!」
そして、サイコパス狙撃手の心を虜にした。
「さあ、我々も出よう! アタック・オン・リコはこの場にて、中継基地として役立てる! 椎名くんと雲谷くんに防御を任せるから、敵を近づけさせないようにしてくれ!!」
急襲部隊、長き道を経て。
いよいよ、軍事拠点・デスターを急襲する事と相成った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「南雲さん! 莉子がやってくれましたよ!!」
「うむ。逆神くん。早速だが、君に頼みたい事がある! 打ち合わせの通りだ!!」
「はい! ……なんでしたっけ!?」
「大丈夫だ! 君が全然話を聞いていないで、装備から出した駄菓子食べてたのは知ってる! ポテトフライ、美味しいもんね!! 青リンゴ餅も美味しいもんね!!」
「南雲さんがどんどん六駆くんの色に染まっていくにゃー」
「みみっ。人は最終的に六駆師匠の色に染まる事で幸せになれるのかもです。みみみみっ」
「なんだか嫌ですわね、それ。……でも、わたくしも大概には染まって来た気がしますわ」
南雲は「まずはこれを納めてくれ!!」と、20万ほど懐から取り出した。
六駆が「う、うひょー!」と鳴いたら、準備完了。
「逆神くんには、アタック・オン・リコの周りに防壁を築いてもらいたい。そののち、『門』を2つ構築してくれ。片方は協会本部に繋がるものを。これにより、予備兵力がいつでも投入できる事になる。さらに、もう片方をフォルテミラダンジョンの入口へ。既に雷門さんから準備が整った旨の連絡は来ているからね。ストウェアからの援軍が、こちらはすぐに駆けつけてくれる手筈になっている! 長いセリフだったけど、ちゃんと理解できた!?」
「僕が『門』を2種類出したら、なんやかんやでお金が貰えるんですね!?」
「よし! だいたい合ってる!! それで頼むよ、逆神くん!!」
六駆のファーストミッションが決定された。
それにより、急襲部隊の任務も決まる。
まずは敵の目を惹き、出来る限り六駆の作業の邪魔をしないようにすること。
可能ならば、ある程度の数をこの混乱に乗じて減らす事が出来れば最良である。
「それでは、諸君! 取り掛かろう!! 何度も言っているが、自分の命を最優先にね!!」
「「「おおおっ!!!」」」
南雲修一の指揮の元、急襲部隊は各々の課せられた任務のために走り始める。
◆◇◆◇◆◇◆◇
デスターの中では、指令室に4番グレオ・エロニエルがやって来ていた。
既に、6番ヒャルッツ・ハーラントは各所に指示を出している最中であり、それを楽しそうに見ているのが3番クリムト・ウェルスラーである。
「こりゃあ……。なんつーか、ひでぇ事をするな。何回見ても意味が分からんぞ。これは人間が放ったスキルなのか? 3番さんよぉ? あんたご自慢の装甲外壁が見事にぶっ飛ばされてるじゃねぇか!」
「そうですね! 実に面白いものが見られましたよ! まさか、ラキシンシで造った外壁を事もなく破壊するとは! しかも、見てご覧なさい、グレオくん! この部分、溶け落ちているんですよね! つまり、高密度の熱線か何か、その類のスキルだと推測されます! そこのオペレーターの君。この映像資料をすぐにこちらの端末へ。急ぎなさい」
3番は「自分の造った外壁が意味をなさなかった」事実をあっさりと認めて、謝罪するでもなく次の興味へと移行していた。
4番は「ちっ。これだから技術屋はよぉ」と舌打ちをする。
彼もこの場で責任の所在について語り合ったところで何も生まれない事は承知している。
まずは、起きてしまった事実を脇に置いて、今から起きるであろう予測に対処すべく知恵を絞る。
「ヒャルッツ。人的被害はどの程度出てる?」
「それがな。不思議な事に、1人の死者も出ていない。これはもう、そう意図して敵が攻撃したとしか考えられない」
「くそっ。舐められたもんだぜ。これもナグモの戦略か。まあいい! それなら、相手の情けに乗じるまでよ! 2桁の、そうだな。20番台をリーダーにした小隊をいくつか編成させて、壁の外で敵を迎え撃たせろ。できるだけ中に入られるまでの時間を稼げ!」
「おや。グレオくん、意外と冷静ですね。もう侵入はされるものとして考えると?」
「いちいちうるせぇな、あんたも。見りゃあ分かんだろ? こんな物騒なもん外から撃たれりゃ、3発も4発も喰らってるうちに白旗だ。だったら、基地の中に入って来てくれた方がずっと良い」
3番は「ほう! 素晴らしい!」と手を叩いた。
彼は心から称賛の意味を込めているのだが、4番からすれば嫌味にしか見えず、彼はもう一度大きな舌打ちをした。
「あんたも少しは働いてくれんだろうな?」
「良いでしょう。まあ、私も居合わせた以上は、構成員として働かなければね。777番くん。色々と準備をしておきましょうか」
4番は立腹しながらも、心強さを感じていた。
3番は腹の立つ男だが、腕も立つ上に頭も切れる。
味方にしておく分には頼もしいことこの上ない。
「ヒャルッツ。基地の中に使い手たちが入ってきたら、オレたちも出るぞ。準備しとけ」
「了解した。足を引っ張らぬようにしなくてはな」
デスターの中でも、戦いの準備は着々と整っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ふぅぅぅんっ!! 『門』! もういっちょ! 『門』!!」
外壁前では、六駆が元気に門を生やしている。
アタック・オン・リコの中からはクララが要塞砲で敵をけん制。
「雲谷さん! ちょっと壁作ろうと思うんですけど、狙撃の邪魔になりませんか?」
「ふ、ふふ、逆神くん。360度視界を遮られても、狙撃して見せるのが俺の仕事だよ。どこから飛んできたのか分からない銃弾って怖いよね、あははっ!」
六駆は「了解しました!」と、サイコな発言を肯定してから地面に手をついた。
「ふぅぅぅんっ!! 『極硬・石壁』!!」
元々丈夫なアタック・オン・リコの周りに、六駆が煌気をたっぷり練り込んだ壁が生み出される。
これでひとまず、中継基地の設置が完了。
ならば、まずは迎えに行かなければならない。
もちろん、人工島・ストウェアからの援軍を、である。
五木友人
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裏五条
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コメント
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読了しました〜!第329話、ついに六駆くんが本格ミッションで「門を生やす」役割を任されて嬉しいですね🥺💕 しかも「なんやかんやでお金が貰えるんですよね?」って即座に金勘定するところ、彼らしくてクスッときました(笑) 莉子ちゃんの苺光閃は相変わらず規格外で、外壁ブッ飛ばした後に「もっとやれたはず」って反省会してるのがもう怖すぎて笑うしかない…。敵側の3番と4番の温度差も絶妙で、デスター戦、めっちゃ熱くなりそうな予感がしてます! 続きが楽しみです🔥