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帰り道。
僕はなんの部活にも入っていないから、いつも通り真っ直ぐ家に帰る。
その時、後ろから走ってくる足音が聞こえた。
「桧山くーん!」
急に名前を呼ばれて少し驚いた。
振り返ると、桃田さんがいた。
「え、桃田…さん?」
どうして桃田さんが。
「はぁ、はぁ…これ、桧山くんのでしょ?」
桃田さんが差し出したのは、黄色と水色の猫のキーホルダーだった。
「う、うん」
たしかに、このキーホルダーは僕のだ。
バッグを見ると、キーホルダーが付いていなかった。
「やっぱり。これね、教室に落ちてたんだ。朝、桧山くんのバッグに付いてたの見たから」
そうだったんだ…。
「ご、ごめん。わざわざ届けてくれて…」
「いいのいいの。この猫、すっごく可愛いなって思ってたの 」
キーホルダーを穏やかな目で見つめる桃田さんを、改めて素敵だなと思った。
「あ、そろそろ部活行かなきゃ。じゃあね、桧山くん。また明日」
笑顔で手を振って去ろうとした桃田さんに、僕は勇気を出して声をかけた。
「も、桃田さん。キーホルダー、拾ってくれてありがとう…!」
「!」
桃田さんは少し驚いた顔をしてから、また笑顔になって言った。
「うん!」