ピンキーリング

時間がだんだん過ぎていく。渡辺は、後一つ仕事したら、終わり。現場に移動しながら、向井にLINEする。向井はもう、家に帰っているらしい。

渡辺ーマネさん、早く行こう？

マネー何かありました？

渡辺ーいや、べ、別に。

マネー（笑）急ぎますね。

渡辺ーすみません・・。

マネーお友達と、お約束ですか？

渡辺ーはぁ、まぁ。

マネー仕事は、しっかりやってくださいね。

渡辺ー分かってます！

浮かれている。

向井と会うことが、こんなに嬉しい。目黒から、向井は、もう大丈夫だとLINEが来てた。

その言葉を信じたい。

寂しかった1か月。向井も頑張ったのだ。

渡辺ーこうじぃ〜。

向井ー仕事終わったか？

渡辺ー後一つ。

向井ーマネさんに聞かれるやん。

渡辺ー今、入庫証を書きに行ってる。

向井ー待っとるさかい、頑張ってき？

渡辺ーうん。後で。

入庫証なんてない。マネージャーはしっかり話を聞いていた。

マネー向井さんですか？

渡辺ーん、関西風のおでん、食べさせてくれる。

マネーどう違うんでしょう？

渡辺ーそれを、検証しに行くの。

マネーまた、僕にも教えてくださいね。

渡辺ーうん。

昨日から下準備して、コトコト煮込んでいるらしい。

初めて、「竹輪麩」も買ったらしい。

「ちくわと、どう違うねん」とLINEが来て笑った。

楽しみはもうすぐ。仕事が終わった。後は帰るだけ。

とりあえず自分の家に帰る。

渡辺は、自分の持っているやつで、あまりグループの皆んなといる時にしなかった、ピンキーリングの同じやつを買った。

そっとバッグに入れ、タクシーに乗る。

色んな意味が込められている。

そばにいなくても、いつも存在を感じる。名前を呼ばなくても、ちゃんと見てるから。話さなくとも、繋がっているから。

渡辺の想いの込もったピンキーリング。受け取ってくれるだろうか？家が近づくにつれ、ドキドキしてきた。