第5話「望むは唯一無二の存在」
Sm視点
長い廊下を駆け抜けて、ちょうど扉の開いていた人気のないレッスン室へ体を滑り込ませる。そのまま壁にもたれ掛かってずるずると座り込んだ。動機が収まらず、呼吸も安定しない。不安にばかり苛まれて手足が震える。もう怖くて仕方がない。
😊
「逃げちゃだめだ、耐えろ…」
でも俺はアイドルだからこんな事で周りを心配させる訳にはいかない。いつでも笑顔で、みんなを楽しませられる存在でないと…だって誰もがそれを望んでいるのだから。
🎤
「スマイル。」
俺が1人で蹲っていると、酷く焦った顔をしたきんときが現れた。
あぁもう何回目なんだろう。
こんな風にきんときの存在に救われるのは。
😊
「きんとき….」
返す言葉は弱々しく震えてしまって、まともに発音できているかも危うい。
それでもきんときは安心したような顔をして優しく俺を抱きしめた。彼の腕の中は温かくて優しくて、俺が安心して呼吸できる場所の1つ。
頼ってばかりじゃダメだって分かってるけど、心も体も疲れてしまった俺にはそこまで配慮する余裕がなかった。
😊
「ごめっ──」
🎤
「謝らないでよ、スマイルが悪いことなんて1つもないんだよ。」
違う、全部俺が悪いんだ。
俺がみんなの期待に応えられないから。
だからそれを詰め問われたって否定できない。俺はこうやってその場から逃げることしか出来なかった。
弱いから、脆いから、自分を守ることに必死になってしまう。
こんな奴がトップアイドルだなんて、俺を目標にしてくれている人達におわせる顔もなくて、申し訳なさが込み上げてくる。
🎤
「スマイルは今疲れてるんだよ、だから1回休もう?」
😊
「でも休んでる暇なんて…」
🎤
「いいんだよ、何があっても俺が守るから。」
そんなことを言いながらきんときは優しく背中を擦り、空いた手で頭を撫でる。俺はその温もりに包まれながら瞼を下ろした。
Kn視点
すぅすぅと穏やかな寝息をたてるスマイルの頬を手で優しく包みながらその御尊顔を眺める。
誰がどこから見ようと印象が揺らぐことの無い彼の整った顔立ちは、安心しきったように柔らかな表情を浮かべていた。
🎤
「大丈夫だよ、俺はずっとスマイルの味方だから。」
きっと聞こえていないけれど、そう小さく呟く。
この言葉に嘘偽りは無い。スマイルの行く果てどんな光景だったとしても俺が彼の敵になることは断じてない。
だって彼は俺の唯一無二の存在。
絶対に誰にも渡さない俺だけの女神様。
🎤
「ずっと隣で推してあげるから♡」
だから俺だけでいい。
俺はスマイルの唯一無二の存在でありたいのだ。
そう、1人だけでいい。
グループ内でいじめを受けているスマイルの味方は1人でいいんだ。
To be continued.
コメント
14件
ぬあ、、、、 虐めですか!!!!!!!!!!! 最高です!!!!!(吐血) どっちの恋も叶ってほしいとしかおもえない、、、、
smnkのbrさんエンドがチラリしてるよおおおおーーいやーーー!!!
ううう…でもしかしどうしても smkrになることを祈ってしまう…!!! knさんは何か…裏がありそう!! これからも楽しみにしてます!!