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―眠るたびにいつも出てくる、うっすらとした夢。もう何回も見た、そしてこれからも見るであろう恐ろしい夢。
この夢は一人の子供が主人公だ。その子供は人にあるはずのない翼で空を飛んでいる。それは半分は天使、半分は悪魔のもの。頭の上、首、両手首そして両足首には白黒の輪っかがついている。子供用の黒いローブで全身を覆い、ただ静かに下を見つめている。
眼下には、剣を使って戦うであろう武装した何十万もの兵士がいる。彼らの剣や鎧には紫の宝石があしらわれていて、きっと対魔術用の装備だろう。しかしその子は眉一つ動かさず、言葉を発していた。
「■■■■■。」
黒い光が兵士一人ひとりの心臓を貫く。体の異変に気づいた兵士たちは言葉を残すことなく、一瞬のうちに死んでいった。
その子供はたくさんの死体が転がった地面に降り立つと翼を消し、頭まで被っていたローブを取った。黒目で黒髪に白髪まじりの普通の少年、あるいは少女のような顔つきだった。生命反応が消えていることを再度確認すると、哀れみがこもった目で死体を見る。
「·····。」
無言で地面に枯れた花を刺し、再びローブを被ると翼が現れ、空へと飛び立ってしまう。
こんな夢をもう何年も何年も見続けている。
でも、一つだけわかったことがある。
その子供は今の私よりも幼かった。