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こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
青→桃→青→桃視点
「俺のこれからの人生、全部君にあげるから」
ないこはかつて、幾度となくこの言葉をリスナーに伝えてきた。
それは、これから先もできる限り歌い手であり続けることへの誓いと、ここまで支えてきてくれたリスナーへの感謝の表れだ。
それくらい、自分の時間を活動に費やすことに本気なのだろう。
最近では、ないこの為すことのほとんどが活動に関するものになっていった。
…そう、人間関係でさえも。
『ごめんまろ、今日の待ち合わせ…1時間遅らせてもらえる?』
そんなメッセージがスマホに届いたのは、夕方になる頃だった。
今日はないこと互いの仕事後に夕飯を食べに行く約束をしていた。
さほど急ぎではないけれど相談しておきたい案件があるから、夕飯ついでに打ち合わせしようなんて言い出したのはないこの方だ。
だけど、俺は今日の昼過ぎから何となく喉に違和感を覚え始めていた。
今すぐどうこうというほどの体調の悪さではないが、この後の保証はできない。
伝染したくないからという理由で、リスケを頼む連絡をしなくては…と思っていたところだった。
「どうかしたん?なんか仕事でトラブルでもあった?」
そう問い返すメッセージを送信する。
ちょうど断ろうと思っていた約束だから反故になることは構わない。
ただないこが自分から言い出したことを覆すことが珍しいから、何か大変なことが起きたわけじゃなければいいなと思っただけだ。
『…いや、仕事じゃないから大丈夫。ごめん』
ないこにしては珍しく歯切れの悪い返事だった。
いつもなら要点をすぱりとまとめてくる効率厨なのに…。
自分でもそう思ったのか、ないこは隠すのは得策ではないと判断したらしかった。
俺に更なる内容を突っ込まれるより先にと、メッセージを継ぐ。
『彼女が体調悪いらしくて…ちょっと薬だけ届けてくる』
…あぁ、そういうことか。
目にしたその一文に、意図せずとも小さな息が漏れた。
ないこは自分の時間を全て活動に捧げている。
今付き合っている彼女は、どこぞの取引先の社長令嬢だ。
父親である社長に紹介され、悪い子でもないからと付き合い始めたらしいけれど、そこに打算的な面も少なからずあったのだろう。
そうでないと、今活動に全力投球しているないこが誰かと付き合うなんて考えられない。
ないこは決して口にはしないけれど、恐らく彼女と付き合っていることすら仕事の一環のつもりなはずだ。
身を焦がすような恋愛感情を抱く相手ではないけれど、今の自分にはそれが一番都合がいい、と。
どうせ自分の全てを活動に捧げるのなら、恋愛もその活動にプラスになるような相手であるべきだと…そう思っているに違いない。
自己犠牲、と言うと言葉は悪いけれど、それだけもう一生をこの仕事に費やすつもりなのだろう。
…羨ましい、なんて、分かりやすい感情を抱ければ良かった。
偉大な社長を父に持ち、生まれながらに恵まれた彼女を。
そしてその父親の取引先にうちの事務所が偶然あって、ないこと出会う機会を自然と得られたことを。
ないこは自分も他人も偽るのがうまいから、きっと彼女は一生騙されることだろう。
このまま結婚したとしても、ないこがどういうつもりで自分を選んだのかは気づくことなく、心の底から愛されていると信じて過ごす。
子供を産んで、育てて…ただ女に生まれて社長を父に持ったというだけで、俺ではどんなに努力をしても届かないものを得ることができる。
それはもう、羨ましいなんてものじゃない。
羨望に加えて、嫉妬。
だけどそれを彼女に抱くのも筋違いだと理解してしまっている自己嫌悪。
そんな複雑な感情が混ざり合う。
「いいよ…っていうか、こっちもちょうど連絡しようとしとったんよ。この後他の用が入ってさ、悪いけどまた後日にせん?ごめんな」
いつもより素早く打ち込んだそんなメッセージは、「逃げたい」なんて情けない感情の表れだったのかもしれない。
「彼女さんお大事に」と最後に何とか付け足せたことだけは、自分で自分を褒めてやりたいと思った。
「…まろ…?」
途切れたメッセージを茫然と眺める。
別に会話に不自然なところなど何もなかったのに、妙な違和感が拭えない。
どくどくと心臓が鳴り、嫌な予感が全身を駆け巡った。
それでもそこに深く思考を持っていっても、自分一人では正解など導き出せない。
だからそのときはそれ以上考えるのをやめた。
残りの仕事を片付け、夜になったら予定通り彼女の家へと向かう。
その途中、頼まれた薬をドラッグストアで買った。
それ以外にも何か必要そうなものがあれば…と思ったけれど、彼女がこういう時何を欲するタイプなのか、そう言えば全くと言っていいほど知らない。
スーパーにも立ち寄り、仕方なく一般的に病人が口にできそうなものをカゴに放り込んだ。
フルーツやヨーグルト、スポーツドリンクをどさりと買い込み、ビニール袋を引っ提げる。
「わあ、ごめんね。ありがとう」
家を訪れた俺を、彼女は笑顔で出迎えた。
社長である父親に用意された高級マンションの一室。
そこでこれまた高そうなルームウェアに身を包んだ彼女。
ふわりと笑みを浮かべている様子は、聞いていたほど体調が悪そうではなく、玄関先で俺は目を見開いた。
「……思ったより元気そうだね」
冷静に言葉を選び、それだけ紡ぐ。
靴を脱いで上がり、リビングの方へと向かう俺の腕に彼女は自分のそれを絡めてきた。
熱があって辛い、というメッセージが送られてきていたはず。
薬を買いに出ることもできない、と。
だからこそ仕事終わりで良かったら、と届けることにしたんだから。
そう思った俺だったけれど、彼女が言葉を紡ぐ方が早かった。
「ちょっと微熱あって辛かったんだけど、ないこくんの顔見たら元気出てきた気がする」
『微熱』…か。
続いたそんな言葉に、俺は一度目を伏せた。
たどり着いたダイニングテーブルの上に袋を置き、すぐに冷やさなくてはいけないものを冷蔵庫へと放り込む。
それを終えてから、ようやく彼女の方を振り返った。
にこりと笑みを浮かべる俺を、彼女は純真無垢な眼差しで見つめ返す。
こちらの感情なんて露ほどにも察していない。
大した体調不良でなく呼びつけても、「あなたに会いたかったから」と、そう言えば今までの男には全て許されてきたんだろう。
だけどそんな彼女を責める資格は自分にもない。
彼女を本当に愛して付き合っているわけでもない俺には、何を言う資格もない。
お互い様だ。
活動に全力を投じたい自分に、そもそも恋愛なんて無理な話だと思っていた。
余力をそこに注ぐ気が自分にはないからだ。
だから、誰かと付き合うとしたら今回のように、その交際関係自体が今後の活動にメリットを及ぼす相手でないと無理だと思っていた。
だから、彼女を利用している自分には責める資格はない。
それは分かっている。
だけど、今日は割と朝から柄にもなく浮かれてたんだよ。
まろと2人で飯を食いに行くなんて久しぶりだったし、最近事務所でも落ち着いて顔を合わせるなんてこともなかったから。
ただ、そんな苛立ちは秘めておくしかない。
「俺まだ仕事残ってるからもう戻らなきゃいけないんだけど、薬飲んでゆっくり休んで」
彼女の手から自分の腕を引き抜き、笑顔のままそう告げる。
「え」と戸惑うように瞳を揺らしたその女を残して、俺は入ってきたばかりの玄関を飛び出した。
外へ出てまろにすぐ連絡をしたけれど、通話が繋がることはなかった。
そりゃそうだ。
あいつも今日は予定ができたみたいなことを言っていたから。
だけどあの時微かに覚えた違和感を拭いきることができなくて、いても立ってもいられずそのまままろの家へと足を向けた。
マンションのエントランスで、外出していく住人と入れ違いに滑り込む。
目的の階まで行き、ドアの前でインターホンを鳴らした。
しばらく待ってみても返る声はない。
どうするか…ここで帰りを待つか、連絡が取れるようになるまで一旦どこかで時間を潰すか…そんなことを考えながら、何となく試しにドアノブに手を伸ばした。
カチャリと音を立てたそれが、引くと同時に開く。
思わず目を丸くしたけれど、迷うことなくそのままその身を扉の内に滑り込ませた。
「まろ…入るよ…?」
そっと声をかけたけれど、室内は真っ暗だった。
鍵をかけ忘れて出かけただけで、不在には変わりないのだろうか。
そう思いながらも室内に踏み入る。
すると一番奥の寝室から、わずかな明かりが零れていることに気付いた。
「まろ?」
そっと扉を開く。
今まで何度か入ったことのある相棒の家。
記憶にあるベッドの場所に視線を送り、俺は目を瞠った。
掛け布団をめくって中に入る手間すら惜しかったのか、布団の上で身を丸くしてでかい図体を縮めている主。
「まろ!?」
一目見ただけで、その異変は感じ取れた。
呼吸は荒く肩が大きく上下している。覗きこんだ横顔は紅みが差していた。
「…え、ない…こ?」
薄っすらと開いた瞳が、力なく俺を捉えた。
熱に浮かされているのか涙で潤んでいるようにも見える。
「まろ、熱あんの!?何度!?」
「…んー…さっき38度超えたところで見るんやめた」
「何言って…あ、薬!薬は!?」
「…飲んでない…切らしとって……」
「買ってくる!すぐ戻るから!」
まろの体に掛け布団と毛布をばさりとかけて踵を返す。
リビングに投げっぱなしだったまろの家の鍵を見つけて、乱暴に掴み取った。
さっきと同じ手順でドラッグストアで薬を買い、スーパーで食べられそうなものを物色する。
違ったのは、今回は判断に迷いがなかったことだ。
まろが体調不良の時に飲めるのはさっぱりとした味のスポドリだし、食べられるのはスーパーで売っている関西風のインスタント出汁で作った簡単な卵雑炊くらいだ。
それらを迷うことなくぽいぽいとカゴに放り込んで、無駄ない動きでさっさと会計を終わらせた。
きっとあの夕方のやり取りの時、まろはもうすでに体調が悪かったんだろう。
それなのに、微熱程度で自分を呼びつける彼女の方へ行ってしまった自分に嫌気が差した。
知らなかったことだし、どうにもできるようなことではなかった。
それは分かっているけれど、口惜しい気持ちは拭えない。
「…お前は呼べよ、俺のこと…」
俺が作った雑炊を口にして薬を飲んだ後、まろは幾分かましになった呼吸でそのまま眠りについた。
首元に手の甲を添えてみると、まだ驚くほど熱い。
その横顔を見つめてぽつりと呟くと、何とも言えない感情が込み上げてくる。
ただその感情をなんと言えばいいのかは、まだ判断できずにいた。
数時間に一度まろの様子を見ながら、リビングのソファで一晩を過ごした。
幸い悪化する様子もなく穏やかな呼吸で眠れていたから、たまに額に貼った熱冷ましのシートを張り替えてやるくらいしかできることはなかったけれど。
自分が本格的に意識を手放したのは、もう明け方になった頃だったと思う。
それほど熟睡したつもりはなかったけれど、不意にソファに横たわる体にぱさりと暖かい何かを掛けられるのに気付いて目を開けた。
「あ、ごめん起こした」
毛布を手にしたまろが、すぐそこに立ってこちらを見下ろしていた。
「まろ、熱は?」
がばっと上体を起こしながら問うと、見上げた顔はへらりと締まりなく笑って返す。
「起きたら下がっとった。体も嘘みたいに軽なったし、ないこが薬買うてきてくれたおかげやな」
ありがとう、と付け足される言葉がなんだかやけにくすぐったい。
それをごまかすかのように首を横に振った俺に、まろは話を続けた。
「そう言えば彼女も体調悪いんやろ? そっちについてなくて良かったん?」
そもそも何でうちに来たん?なんて首を捻るまろの言葉に、ずきりと胸が一度痛んだ気がする。
「…なんかまろの様子が夕方おかしかった気がしたからさ。やっぱりあの時から体調悪かったんだろ」
「いや、あの時はまだ『違和感』程度やったんよ。熱も出てなかったし。…で、彼女は?大丈夫?」
できればその話題は出されたくなかった。
だけどそう正直に言うこともできず、曖昧に頷いて返す。
「大したことなかったし、一応後で様子見てくる」
「そっか」
本当はそんな気なかったくせに、まろの前ではちゃんと彼女を想っているふりをしてしまう。
自分の意志で選んだ人と付き合って、幸せそうにしている…俺の選んだ道は、そういう風に周りの人間の目に映っていなくてはいけない。
一番信頼している相棒のまろですら、そうして騙さなくてはいけない。
…いや、違う。まろだからこそ、そうして騙さなくてはいけない。
「彼女も心強いやろな。こういう時、看病してもらえるんてありがたいし。体調悪いときの心細さって一人暮らしやと痛いほど実感するよな。ないこのおかげでほんまに助かったよ」
目を細めて微笑むと、まろは俺に向けてそう言って身を翻した。
コーヒーでも淹れようと思ったのか、キッチンの方へと体を向ける。
ただスリッパの音を立てて歩きだそうとした瞬間に、何気ない言葉を笑いながら継いだ。
「俺も彼女作ろうかなぁ。ないこみたいに、体調悪いって気づいて飛んで来てくれるような彼女」
はは、と声を立てて笑うから、まろ自身は冗談のつもりだったんだろう。
だけどその言葉を耳にした瞬間、自分の中の何かが音を立てて崩れた気がした。
自分でも自覚する前に、手を伸ばす。
歩きだそうとしていたまろの袖を、きゅっと掴んでしまっていた。
「え、いやだそんなん…!」
口をついて出た言葉に、自分でも驚いて目を見開いた。
こちらを振り返ったまろも驚愕の色を浮かべて俺を見下ろしている。
…何言ってんだ、俺。
自分には戦略的に付き合ってる彼女がいるくせに、まろが誰かと付き合うのは嫌だって言った…?
愕然とした思いで我に返り、俺は自分の口を手で覆った。
「ない…こ…?」
驚いて振り向いた俺が見下ろすと、ないこは自分でもハッと弾かれたように顔を上げて自分の口を手で覆った。
まるで失言したとでも言いたいかのように。
先刻のないこの一言に、ぐわっと胸の奥底から熱いものがせり上がってくるのを実感する。
ないこのこの反応から察するに、聞き間違いなんかじゃないよな。
だとするとその言葉の意味はひとつしかないことも理解してしまう。
「…ちが、俺何言って…」
自己嫌悪するようにそう言ったきり、ぎゅっと唇を引き結ぶないこ。
その薄い唇に、気づくと引き寄せられるようにして自分のそれを重ねていた。
ソファに片膝を乗り上げ、座るないこに覆いかぶさるようにしてキスを落とす。
重ねたそこから舌を覗かせ、唇をなぞるようにぺろりと舐めた。
途端にないこが、「ん…っ」と掠れているのに艶っぽい声を漏らす。
風邪がうつるかも…なんていつもの自分なら理性的に留まれたはずなのに、この時ばかりは無理だった。
ただそんな常識よりも、ないこの全てを今すぐ食らいつくしたい。
自分の腕の中に閉じ込めて、自分のものだと誇示したい。
およそ普段の自分からは想像もできないような激情に、ないこだけでなく己でも驚愕する。
「ま、ろ…っ」
ないこは本来、浮気をするような人間じゃない。
特に、自分の活動や事務所のためになるだろうと選んだ今回の彼女を裏切るくらいなら、最初からその手を取りはしなかっただろう。
だから、このキスもここから先のことも、浮気なんかじゃない。
ただないこに懸想する俺が無理強いしているだけのことだ。ないこに責任はない。
自分にそう言い聞かせながら、ないこの口内を貪りつくすように深く荒いキスを繰り返す。
「なんで…っ、まろ…っ」
なんで、どうして、それだけをうわ言のように何度も口にするないこ。
その度に言葉ごと唇を塞ぐ。
俺はそんな言葉が聞きたいんじゃない。
頼むから今すぐ「嫌だやめろ」と言ってくれ。
そうじゃなければ自分を止める術すら俺は知らない。
「…ないこ、頼むから殴ってでも止めてよ。俺のこと」
「!……っ」
そう口にした俺の言葉から、ないこも今まで秘めてきたこちらの感情を理解したようだった。
俺の腕を掴んでいた手は、ここまでは何とか留まろうとしていたのかもしれない。
だけどその手からはふっと力が緩められ、そしてそのまま俺の首に回された。
殴って止めるどころか、応じるように舌を絡め直してくる。
ないこの彼女だという女の影が脳裏をよぎった気がしたけれど、それすらももう自分を留める理由にはならなかった。
これは浮気なんかじゃない。そう思うのは自分勝手な言い訳だろうか。
だって、彼女のことは一度も本気で好きになれたことはなかった。
ただ今後の活動のために選んだだけ。
そうして自分の全てを活動に置いて生きていくことが、これからの自分にはふさわしいと思っていたから。
そこに一人の男としての幸せなんて必要ない。
活動者「ないこ」としてやっていければそれでいい。
ただそれだけを思って選んだ相手だった。
「…クズじゃん、まじで」
自嘲気味な笑みが零れる。
彼女からしたら最低な言い分だろう。
だけど俺にとってはこれは「浮気」ではなく、ただ本当に心の奥底で好きだった人と結ばれるまでの「回り道」でしかなかった。
ベッドに上体を起こし、シャツ1枚纏っていない上半身に毛布を手繰り寄せる。
そして隣を見やると、こちらも上裸のまろが眠ったまま一度咳をした。
病み上がりでこんな勢いからの行為に耽って…熱をぶり返さないといいけど。
そう思いながらもまろの肩にも布団をかけ直してやると、あいつはそのぬくもりに目を閉じたまま幸せそうに笑んだように見えた。
…随分と遠回りした回り道だったな、と思う。
こんなきっかけを得るまで自分の気持ちにすら気づかないなんて。
「自分のこれからは全て活動に捧げる」…。
そう胸に誓ったはずの俺の隣には、一番ふさわしい人がずっと立っていてくれてたっていうのに。
好きだと口にするには、その言葉は陳腐だ。
好きだの嫌いだので片付けられる感情じゃない。
もっと自分の無自覚下の域から、全身で欲してしまうような想い。
…今夜、彼女のところへ行って別れを告げて来よう。
その後のことはどうなるか分からない。
怒った彼女の父親に今後の契約を保留にされるかもしれないし、彼女自身から何か良からぬ報復を受けるかもしれない。
でも…そうだとしても、だ。
それを懸念して関係を続けていくよりも、もっと大切なものができてしまった。
この後待ち受ける自分の未来を、きっと半分背負って一緒に足掻いてくれるまろが隣にいる。
「…一番最初から俺の横にいてくれたの、お前なのにな」
この活動を始めたときに最初に隣に立ってくれたまろ。
俺たちがいつかこの活動を終えるとき…いや、活動を終えた後も、まろはきっと俺の隣にいてくれるんだろう。
そこに気づくのに随分と時間がかかってしまった。
だからその分、繋いだ手は二度と離さないから。
そう覚悟を決めるように胸の内で呟いて、俺は眠るまろの指に自分のそれを交互に絡める。
強く強く力を込めて、その指をぎゅっと握った。
コメント
4件
桃くんが「やだ」って言ったときにはもう私感動しました! それだけで涙が出そう((🙄 青くんのためにスーパーに買い物いくなんて桃くん優しすぎです!これからも更新頑張ってください!
え。好きかも🤍🍣ちゃんがそんなんいやだって言うのが可愛すぎました❣️どんなに可愛い女の子から迫られてもやっぱりずっと一緒にいる相棒には勝てませんね😌😌
回り道という表現素敵です…✨✨ あおば様のお話出てくる方は本当に悪い方ではない限りほんわりとした穏やかな方が多くて自然に読み進められるんですよね🎶 青さんの違和感に気づいて看病する桃さん…相棒感ましましで好きです💕💕 やはり青桃さんは尊すぎますっ!!🥹💘