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14 - 幸せな約束

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2023年10月02日

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剣持家の末っ子である剣持刀也は人々に愛されて育ってきた。その末っ子の名は刀也という。刀也は幼いながらも聡明であり書物を好む少年であった。その知識量には本当に幼い子供なのかと疑うような程だった。刀也のその容姿はとても美しい。深い紫色の髪の毛。その髪は常に、まるで天使の輪のような艶をもっている。そしてなんと言ってもペリドット色をした絶対に輝きを失なうことを知らないような、見ているとまるで吸い込まれるような魅力的な瞳だ。そんな刀也を家族は大事に大事に育て、愛してきた。刀也は歳相応の姿をあまり家族に見せたことがなかった。もちろん家族は悲しんだが刀也の性格を考えるとそんなに騒がしい子ではないのかなと思い、納得した。だけどそんな刀也が唯一、気を許して歳相応の姿を見せる相手がいる。


「刀也様、伏見様がいらっしゃいました」

「ありがとうございます。この部屋に来るよう伝えてもらってもいいですか?」

「かしこまりました」


伏見、詳しくは伏見ガクという。伏見ガクとは刀也が7歳の頃に初めて行った街で迷子になってしまった時に出会い、しばらく一緒にいてくれて、しかも家族を探し見つけてくれた人だ。その後どうしても気になった刀也が父親に頼み捜索してもらい、とある国の第二王子であることが分かった。なんとか会う機会をつくってもらってお礼しに行ったのだが話した時にとても優しくて楽しい伏見に幼いながら心惹かれたのだ。それからというもの刀也から猛アプローチをして去年の10歳の時に結ばれたのだ。当然ながら家族からの反対はすごかった。そんな幼い自分達のかわいい息子をどこの馬の骨かも分からない青年にあげるわけがない、しかも捜索を協力してと言われるのはなんとも悩ましかった。だけどいつもそんなに頼り事や欲しいものを言わない刀也が珍しく一人の青年にこんなにも熱心に興味をもっているのだ。そんな珍しい姿に他でもない自分たちが協力、応援をしなければいけない、どんな理由でも興味をもつことがとてつもなく嬉しかった。


コンコン

「刀也さん?入りますよ─」

「がっくん!!」

「よっと…刀也さん来ましたよ!会いたかった〜!!」

ドアが開かれると同時に勢い良く飛び出した刀也、それを予測していたかのように優しく受け止め、抱っこする。もはやこれはいつものことと言ってもいいほどのこと。

「えへへ、僕もがっくんと会いたかったです!」

「はぁ〜……刀也さん、いい子っすねぇ」

「んふふがっくん好きぃ!」

小さくて丸い頭を優しく撫でる。するととても嬉しそうな、可愛らしい笑顔になる。それがとても愛おしくてたくさん甘やかしてなでてしまう。それでも幸せそうな顔をして喜んでくれるのだからこちらも嬉しくなる。

「俺も好きですよ。…あ!そうだ、今日は刀也さんに渡したい物があったんすよね」

「ん?なにぃ?」

「えっとねぇ…ん〜とここらへんに確か…お!あったあった」

伏見が取り出したのは少し小さめで、優しいオレンジ色をした箱だった。

「?なぁにこれ」

「これはねぇ…じゃ〜ん!どう?」

そこにあったのは藤の花をイメージした深い紫と柔らかい緑色、そしてワンポイントとして葉っぱの中に少しオレンジ色が入ったブローチだった。

「わぁ…!すごい綺麗!がっくんこんな綺麗なのどこにあったの?」

「ん?気になる?これはオレが街に行った時に見つけたんすよ。これを見た時にビビっときてこんなの刀也さんの為にあるようなものだと思ってね、買っちゃった」

そう、このブローチは伏見が街で偵察をしている時に通りかけた店で偶然見つけたものでその店にはたくさんのアクセサリーがありブローチの他にもネックレスや指輪、ピアスそしてブレスレット等色とりどりでとても華やかな店内だった。その中で藤の花のブローチを見つけ、これを刀也に贈ろうと思ったがなにか、一つアクセントが欲しくなった。そこで店主の人に無理を言って葉っぱの一部にオレンジ色を取り入れてくれないかと相談した。もちろん最初の方は拒否されたがここのアクセサリーを買い取って友人や親戚などに広めるからと言ったら快く承諾してくれた。それでオレンジ色を取り入れてくれたのだが思った以上に良い感じになっていてまぁそれなりの値段はしたがこれを受け取った時の刀也の喜んだ顔が思い浮かびこんな値段それに比べたらどうってこともないこれをはやくあげたくてたまらなかった。

「と〜ても嬉しい!でもこれ…高かったでしょ?ごめんね…」

もちろん刀也は喜んでくれたが流石に見ただけでも分かる値段の高さに申し訳なくなった。貰って嬉しいのだが伏見にそんな高いものを買わせてしかもそれが自分にあげるものとなるとなんだか遠慮してしまう。その言葉を聞いて刀也なら喜んでくれると思ったのだがまさか値段を気にして謝ってくるとは思わなかった。伏見は当然そんなことをして欲しいわけではなく、ただ単純に喜んでほしかっただけなのだ。

「あぇ!?全然高くないっすよ!値段なんて気にせずに刀也さんが喜んでくれるって思ったら体が先に動いちゃったんですよ!ね、だからオレ刀也さんに笑顔になってほしいな」

「…うん!がっくんありがとう!!絶対に大事にする!」

このブローチにオレンジ色が入っていることで伏見の独占欲などが見られるがこの幼い少年はまだ分からないのだろう。

「そうしてもらえると嬉しいぜ!どう?今付けてみないっすか?」

「え、がっくんが付けてくれるの…?ほんと?」

「いいっすよ!逆に付けさせてもらえてありがたいっていうか…」

「じゃあお願いします!」

ブローチを手に取り、まだ幼い少年につける。肌に刺さらないように細心の注意をはらい、ゆっくり、丁寧にしていく。その間はお互いに何も話さずにただその様子を、指先を眺めながら時を過ごす。窓から暖かい日差しが入り部屋の中を照らしていく、そこはもう二人だけの世界でただ幸せな空間。

そして少年の胸元に藤の花のブローチが飾られる。目を引きつけられるほど美しく、そして、自分があげたものを見えるところに付けているという現実に独占欲が満たされる。

「…うん、とっても似合ってるっすよ。刀也さん」

「えへへ…なんか、いいね。がっくんがくれた物を付けるだけで特別な感じがする」

そういう刀也の表情はとても幸せそうで、あまりにも魅力的すぎた。当然伏見は一国の王子であり、自分よりも幼いその少年に手を出そうなんて考えたこともなかった。それでもあくまで恋人という関係、何回か手を出したいとは思ってきた。それを何かと理由をつけてなんとか抑えてきたのだ。もちろんこれからもそうしようと、ちゃんとした年齢になるまで待とうとしていた。それが今、自分があげたものを自分の手でつけるというなんとも言い表せない感情に伏見は混乱した。そのせいか、何かが、伏見を今まで止めていたものが音もなく切れた。

「…刀也さん。ね、いいっすよね」

「ん?がっくんどうしたの…?」

「少しぐらいなら…刀也さんも許してくれる…?」

そう言って刀也に近づく。

「だから、どうしたの?もう、なんかがっくん怖いよ…」

「刀也さ、」

コンコン

「失礼します。伏見様、そろそろご帰宅の準備をお願い致します」

「…分かった。行くから待ってろ」

「かしこまりました。それでは失礼します」


「…がっくん?」

「ふぅ…いや〜もうお別れかぁ悲しいっすね〜」

「あ、うん…もう帰っちゃうの…」

先程一瞬だけ伏見の様子が変わったことに刀也は気付いていた。なぜだか伏見の自分を見る眼がいつものような優しくて愛がこもっていて心地の良い眼ではなく何か獲物を見るような何か冷たい…そう、まるで理性をもっていないような眼に見えたのだ。あのまま来なければ何があったか…そう考えるだけでも少し恐ろしく感じた。もちろん伏見は自分にひどいことや嫌に感じることは絶対にしてこないと言える程の信頼をもっている。ただ、先程の伏見だけはあのままではいけなかった。

そんな不安を抱えていたが呼ばれてからの伏見はいつも通りの伏見でもしかしたら自分の気のせいかもしれないと刀也は心の中でその思いを抑えることにした。

「オレも帰りたくないっすよ〜!もう少し刀也さんとお話したかった!」

「僕もがっくん帰っちゃうのやだぁ…でも迷惑かけるのは違うよね…」

「…よし!最後に刀也さん、おいで。ぎゅーしよ」

「わっ」

小さい体を抱きしめる。華奢で小さいこの体、少し力を込めただけでも折れそうで毎回気をつかってしまう。もちろんそんなので人の体は折れないがなぜだか不安になってしまう。

「…ん。がっくんよしよし、悲しいけどまた会えるよ!」

「うん、刀也さんありがと。オレ刀也さんのこと大好き、愛してる」

「んふ、もうなにぃ?そんなの知ってるよ!僕も大好きなんだから!!」

「大人になったらオレのお嫁さんになって。絶対に大切にするから」

「え、あっうん…僕ももちろんそのつもりだったし…えっと、待っててね」

「ん〜〜!!もう好き〜〜!そろそろ行くかぁ」

「そうだね!がっくんのこと待ってると思うよ!」

そういえば先程呼ばれていたのを思い出した。あの時はもし呼ばれていなかったらどうなっていたことか。なんとか理性を戻してくれたのには感謝をしなければ。

「あ”っ!そうだった…!かなり待たせちゃったかもなぁ。それじゃあ刀也さん!また今度!」

「うん!ばいば〜い!!」

帰る時、いつもお互いにひどく悲しむ。伏見は王子でありながらも忙しい時間の中でなんとか会う時間をつくり、こうして刀也に会いに来ているのだ。逆も然り、刀也も稽古や勉強などたくさんのことをしているなかで伏見と会う時間をつくっている。普段は文通などを使っているがやっぱり会って話したいもの。なので本当に二人がゆっくりと過ごせる時間は数少ない。その為一回一回会う時間を本当に大切にしているのだ。


そこから数年が経ち刀也は今年で13になった。そして最近、伏見が何かと用事で忙しく二人は全く会えてない。もう2週間は経つが手紙もなしだ。刀也も伏見が忙しいことぐらい知っているししばらく連絡も取れないことは承知していた。だが実際に会えなくなるととてつもない不安や悲しみに襲われ夜遅くに普段は泣かない刀也だが泣いてしまう時もあった。家族にもとても心配されいつも慰めてもらっていた。

そんなある日、突然伏見からこんな手紙が届いた。

『剣持刀也様へ

刀也さん、元気にしてますか?最近は忙しくて中々会えてないですよね。とても悲しいです。オレはとても元気ですよ!今は結構落ち着いてきてて…明日には帰れるかんじです!それで、刀也さんにお願いがあります。本当は帰った当日にすぐ刀也さんのところにいくつもりだったんですけどとある予定があって…それで行けなくなってしまいました本当にごめんね。刀也さんへのお願いなんですけど明後日に○○っていう所に来てくれませんか?いや、本当に会いに行かないやつが何言ってんだってかんじなんですけど、どうしても来てほしいです。お願いします。

p.s刀也さん!なるべくオシャレっていうか綺麗な服装で来てほしいです…!

伏見ガク』

ずっと連絡無しでいた伏見からこんな手紙が届いていた。刀也は久しぶりの伏見からの手紙にとても喜び、嬉しそうな顔をしながらこの手紙を受け取った。その様子に家族たちはみな、安心した様子をみせていた。そしてその手紙の内容は明日会えること、だけどその日には会えずに明後日に会おうということ。しかもそこには綺麗な服装で来いと…最初輝いていた刀也の表情がどんどん曇っていった。

「…なにこれぇ!!がっくんから久しぶりに手紙が来たと思ったら…明日帰ってくるんじゃん!!!なんで!?なんで明日会いに来てくれないの!?」

「普通愛しの恋人が待ってるっていうのにさぁ!!ひどいよ…がっくんのばかぁ!そりゃ忙しいかもしれないけど、少しぐらい顔見せてくれたっていいじゃんか…なんでなの…?僕なんかしたぁ?」

当日会えないことに対してひどく落ち込む刀也。それもそのはずで誰よりも伏見のことを愛し待っていたのだからどうしても当日に顔も見せない、姿も見せないとなると悲しくなるだろう。流石の刀也でも恋人とともに過ごす時間がこんなにも少なく会えるとしてもまた待たなくてはいけないという事実に嫌になってしまう。そんな刀也を見兼ねた使用人が刀也に話しかける

「と、刀也様!そんなに悲しまないでください…!ほらこの手紙をよく読んでください!明日会えませんけど明後日なら会えるらしいですよ!」

「……明後日ぇ?」

「はい!あ、しかもここって…なるほど刀也様落ち込まなくても良いんですよ。明後日めいいっぱいオシャレして行きましょう!」

「んぇ…?明後日って…○○…?ここどこだろう?オシャレしなきゃいけないとこ?」

刀也はあまり街に行ったことがない。そのため建物の名前や何があって何が無いなどよく分からないのだ。だから伏見が指定した場所もどんなところで何をする所なのかさっぱりという訳だ。

「まぁ…詳しくは多分私からは言わないほうがよろしいかと思われますので。取り敢えずですが当日はしっかりとした服装で行かせます」

「…?よく分かんないけどまぁいっか!がっくんが言うんだもの悪いことはない!!」

なぜだか使用人が綺麗な服装で行くことを推すのでよく分からないが承諾した刀也。そういうのも伏見の言うことは絶対に信用しているのでよく分からなくても悪いことではないということは確か。それなら特に心配することもない。

その日は伏見に会えるという事実に気分が良くなり一日中笑顔でいられた。家族も、もうあんなに悲しんだ刀也を見なくても済む、とひどく安堵した様子で剣持家はいい1日を過ごせたそうだ。


今日は伏見に会える日。朝からご機嫌な様子で全身から喜びを出していた刀也。家族も微笑ましく今日の夕飯は少し豪華にしようかなど話し合っていた。

伏見からのお願いをしっかりと聞くために服装を決めていく。どうやら白色を基調とした服装で行くらしい。ズボンは少し短めの長さでシャツは襟のところに少しフリルが付いている。手首のところで少し締めておりズボンにシャツを入れた状態。靴下は膝より少し上の長さのを履いておりソックスガーターをつけてる。最後に胸元にリボンのついており、裾の部分には金の装飾がされたポンチョと横にワンポイントとして白と黄金のリボンがついたハットを被る。そして伏見にもらった藤の花をモチーフにしたブローチを胸元につけて完成だ。白い服装だが所々に金の装飾が施されている。なのでいつもよりも髪色と眼の色が目立つ。何よりもこの胸元のブローチが一番気に入っているところだ。見る人にはまるで天使かと間違える程にとても美しい。流石に期待を入れすぎたかと刀也は不安になったが色んな人に似合ってるや美しいと聞いて自信をもったのか満足げな顔をしていた。それから馬車を使い目的地に向かう。

目的地に着き降りた瞬間刀也は感動したなんと伏見が提示した場所とは教会のことだったのだ。もちろん使用人達はそのことを知っていて今の刀也の服装に白を基調としたものにしていた。刀也は教会に来たのは初めてじゃないのだが前回来たのは3歳ぐらいの時だったのであまり覚えていなかった。だからなのか今回来たこの教会がとてもすごく感じ、なんだか心が休まるような穏やかになるようなかんじがする。

そういえば呼んだ本人はどこにいるのだろうか。

「あれ、あのがっくんは?ここに呼んだのがっくんですよね」

「伏見様ですか…えっと…あ!あちらに伏見様の使用人の方がいらっしゃいますよ!」

「ん?ほんとだ…あれ、こっちに来てません?」

ここへ呼んだ本人の伏見が見当たらずどうしようかと悩んでいるとなにやら入り口の近くに伏見の使用人と思われる人が立っていた。しばらく見ていたら目が合った。と思ったら急にこっちに走ってきた。

「刀也様ですね?」

「え、あぁはいそうですけど…あのがっくんは……」

「ご安心してください。伏見様はこの教会の中で刀也様を待っていますよ。私が伏見様から刀也様が来たら案内してほしいと言われここで待っておりました」

名前を聞かれそうだと答え伏見はどこにいるのか聞くとやはりここに来ているようで教会の中に居るらしい。どうやら伏見がこの使用人に自分たちが来たら案内しろと命令したらしくこの人はあの入り口でずっと待っててくれたのだろう。少し疲れている気がする。

「どうぞ、刀也様。この中へお入りください。あとすみませんがこの中へ入るのは刀也様だけにしてもらえないでしょうか?伏見様からのお願いです」

「がっくんが…あの、すみませんけど僕一人で大丈夫です。ここで待っててください」

「かしこまりました。何かありましたらすぐにお知らせください」

「ん、ありがとうございます」

伏見の使用人が言うにはこの教会の中へは自分一人で入ってほしいとのこと、もちろんそこに不安や怪しい要素なんて何一つ感じないからそうするつもりだった。だけど一応刀也のことを守ってくれる人もいる訳なので許可をもらう。少し不安だったがそんなことはなく快く承諾してくれた。何かあったらすぐに知らせるしいいだろう。

そして少し緊張しながらも教会のドアを開ける。

「……わぁ…!」

その内装はとても神秘的で全体的に白で統一されており天井を見上げようとすると首が痛くなるほど高く正面の奥にあるガラスの窓やステンドグラスから差す日光で教会内が暖かい光に包まれている。通路の両脇にはたくさんの椅子が並べられており花の装飾がされている。

「…あ」

「刀也さん」

一番奥の少し階段になっているところにずっと待ってた、本当に会いたかった存在。伏見ガクがそこにいた。

「がっく、が、がっくん…!!」

思わず見た瞬間に走り出してしまった。全力で、今出せる力をめいいっぱい出して伏見の方へ走っていく。その衝撃で帽子が落ちてしまったがそんなの関係ない。今はとにかく伏見が大事なのだ。はやく近付いて、ハグをして、今まで溜めてたぶんを全部。はやく。

そしてあともう少しでつく、というところまで来た瞬間

「う、わ!」

あまりにも勢いが強すぎて階段があることに気付かなかった。そのまま転ぶかと思い思いっきり目を瞑って耐えようとした、そのとき

「危ない!!…刀也さん、大丈夫?怪我とかしてない?」

間一髪というところで伏見が手を伸ばし抱きとめてくれた。

「うん、大丈夫!それより…がっくん会いたかった!!なんで、なんで昨日会いに来てくれなかったの…僕、僕ずっと寂しく、て」

「うん、ごめんね…ごめんね刀也さん。悪かった。事情があったんだ。オレもずっと会いたかった…!」

触れ合った瞬間何かが切れたかのようにお互いぽろぽろと涙が溢れて来てしまった。本当に我慢の限界で会いたかったのを無理に我慢したせいで奥底には会いたいという思いが溜まっていた。それが今、会って、抱きしめてお互いに思いが溢れていった。

「刀也さん…会いたかった…ほんとに大好き……」

「僕も、会いたかったんだよぉ!それなのにがっくんが無理って…!ほんとに悲しかったんだから!!ばかぁ!」

「ごめんなぁ…?でもオレどうしてもここに刀也さんと来たくて…て、あ!!刀也さん、服!!」

「え?服?あぁがっくんが綺麗なので来いって言うから…よく分かんないって言ったら使用人さんがいろいろとしてくれて…なんで?」

「はわぁ…えぇ…まじでめっちゃいいっす……わぁ…なんかもう最高に可愛くてかっこいいっすね…ん!?ブローチ付けてくれてるじゃないっすか!もう刀也さん最高すぎ!!」

「えぇなにぃ?褒めても何も出ないけど!少し気合い入れすぎたかなって思ったんだけど…」

「えぇ!?そんなことないっすよ!もうブローチ付けてくれるの本当に好き過ぎる…!その全体的に白くしてくれたりとかその胸元のリボンとか!!全部刀也さんに似合ってる!オレに会う為にオシャレしてくれたと思うと…」

「えへ、ありがと!そういうがっくんも…その…か、かっこいい、よ?」

「はぇ…?かっ!刀也さん好きです〜〜」

「あはは!もうがっくん顔真っ赤〜!んふ僕も好き!」

「刀也さんも赤いじゃないすか!」

褒め合いに褒め合い、お互いが顔真っ赤になっていた。話している間ずっと刀也は伏見の足の上に座って向き合いながら話していた。それだけで二人は幸せな気持ちでたくさんになりとても居心地の良い空間だった。

「そうだ、刀也さん。オレ刀也さんをここに呼んだのに理由があるんですよ」

「え、なぁに?」

「─刀也さん、オレと結婚してくれませんか」

「え」

なんと伏見が刀也をここに呼んだのはプロポーズをする為に呼んだのだ。さっきまで楽しく会話をしていたが急なことに驚く。

「け、こん…?僕とがっくんが?」

「うん。その為に昨日まで頑張ってきたんだ」

「この指輪…わざわざ買ってくれたの?」

「そうだよ。刀也さんの為に選んで刀也さんがどんな反応してくれるかなってたくさん考えて…まぁそれのせいで昨日会えなかったんすけどね笑」

「昨日…!そんな理由があったんだ…なんだぁ安心したぁ!」

「えっと、それで刀也さんお返事は…」

「…うん!よろしくお願いします!」

「…!!よっっしゃあ!刀也さんオレ一生刀也さんのこと愛すし、大事にするし絶対に離さない!」

「浮気なんてしたら許さないんですからね!僕が子供だからってみくびらないでください!!」

「そんなことしないっすよ。ね、刀也さんこっち向いて」

「…ん?なぁに、」

教会全体に暖かい光が差し込む。幸せな空気で溢れ、ここには二人を邪魔する者は誰一人としていないだろう。今ここで愛し合っている二人の将来の誓いが交された。これは絶対に破られることはなく二人を暖かく包んでくれるだろう。

この二人が近い未来またここで今度は永遠の愛を誓い、たくさんの人に祝福され幸せに暮らせるのはまた別のお話─

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