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うぇい〜〜やっぱ路地裏で人助けた〜( ^ら^ )私の記憶あってたうれしぃ〜 相手の拳は勢いよく止まってるのに手への衝撃は軽いのが強さを物語ってるよね
海岸沿いを走り繁華街へと続く道に進路を変更させる。息が整って来たところである程度スピードを緩め歩き出す。肩や頬に何か当たった気がしたが気のせいだろうと思い人を何人か避けた後…
ザアァァァ…
突如降り出した天候に、周りにいた人たちがざわめく。髪が変化しないうちにと、なんとか人混みから身を避ける為、慌てて近くの路地裏へと駆け込む。
「はぁ?本当にこれで全部なのかぁ?」
Tシャツで来てしまった為髪を隠すものがないと身についた水滴を払っていると後ろから怒りを含んだ声が聞こえてくる。同時に何かが袋に埋もれるような音が聞こえる。
「ッごめんなさい、もうこれしか…」
「昨日はもっと持ってたよなぁ‼︎」
殴りかかろうと振りかぶった拳が強く何かに当たる。それと同時に自身の手のひらに軽い衝撃が走り、何をしてしまったか嫌でも理解出来た。
「な、なんだお前…って」
もう一発来るのかと閉じていた瞳を開けば、目の前には瞳孔を開かせた少年がこちらを見てカタカタと震えていた。
僕はこういう時、複雑な気分になる。
「青の…悪魔⁉︎」
初めて呼ばれる別称に思わず首を傾げてしまう。けれどその行為が相手からすれば威嚇と判断されたようで、さらに彼の顔が青くなっていく。
「ご、ごめんなさい‼︎もうしませんからぁ‼︎」
情けなく逃げていく背中を尻目に、残された何人かの取り巻きが尻餅をつき地面に座っている様子に目を向けた。まさか自分たちに的が向くとは思っても見なかったのだろう、大きく目を見開けた後、彼と同じように背を向け走って行った。
僕はその場にため息を一つつく。
こ、怖かったぁ〜…w
「…あの‼︎」
ドキドキと活気に動く鼓動に、胸を押さえながら呼ばれた方向へと振り返る。
そこには、目を輝かせた珍しい髪色を持つ少年が立っていた。
「ありがとうございました‼︎」
勢いよく頭を下がる彼。それはもう、勢いが良すぎて頭が取れてしまうぞと思うくらいに。
今まで好奇な目で見てくる人はいなかった。けれど目の前の彼は、何故か憧れじみた瞳を向けてくる。
僕にはその視線がどうにも慣れないんだ。
「あの、どうお礼をしたら良いか…ッ」
額から溢れんばかりの汗を流す彼。いや、頬から流れ落ちる雫は雨のせいなのかもしれない。
「君、タオル持ってない?w」
どうにも話を聞けば、彼らには何度も被害に遭っているそうで、今回部活に行こうとしたところを捕まったそうだ。おかげで部活には行けず、彼の貸してくれた未使用のタオルは柔軟剤の良い香りがした。
僕は少年と別れを告げ、雨が止むと同時に路地裏を抜けた。いつもより多少時間が押しているので、目的地であるスーパーへと早々に足を運んだ。