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気付いたら殺風景な空間にいた。
目の前には花瓶が置いてある。全体的に青く、中心が黄色になっている花が活けてあった。
自分に花の知識があればこの花の名前や花言葉も分かるのだろうか。それにしてもとても綺麗な花だ。
あの人ならこの花が似合いそうだなあ。
でも花言葉が最悪だったらどうしよう。
ってそんなことを言っている場合ではない。今自分は知らないところにいるんだ。だが周りを見渡しても白い地平線しか見えてこなかった。
「取り敢えず、動いてみるか」
何もしないよりかはマシな筈だ。
しかしどこへ行こうか。方向音痴で土地勘もない自分には唯一の目印である花瓶だが、この目印は不安に思えた。
「あ~もうこっちでいいや!!」
考えることをやめた自分は花瓶を背にして全速力で走った。
走って走って転びそうになるぐらいに走って………
段々視界がぼやけていく。
無機質な音が夢から現実へと引き戻してきた。
「夢か…」
目覚まし時計を止めてベッドから起き上がる。そして、いつもと同じようにドアを開け、階段を降り、洗面台で顔を洗う。
リビングには置手紙で『今日も朝から仕事です。帰るのも遅いのでご飯を温めて食べて下さい。』と書いている。
レンジで温めて食べる。みそ汁と白米と卵と醤油。こんなんで腹がいっぱいになるのかと思うかもしれないが自分は小食なのでこれで満足。
歯を磨いて皿を洗って制服を着て電気を消しリュックを背負った。
「行ってきます」
自分以外誰も居ない家にそう云うと私は家を出た。
今日見た夢を思い出しながら、
変わらない、なんの変哲もない、ただの日常。
夏野つばき(かのつばき)14歳 7月14日生まれ