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『純粋なる死神』
僕は物心が着いた時にはもう、そう呼ばれていた。
でも1人だけ、あの人は僕の名前を読んでくれたから、僕を僕としてみてくれたから、だから大好きだった。
けれど今はもうあの人の事は大嫌いだ。
だってあの人は僕は、あの人にとって僕は──
利用しやすい道具だったのだから。
だから僕は、俺は死神さんを名乗る。
本来の名前は、あの人を思い出してしまうから。
「もう、死にたい。
こんな世界無くなれば良いのに。」
少女はそう言っていた。
雨の中、傘もささずに街を歩いていた君はずぶ濡れだった。
これは確か、25年前の絹と影虎が居ない時、暇つぶしに話しかけたあと365日で死ぬ少女と彼女を殺す死神である俺の──────物語だ。
「なんで君はそんな事を言うの?
生きているだけ良いじゃないか、君として此処に存在出来るだけで良いじゃないか」
そんな事を言うと少女はムスッと頬を膨らませ
「貴方、無駄に達観してるのね」
煽っているのか、怒っているのか。
まぁ、特に意味がわからなかったので
「そうか?」
と端的に返信をする。
それよりも死期より早く死なれると困るので
「それよりも何処か雨宿りできるところに行こう、風邪を引くぞ」
そう言いながら少女の手を引く、少女の手は冷たく、冷え切っていた。
「あの人、一体なんなのよ……」
風邪を引くから、と近くのホテルに私は連れ込まれた。
『着替えてくる』
そう言うとさっさとあの人は別のベッドルームに行ってしまった。
着替えて出てきたと思ったら
真っ直ぐに私の方に歩いてきた。
何かされるのか、と思っているとあの人は部屋のカードキーを私の目の前のランプを置くための小さなテーブルの上に置くと
『どうせ、替えの服を持っていないんだろ?
適当なの見繕って買ってくるから待ってろ。
濡れた服でもいいから帰りたいなら鍵を使っ
て勝手に出てってもいいから』
そう言って、部屋から出ていってしまった。
そして現在、今はひとりぼっちで待っている。
「ただいま」
ガチャリと扉が開く音と共に、凛とした男としては、高めの声が響く。
「適当にワンピース、買ってきた」
ポイッと軽く服入りの袋を投げられる。
中に入っていたのは長袖の腰の茶色いベルトがワンポイントになっている白いワンピース、
それと
「メロンパン?」
そう呟くと
「腹減ったら食べて、寝室に入らないならあとは自由にしてていいよ」
「あ、ありがと」
やっぱり、この人が考えている事はよく分からないな、そんなことを考えながら服を着替えると、私はメロンパンを頬張りながらホテルの一室をあとにした。
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┃死ぬまで後、364日┃
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