春編(始まりの物語)
如月 柚希…昔、いじめられていた。ドジで天然。中学一年生。身長138センチ
横山 奏太…中学二年生。チャラ男。身長160センチ
橋本 裕也…中学一年生。口が悪い。究極のツンデレ。身長140センチ
清本 南…裕也の幼馴染。裕也のことが好きで柚希のことを敵対してる。身長142センチ
藤井 湊…昔、柚希に助けられた。裕也の親友。サッカーがうまい。中学一年生。身長158センチ
横溝 満里奈…クラスのボス女子裕也が好き。中学一年生。身長156センチ
「柚希ー。遅刻しちゃうよー」
「はーい」
私の名前は如月柚希。今日から花の中学一年生。楽しみすぎて今日は4時に起きてしまった。
実は私、小学生のころずっといじめられていた。
「如月さん!またぶりっこして男子のこと落としてんの?」
「マジできもいんですけどー」
「そんなことしてないのに…」
「は?そんなわけないでしょ?」
「そんなことしてないのに…だって。ウケる!」
「マネうますぎー」
「それと、私の靴、知ってますか?」
「知らなーい」
「ゴミ箱にあったような?笑笑」
「わかった。ありがとうございました」
学年全員からブスというあだ名をつけられ、みんなからそのようなあだ名で呼ばれた。
全員が全員いじめたくていじめているわけではないということはわかっているけど
やっぱりみんなが悪口を言ったり、するのは悲しかった。
だから、中学生ではいじめられないように頑張るって決めたんだ!
「じゃあママ、いってきまーす」
「いってらっしゃい」
私は1組かー。初日だし緊張するけど友達たくさんつくりたいな!
「わあ!!!!」(ドン)
「いってーな。こっちは急いでんのに。だるすぎ。てかお前見えてる(真っ赤)」
「え?なにが」
「?さっさと立てよ」
「うん!(?)ちょっと待って。名前なんて言うの?」
「橋本裕也だよ!怒」
「ありがとう」
「てか、お前は?」
「名前は如月柚希だよ!友達第一号になって!」
「おう。お前何組?」
「柚希って呼んでよー」
「柚希。何組?」
「1組」
「同じやん」
「じゃあ一緒にいかない?」
「別にいいぜ」
「裕也おはよ」
「おはよ」
「ところで隣にいるやつってだれ?もしかしてだけど彼女?」
「そんなわけない!だれがこんなブスと付き合うんだよ。は?泣いてんの?」
(ダッダッダっ)
「おい!ちょっと待て」
はー。結局中学校でもいろいろ嫌なこと言われちゃうんだな。この先どうしよ。
最初の友達作りでも失敗しちゃったし。
(ガチャ)
「ん?君、名前なんていうの?」
「如月柚希です。名前はなんですか?」
「横山奏太だよ。ところで柚希ちゃん、一年生だよね?」
「はい。そうですけどなんでわかったんですか?」
「ぼくはいっつもここに遊びに来ているんですよ」
「そうだったんですね」
「どうして泣いてるの?」
「特に何にもないです。」
「こんなかわいい子が泣いてるのに何にもないっていうことはないでしょ?」
「かわいいなんて…」
「あんまり自分を責めすぎちゃだめだよ!」
「はい」
「そんな顔してないで笑ってはいって言ってみてよ」
「はい」
「もう一回」
「はい!(ニッコー)先輩のおかげで元気が出ましたありがとうございます」
「どういたしまして」
「新入生はもうすぐ教室に行ったほうがいいと思うよ」
「はい!ところで一年生の教室ってどこですか?」
「送ってこうか?」
「いえいえ。そんなの申し訳ないです。自分で解決しますから。
わざわざありがとうございます。ではまた(ガチャり)」
私は先輩がこの後
僕の周りにはいないタイプのかわいい女の子だったなー。普通にしてる顔も好きだけど
笑った顔めちゃくちゃかわいかったな。きっとあの子なら初日で全クラスの男子全員を落とせる。
次のターゲットはあの子にしよう!
と思ってたなんて知るよしもなかった。
あれ?こっからどう行くんだろ?それにしても最初にあった裕也より奏太先輩はすごーくかっこよかったな
もしかしたら、私は奏太先輩に惚れてる?うそ?そんなことないない。
「柚希ちゃん。大丈夫?」
「わあ!奏太先輩!何がですか?」
「ちゃんと教室いけそうかなー?って」
「もちろんですよ!」
「ほんとかなー?じゃあ前で歩いてみてよ」
「はいっ!………やっぱりわからないです。」
「素直でよろしい」
「笑笑」
「ちょっとどいてくれます?」
「ごめん!」
「あの人だれ?」
「横山裕也ですよ」
「ふーん。態度悪いね」
「先輩!聞こえちゃいますよ」
「別にいいよ。一年一組の教室はここだよ」
「ありがとうございます」
「じゃあね」
あーかっこよかった。途中裕也が邪魔してきたのが嫌だったけど、普通に楽しかった。
わざわざ追いかけてきてくれるなんて。なんて優しいんだろう。
それにしても先輩は何で私が一組ってことを知ってたんだろう?
「おい。柚希。あいつは?」
「奏太先輩だよ」
「仲いいのか?」
「良くもないし悪くもない」
「ふーん。あんまり奏太と仲良くしないほうがいいぜ。」
「しゃべったことない人が仲良くしないほうがいいなんて言わないで!」
「ごめん」
「意外に素直なんだね」
「は?」
「は?とか言いながらも赤くなってるね!」
「うっせーな」
「ツンデレ!」
「ビッグフェイス」
「うるさい!」
「じゃあ席についてー。今日からこのクラスの担任になりました。西田といいます。
よろしくお願いします。先生、みんなと会うの初めてで、名前わからないから、はじから自己紹介してって。」
(順番に自己紹介していく)
「じゃあ次の人」
「はい。如月柚希です。趣味は猫と遊ぶことです。1年間よろしくお願いします」
「じゃあ如月さんの隣の人」
「はい。橋本裕也です。好きなスポーツはバスケです。」
「はいはーい。質問でーす。裕也君の好きな人は誰ですかー?」
「おい。湊!」
「まずいるの?」
「俺にだって好きな人ぐらい、いるし!
好きな人は天然で身長が低くて俺に変なものを見せてきた人です。」
それってわたしのことじゃない?まあ多分人違いでしょう!
「いえーい」
「それは誰の事?」
「南ちゃんでしょー」
「南だけはない」
「はい、ちょっと静かにして!自己紹介が終わったので、今から4人組を作ってください。
ちょっとした、ゲームをしたいと思います。」
誰とペア組もうかな?でもペアといってもまだ裕也としか話したことないし、
裕也とくもっかな。
ん?
よくよく見ると裕也の周りにはたくさんの女子がいて、裕也とペアを組もうとしている。
「やっぱ裕也は無理かな?違う人とペアになろ!」
「おい。柚希一緒にペア組もうぜ!」
「いいけど、そこにいる女の子たちは?」
「そんなことどうでもいい。」
「え?でも」
「でもじゃねーよ。俺はペアを作り終わったから、ほかの人と組んで」
「「「「「「「「えええええ~~~~~~!?!?!?!?!?!?」」」」」」」」
「裕也はほかにも誰かと組んでるの?」
「もちろんだぜ!紹介するな。こっちが俺の親友、藤白湊。こっちは俺の幼馴染の清本南」
「よろしくねー」
「よろー」
「こちらこそよろしくお願いします」
すごい!裕也の近くにいるだけで私なんかは一生入れないと思っていた、日向の
グループに入れっちゃった!?裕也ってやっぱすごいんだな
「みんな4人グループつくれたかな?じゃあそのグループの中で2人と2人に分かれてね。
できるだけ男女が混ざるようにして。」
「どうする?」
「ぐっパでいいんじゃない?」
「さんせー」
「ぐっとパーでわかれましょ!」
「私グーです。」
「俺もグー」
「おっけ。じゃあ裕也と柚希ちゃんがペアでおれと南がペアね!」
「分かれられましたか?では今から二人が腕を組んで、背中をくっつけながら
立つという運動をしていきたいと思います。初めてください」
「どうする?裕也がやりたくないんならやらなくてもいいけど」
「やろ」
「うん」
「よいしょ」
「無理だー。できない」
「たぶん俺と柚希だと身長差がありすぎるんだと思う」
「どうすればいいの?」
「どうしようもないんじゃない?」
「やだ。あきらめたくない」
「負けず嫌いなんだー」
「違うし」
「じゃあがんばろ!」
「うん!」
10分後
「できたー!やったー」
「なんでそんなに喜んでるんだよ?」
「だってうれしいじゃん」
「よかったな。っておまえ抱き着くなよ。」
「あっごめん。私きもいよね。」
「そんなことない!確かに今のはやばかったけど…あのさ言いにくいことなんだけど
柚希って昔、いじめられてたりした?」
「うん。実はね」
「なにがあったか話してくれない?」
「いいよ。小学校でいじめられていた子がいてその子をいじめていた子に反論したんだよね。
そしたら前にいじめられていた子はいじめられなくなったけど、そのかわり私がいじめられる
ようになっちゃって」
「すごい感動的な話だね。でも柚希は正義感が強くてすごい、いい人だってことがわかったよ」
「そんなことないよ」
「きっと助けられた人は柚希にものすごく感謝しているんだろうね」
「えへへ」
「柚希は今、気になっている人とかいるの?」
「別にいないよ」
「奏太でしょ?」
「違うよ」
「柚希ったらわかりやすい。奏太の名前だしたら、すっごく焦ってる」
「うっそ?」
「ほんと。柚希が奏太のこと好きって秘密にしてあげるから、みんなに俺と実は
付き合っていたって言ってくれない?」
「私が、裕也と!?」
「うん」
「ちょっと考えさせて」
「ダメ。今ここで決めて」
「お願い」
「(真っ赤)もう!わかった…じゃあ明日まで待つから明日返事ちょうだい」
「うん。ありがとう。私次、生徒証の写真撮る番だから、また」
「うん」
「おい。裕也!約束が違うじゃないか!」
「べつに」
「別にじゃねーよ」
「あそこで自信なくすなよ。ほんっと馬鹿だな」
「馬鹿とか言うなよ」
「もうちょっと後のことを考えてうその付き合いとか始めろよ。
柚希は小学校のころいじめられていたということはいじめがトラウマ
みたいなもんなんだぞ?また女子たちにいじめられるかもだな」
「たしかに。それはやべーぞ。柚希に伝えてくる」
「柚希!」
「どうしたの?」
「さっきの嘘で付き合うっていう話なかったことにしてくれないか?」
「いいけど。どうして?」
「柚希が俺と付き合うことになったら女子たちにいじめられるかもしれないからだ」
「確かにだね。じゃあ私の好きな人の話はだれにも言わないってことでいいんだよね?」
「おう」
「わかった」
「じゃあ俺は生徒証の写真撮ってくるからまたな」
「如月さん!」
「どうしたの?」
「ちょっとこっちにきてくれない?」
私は満里奈ちゃんに体育館裏へと連れていかれた。
「さっき裕也君と二人っきりで話していたよね?」
「うん」
「何を話していたのか言わないとこれで殴るよ?」
満里奈ちゃんは手にハンマーらしきものを持っていた
「ちょっと2軍。この人をおさえといて!」
「「はい!」」
二人がかりでおさえられて、ほかの二人が先生が来ないか見張っている。
小学生の頃のいじめの現場とめちゃくちゃ似ていたから、だんだんと怖くなっていった。
「裕也ー」
「どうしたんだよ?そんなに焦って。湊がそんなに焦っ……
「柚希がいないんだよ!」
「嘘だろ!?」
「奏太お前が出るとこじゃねーよ」
「どっちが助けられるか、勝負しよーぜ」
「行ってくる。湊は先生呼んでおけ」
「いやだ。柚希は誰にも言ってなかったが、俺の命の恩人だ」
「その話はあとで聞く」
「多分いじめの場所といったら体育館らでしょ」
「そうだと僕も思った」
「いくぜ!」
私はそのころ、満里奈ちゃんに殴られそうになっていた
「そろそろ白状したら?あなたの体が傷つくだけよ?」
「言うわけないじゃん」
「じゃあ、これで最後にするね。さっきは何話していたの?」
私は軽くだけど満里奈ちゃんに5回ほど殴られていた。
どうしても言いたくなかったから、もうこれで私は死んじゃうのかなと思っていた。
やっぱ人ってピンチの時はゆっくりと時間が流れていくんだね。
「ちょっと待て!これ以上俺の柚希を傷つけるな!」
私の目の前には奏太先輩と裕也と湊くんが現れた。
奏太先輩は空手で湊君と裕也は素手で一瞬で満里奈ちゃんたちを
降参させてしまった…
「柚希ちゃん!大丈夫だった?」
「はい!三人ともありがとうございます」
「いやいや」
「全然大丈夫だよ」
「湊君?さっきから何にもしゃべってないけど大丈夫?」
「これからみんなに俺の過去のことについて話したい」
「「「???」」」
「実は俺は昔柚希がいる学校に通っていた。そのときに女子の一人の体を触ってしまい、
みんなに変態と言われ、特に女子からいじめられるようになった。」
「え?もしかしてだけど」
「そう。俺はあの時柚希に助けられたんだ」
「あれって湊君だったんだ!」
「あの時はほんとにごめん。柚希が俺をかばっていじめられたときに俺は
いじめの標的がまた自分に向いてほしくないと思い、裕也がいた小学校に
逃げてきた。転校した小学校ではいじめはいっさいなかった。しかもこんな俺を
認めてくれて仲良くしてくれる友達がたくさんいた。すごい楽しかった。
柚希とここの中学校であったときはマジで運命かと思った。俺はそんな柚希に
惚れている」
「「「???」」」
「柚希ちゃんはこの僕のものだ」
「柚希はぜってーわたさねーよ」
「?」
「裕也には謝らなきゃいけないな」
「許せるわけねーじゃん」
「でも裕也と湊はすっごーくわかりやすかった」
「おい!南は何でこんなところにいるんだ?」
「だってもう給食だよ?」
「わー!やばいよー」
「やっべ」
「じゃあ僕の教室はここだから、またね」
「てめーに柚希はわたさねー」
「俺のほうが柚希のこと好きだから」
「(真っ赤)じゃあ奏太先輩また。」
「如月さん?どうしてこんなに切り傷などがたくさんあるんですか?」
「わあ!気づかなかった。えっと……」
「こいつほんとに足が遅いんで走る練習をしていたんですよ」
「一回保健室に行ってください。橋本さん、連れて行ってあげてください」
「わかりました」
「しつれいしまーす。……って先生がいない」
「じゃあ俺が処置する」
「できるの?」
「おう。親が医者と看護師だから」
「すごーい。なんでもできるんだね」
「(真っ赤)そんなことねーよ」
「ちょっと触ってもいいか?」
「(真っ赤)全然いいよ」
「よーし。できたぜ。立てるか?」
「うん!あったりまえじゃん……」
よーし。ちょっとズキズキするけど心配されないように立と!
「いった」
気づいたら私は裕也の上にいた。
「柚希。おめえ体重何キロ?くそ重いんだけど」
「あっごめん。」
「無理すんなよ。柚希がいいならおぶっていくぜ?」
「いやだ。体重バレるもん!」
「しょーがねーな」
体が宙に浮いたかと思ったら。裕也にお姫様抱っこされていた。
確かにおぶってはないけどお姫様抱っこも嫌だ
でも少し裕也の頬が赤くなっている気がする。
「お前って軽いな」
「どういう感想?」
「「………」」
「裕也?顔赤いよ」
「そんなことないと思う」
もしかして照れてたりする?なんか、かわいい!!!
「裕也の好きな女の子の話してたじゃん?あのとき裕也の好きな女の子の特徴が私に似てた気がするんだよね」
「!?」
「ん!?なんでそんなに赤くなってんの?」
「別に」
「おお。如月と橋本が戻ったところで給食を食べる準備をしてください」
「なんで柚希と裕也がイチャイチャしてるわけ?」
「ほんとそれ」
「満里奈ちゃんの裕也君なのにね!」
「あの柚希って子なんかきもくね?」
「それな」
「うざいし」
「いじめちゃう?」
「いいね」
「マジさんせー」
「やっちゃお」
「如月さんと橋本さん早く給食着に着替えてください」
「ごめんなさい」
「今着てるからちょっとまってください」
「私と裕也がペアで給食当番ですか!?」
「ああ。二人が来るのが遅かったから、ほかの人たちでペアを組んでしまいましたよ」
「遅れて本当にごめんなさい」
「二人が担当する仕事は大きいおかずで主にカレーやスープなどの汁物が
多いです。この仕事はほかの仕事と違って二人の中で一人を決めてもらい、
その人ががんばって給食室から持ってくるという仕事をしてもらいます。
頑張ってください。」
「一週間は5日だから最初にやるとなったら一日多くペアの人とやることになよね?」
「そうだね」
「だからここは公平にじゃんけんで最初にやる人を決めよ!」
「おけ」
「「さいしょーはグーじゃんけんぽん!」」
「やったー!勝ったぜ」
「うう。負けた」
やだー。こんなめんどくさいことやりたくなかったよー!
「じゃああとはよろしくー」
「はー。おっも」
実は私あんまり力もちじゃないんだよね。
すっごい重いなーと思っていたら、目の前に男子が来た。
「きゃー」
「いった。だいじょうぶだった?って柚希ちゃん?」
「はい。奏太先輩?廊下って走っていいものでしたっけ?怒」
「お~。こっわ!」
「先輩ひどいですよー」
「っていうか今日の給食ってシチューだったんだね」
「はい」
「めちゃくちゃ熱そう」
「ぎりこぼれていなくてよかったです」
「うん。教室まで送ってくよ」
「ありがとうございます」
「じゃあここで」
「はい!わざわざありがとうございます」
「おい!柚希シチューが白衣についてるぞ?」
「え?ほんとだ。(お気に入りだったのに~)」
「おい、もしかして奏太になんかされた?」
「そんなことないし。へんなところ見ないでよ!」
「べっ、べつに見てねーし。奏太、お前は好きな女の子を傷つけるのが趣味か?
こいつがこんなに悲しそうな顔してるところ初めて見たわ」
「え?ごめんね。こっちが前を向いて走っていたらこんなことにはならなかったのに」
「は?奏太、廊下は走っちゃダメなものなんですよ?」
「うん」
「たとえ柚希がこのことを許したとしても俺は許すことができない」
わー。やっぱいっつも口が悪い人でもイケメンだから優しい言葉をかけると
絵になるな~。こんなことはあんまり言ったことがないけどものすごくかっこいい!
「奏太なんかほっといていこ」
「はい……」
「如月さん。時間はしっかり守って行動してください」
「先生。さっき廊下で何をやっていたか見ていたんですか?さっき柚希は先輩に
ぶつかられて転んでしまってシチューを少しこぼしてしまったんですよ」
「そうだったんですね。ごめんなさい。じゃあ橋本君、シチューをみんなに配ってくれませんか?」
「いいえ。私がやります。服がちょっと汚れただけですから」
「やけどなどはしていないんですね」
「はい!」
「では如月さんよろしくお願いします」
「柚希さーん?早く配膳始めてくれない?こっちはずっとまってるんだけど」
「ごめんね。今始める」
「はやくー」
「ごめんね」
あれ?みんな満里奈ちゃんの机に集まって何してるんだろう?
まあいっか。私には関係のないことだし
やっと終わったー。結構つかれた。
「「「「「「「「いただきまーす」」」」」」」」
みんなワイワイと話しながら食べている。だけど5分ぐらいたってから気づいたが、
誰もシチューに手をつけていないのだ。一応、前の席に座っている、好き嫌いが
まったくないと有名な須藤君に聞いてみた。
「なんか入ってたりした?」
「ううん。だけど今日はおなかがすいてないから」
須藤君はいつもお代わりを3回ほどしている人だから、おなかがすいていないということは
ないと思う。ということは……
私、いじめられている?私が一番恐れていたことが始まってしまった。胸がどんどん
苦しくなってって……。
「おい。なんでみんなシチュー食べないんだよ?すげーうまいぜww
俺、お代わりいこーっと」
そんな空気を壊すように明るい言葉を裕也がみんなに聞こえるような声で言い始めた。
そしたら不思議なほど、ほぼみんなががシチューに手を付け始めた。
「なんか今日のシチューうまくね?」
「柚希ちゃんって配るのうまかったんだね」
うわー!うれしい!裕也の一言でみんなが食べ始めてくれた。
やった。いっつも思うけど裕也の言葉の破壊力ってすごいよね
「裕也!ありがとう」
「は?なにが?」
「給食のこと」
「ああ。あれか。べつに全然いいぜ」
「ゆーや!」
「南!昨日俺んちにパジャマ忘れてった?なんか俺んちにこれがあって
親に勘違いされたんだけど!」
「ああ。どこに行ったのかと思ってったんだよ~。ありがとう」
私は裕也なんかじゃなくて奏太先輩のことが好きなはずなのになんでこんなに
嫌な気持ちになるの?
もしかしてだけど私って裕也のこと好き?
うそ?恋ってこんな感じなんだね。すごいキュンキュンする。
「柚希ちゃん。ちょっと話したいことがあるんだけど、いい?」
「別にいいですけどどうしたんですか?」
「柚希ちゃんって裕也のこと好きでしょ?」
「違いますよ」
「うそでしょ?私が裕也の家に昨日泊まったって話始めたとき、
すごい嫌な顔してたよ?」
「ほんとですか?」
「うん。悪いけど私は裕也を譲る気はないから。」
「はい!私も手加減なしでいきますよ?」
「うん。本気でやったらたとえ成立できなかったとしても後悔はないから。
本気でやってくれると嬉しい」
「はい!」
コメント
2件
文の作り方が最高すぎる!柚月ってボブ?ロング?髪型気になる~!
うますぎるー!!!