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はちニキ。 微 ニキさん病み気味
18side
nk)空、飛びたい…
ベランダで煙草を吸っていたニキニキが呟く。
最近この言葉を言ったのは3回目。 最初はふざけて言っているのかと思っていたが、そうではないことが分かってきた。
18)…今日は何処がいいの、?
先週、1回目は山。 一昨日、 2回目は海。
規則性は無さそうだけど、何か意味深で問う。
nk)きれいなとこ。
随分と抽象的な言葉が帰ってきた。彼のが考えていることが浮き彫りになったような気がした。
nk)行こうよ、今日は。 天気いいし
こちらを振り返った彼の姿になんだかゾッとした。
整えていないボサボサの髪にいつものジャージに下駄。何も変わらない、変わっていないんだけど、、 何処か遠くを見つめているような真っ黒な瞳に吸い込まれそうで、少し不気味で。
そうこうしているうちに彼は玄関の扉に手をかけていた。
18)そんな格好じゃ寒いよ。
冬真っ只中の12月。いくら東京といえどジャージ1枚では肌寒い。 そのまま出ていこうとする彼を慌てて引き止めた。
nk)大丈夫だから、はやく準備して、行くよ。
無気力な彼の声に恐怖心を覚えた。
なんだか、このまま消えてしまいそうで、、ただの勘だけど、急がなくては行けない気がした。
18)準備できたよ、行こ。
メイクもせずに携帯と財布だけをパジャマのポケットに入れて彼の傍に寄る。 何も羽織らず、パジャマ1枚。彼と同じ。
nk)…いいの、そんな格好で
18)ニキニキこそ。
nk)……わかってるよ。
それから外に出てしばらく歩いた。ニキニキに手を引かれて、 何処に行くかなんて分からないまま 彼の歩幅に合わせた。
nk)どこ、行こうね
いつもの楽しそうな声とは裏腹に表情は暗く、どんよりと陰っている。 前髪のせいで片方しか見えない目は彼の心をそのまま語っているようだった。
nk)…一緒にいく、?
歩みを止め、突然問いかけられた言葉。さっきまでの違和感が全て無くなった。
18)まだ、いけないかな、
nk)じゃあいいよ、おれだけでいく 。
18)おいてかないでよ、
矛盾しているかもしれない。でもそれが私の素直な気持ちで、彼のやりたいことを否定する権利は私には無い。 否定するつもりもない。
彼はわたしを見詰めて 少し顔を顰めた。
nk)最後ぐらい一緒にいさせて 。
彼はそう呟くと私の手を取りまた歩き出した。きっと、 飛び降りるのだろう。
町内を周り家に戻ってきた。 マンションに入るとそのまま自分達の部屋を通り過ぎ、屋上へ上がった。
18)…屋上、始めてきたかも。
nk) 月が綺麗ですね。
無表情の彼から放たれた言葉。今日じゃなければ、エモくて素敵な言葉かもしれない。でも、光ひとつない今日の空には、あまりに不格好で、味気ない。
18)それが最後の言葉、?
nk)…だといいね
最後まで彼は目を合わせなかった。
私の手を、引いたまま。