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半年前まで本社勤務だった西川美紅は、出勤してすぐ支店の掃除を始めていた。
早く仕事に慣れるために、毎日一番最初に出勤している。
本社から支店への異動理由は、同じ部署に所属していた時の先輩、西川千秋と結婚したからだった。
「西川さん、おはよう」
勤務時間の20分前ぐらいから、パラパラと人が増えてくる。
「おはようございます!」
支店の空気はとても良く、皆が和気藹々としているので美紅も仕事が捗る。
本社勤務では無くなったが、やり甲斐は変わりなかった。
充実した毎日。
家に帰っては、夕飯の支度をしながら愛する夫を出迎える。
いつか子供ができて、家族が増えて。
自分の両親と同じように、そんな普通の生活が幸せだと信じていた。
千秋となら、そんな生活が送れると、そう信じて結婚したのだった。
「今日はどうだった?疲れてない?」
夕飯の席で、千秋は美紅を気遣って話しかける。
「仕事はそんなに今日は大変じゃなかったよ。千秋さんはどうだった?」
「俺の方は毎日変わらないさ。でもやっぱり美紅の抜けた穴はデカいかな。半年たって、やっぱり美紅以上のアシスタントはいないんだってよーく分かりました」
優しい千秋の言葉に美紅は顔が綻ぶ。
千秋はいつだって、いつも優しく包んでくれる。
愛してくれる。
本当にこの人と結婚して良かったと美紅は常に思う。
千秋も頑張り屋の美紅が、嫌な顔もせずに仕事も家事も頑張ってくれて、美紅と結婚できて本当に自分は幸せだと思っている。
ずっとこのまま、何年経っても愛し合えるとお互い信じていた。