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ⅳ
僕は、目を開けた。
あたりはまだ暗い。
隣では、琥珀さんが眠っている。
琥珀さんは幸せそうだ。
顔色は悪くない。
すぐ近くの目覚まし時計を見ると、4:44と表示されている。
物騒だ。
『・・・』
夢のことを思い出す。
今回の夢はそれほど怖くなかった。
最後を除いて。
最後のは何だったのだろうか。
服についていた赤は何だったのかな…
もう一度眠ろう。
今日は7時に起きなければいけない。
初めて、剣士として働く。
緊張する。
でも、身体を休めないと、
僕はもう一度目を閉じる。
ー『お願い、もう許して!』
琥珀さんが涙を流しながら必死に言う。
そして、頭から血を流している。
他にも至る所に傷がある。
酷い傷だ。
僕は、拳を握っている。
すると、
バシン!
鈍い音。
右手に衝撃があった気がする。
僕はそこで気づいた。
僕は、琥珀さんの頬を殴っていた。
え、
僕の意思ではない。
勝手に手が動いた。
『うぅっ‼︎』
琥珀さんは、僕に殴られた頬を押さえていた。
なぜ、こんなことを…
自分が許せない。
なのに、
僕の手に、いつのまにかナイフがあった。
っ‼︎
やめてくれ‼︎
それだけは‼︎
琥珀さんが、怯えた顔をしている。
僕は、必死にナイフを捨てようとする。
でも、夢の中の僕はいうことを聞かない。
『全て、お前のせいだ。』
僕の口から発せられた。
琥珀さんが後ずさる。
頼む、逃げてくれ!
僕はゆっくり、琥珀さんに近づく。
やめろ!
僕の身体なのに!
言うことを聞け‼︎
僕の言葉は届かない。
琥珀さんが躓く。
絶対に許されないこと。
それを今僕がしようとしている。
どうにかしてでも止めないと!
だが、やはりダメだった。
僕はナイフを振り上げる。
その手を止められなかった。
僕の手はそこから……ー 。