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ピピピピッ!ピピピピッ!
目が覚める。
目覚ましを止める。
現在6:30分
僕はそこから後ろを振り返ることが怖くて出来なかった。
『・・・』
頭痛と吐き気がする。
『んん〜、おはよ〜あまちゃん、』
琥珀さんの声がした。
鼓動を強く感じる。
怖い。
もし、
あの夢が、記憶の一部だったら、現実で起きたことだったら、
僕がしたことだったら、
僕が琥珀さんを傷つけていたら。
その可能性も、ないとは言えない。
『甘ちゃん?』
琥珀さんが、僕を抱きしめる。
『っ‼︎』
驚き、琥珀さんを振り払う。
その時、僕の腕が琥珀さんの額にぶつかる。
『いたっ‼︎』
琥珀さんが額をさする。
『あ…』
謝ろうと思った。
でも怖くて、
喉が詰まったようで、
声が出なかった。
『甘ちゃん、大丈夫?』
琥珀さんは自分のことより、僕を心配してくれた。
そのことで、少し落ち着いた。
『ごめんなさい、嫌な夢を見てしまって…』
琥珀さんは頭を撫でてくれ、
『大丈夫だよ、』
と、笑顔で言った。
僕は琥珀さんを信じて、夢のことを伝えてみる。
『さっき……僕が琥珀さんを殴ったり…傷をつける夢を見た…』
琥珀さんは顔色を変えず、聞いていた。
『でも、僕の意思じゃない!勝手に身体が動いて、止められなかったんだ!』
琥珀さんは顔色を変えない。
『僕は、琥珀さんのことを傷つけたい訳でもない、だけど、どうしても…止められなかった…』
琥珀さんが、近づく。
『………』
琥珀さんが顔を近づけ、僕の頬にキスをした。
『きっとそれは、不安のせいだと思う。』
琥珀さんが言った。
『人は、怖くてどうしようもない時、追い詰められてしまった時、人を傷つけてでも自分を守ろうとしてしまうんだと思う。甘ちゃんは今、ほとんど何も知らない所で知らない人たちと色々なことをして、怖くなっちゃったんじゃないかな?』
『・・・』
そうなんだろうか。
『でも、琥珀さんは僕に優しくしてくれた。怖いなんて思って…』
周りの人はほとんどが僕に冷たい目を向ける。
でも、琥珀さんは優しくしてくれた。
だからこそ、怖くも感じた。
琥珀さんは、復讐をしに来たのではないか、
今までのは全て、演技なのではないか、と。
『そうなんだろうか、』
きっとそうなんだろう。
『ごめんね、』
琥珀さんが謝った。
『どうして謝るの?』
『琥珀が甘ちゃんの気持ちを考えてあげられなくて、甘ちゃんに不安を感じさせてしまったから…』
琥珀さんは責任を感じているみたいだ。
『琥珀さんはいつだって優しくしてくれた。これは僕の弱さだ。こちらこそごめん、夢だからって悪くない琥珀さんを傷つけてしまって…』
僕は頭を下げて謝った。
『きっとこれからも、辛いことがたくさんあると思うけど2人で頑張ろう!』
琥珀さんが笑顔で言った。
『もうそろそろ行こうか、』
もう8時になる頃、
『うん、』
僕たちは家を出る。
初めての仕事。
特に書類を書いたりすることもなく、試験もなくあっさりと入れてくれた…
…正しくは入れられた場所。
まだ、どんなことをするのかは詳しく知らない。
『緊張してる?』
すぐ隣から琥珀さんが訊く。
『ちょっとね、』
ちょっとではないけど、初めてなんてこんなものだ。
やってみなければわからない。
『甘ちゃんなら大丈夫だよ、』
『ありがとう、』
僕は笑顔で答える。
『でも、』
でも、なんだろう。
『琥珀はどうしたらいいのかな?』
あ、そうか。
琥珀さんは剣士として入っているのだろうか。
でも、琥珀さんを危険に晒すわけにはいかない。
まず、琥珀さんは戦えるのだろうか。
人狼ではあるだろうけど…
『琥珀さんも戦う?』
試しに訊いてみる。
『む、無理だよ!』
まぁ、そうか。
琥珀さんが戦う姿を想像出来ない。
『鷹也さんに訊いてみるね、』
訊くしかないな。
気づくともう着いていた。
僕は剣士所の建物に入る。
『今日から私達剣士に、新しい仲間が加わる、銅.甘さんと銅.琥珀さんだ!ただ、琥珀さんは戦わない、と言うことでよいかな?』
僕と琥珀さんが頷く。
『それで甘さんは私達、第1団隊に入ってもらうことになった。』
その他諸々話し、
『それでは甘さんからも、自己紹介を。』
と、鷹也さんがこちらを見る。
『え、えと、銅甘です。これからよろしくお願い致します。』
頭を下げる。
こういうのは苦手だ。
これでいいんだろうか。
剣士の皆んなが手を叩いてくれた。
そして、何人かがよろしく!と返してくれた。
その後、それぞれの団隊ごとの見回り場所を発表される。
僕たちはこの島で1番栄えているらしい場所に割り振られた。
そして、レン…如月さんと東雲さん、そして鷹也隊長が集まる。
『鷹也隊長も同じグループだったのですね。』
『あぁ、第1団隊は東雲さん、如月さん、そして私の3名のグループだったんだ。』
たった3名だけだったのか、
『これから一員としてよろしくお願い致します。』
僕はもう一度そう言って頭を下げる。
『よろしくな!高羽!』
『よろしくお願いしますね、銅さん、』
『これから君を頼りにしていますよ。』
3人から返される。
これから始まる。
どんなことが待っているのだろうか。
ちなみに、琥珀さんは戦うことはなく、近くにいるだけということになった。
『如月さん、名前間違えてますよ。アカガネさんです。
『あ、まじ?すまん間違えたわ、赤羽!』
それも違う…
『違います、ア、カ、ガ、ネ、さんです。』
東雲さんがご丁寧に教えてくれている。
『アカ…ガネ?あぁ!そうだったわ!』
最初からずっとそうですが…
鷹也隊長は、やはり苦笑いだった。
それから、仕事着に着替えて、
自分の剣を、腰ベルトにぶら下げる。
さあ、行こう。