TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

注意

・clutchぱろ(あんまり要素無し)

・irxs様の二次創作、nmmn作品です。

・青桃です。

・とっても短いです

・没気味作品

・パクりじゃないです

・御本人様には関係ありません

・御本人様の目に届かない様にお願い致します

・コメントで御本人様の名前を出さないなどの

nmmnルールをご確認の上、お読みください

・nmmnルールにつきましてはご自身でご確認ください。

(テラー内でご検索いただくと分かりやすいかと思います)



静かな夜。

時刻は深夜2時。夜遅くなこともあってか人は少ない。

普通なら寝ているようなこの時間帯に、俺たちはある世界へ足を踏み入れる。

こんなところに人が少ない時間に来ているのには訳がある。

“サイバーバンク”

ここは未来の世界のとある場所。

未来といっても神秘的なものじゃない。

神秘的とはまるで違う暴力的な世界。

そんな世界なんて、誰も入りたいとは思わないだろう。

俺も入りたいなんて思ったことなど一度もない。できれば一生行きたくない。

桃さん「ねぇ…俺、早く帰りたい。」

青さん「はぁ、?何言っとるん、はよ片付けてから言えや」

こちらを見る青の瞳は驚くほどに冷たい。

まるで人ではない何かを見ているような、そんな感じだ。

ここの世界に入っている時の青はいつもそうだ。

真剣というか生真面目というかバカストイックというか…。

何事も楽しみたい俺とは真逆だ。

何事も慎重にこなしていく青は、たまに暴走する俺を止めてくれる。

桃さん「何をだよ…元は人なんだからそんな言い方よせよ」

片付ける、という言い方に少しばかり胸がざわめく。

俺たちがこの世界に来た理由は、この世界のバグを“片付ける”ためだ。

そのバグも元は人間であり、俺たちが住んでいる世界で疲れ果てた人間共がクスリやなんやらをキメてこちらへ迷い込んでしまう。その上迷い込んだ末に、ぼろぼろに壊れてしまう。

もともと疲れ果てていた人間共は少しでも精神を追いやってしまえば完全に壊れるだろう。

そんな単純すぎる人間の仕組みを利用して生まれてしまったのがこちらの世界のバグだ。

馬鹿だな。同じ人間として哀れだと思う。

青さん「あのさ、壊れちゃった人ってさ…」

桃さん「…ん?」

青さん「…やっぱなんでもない」

桃さん「…なんだよ、お前は。変なやつだな」

青の歯切れの悪い言葉に、嫌味ったらしく言ってやった。

青さん「お前にだけは言われたくないな、笑」

お片付け中にしては珍しく茶化す青。「ふふ」なんて笑うのも滅多にないのでびっくりだ。

それにしても今日はやけにバグが少ない。

いつもなら少なくても十体以上は発生するバグが、現時点で三体ほどしか現れていない。

これは今までで一番少ない数と言ってもいいだろう。

桃さん「今日…少なくない?」

青さん「馬鹿野郎。現時点で、だろ?」

こつん、と頭を打たれる。

確かにまだ時間はたっぷりある。

くそが。もう帰ってもいいじゃんか。せっかく遠回しに帰ろうかと言ってやったのに。

桃さん「うぅ…帰りたぁい…」

青さん「そんなに油断してたら一瞬で頭ふっ飛ぶで?」

桃さん「怖いわ。やめてくんね?変なこと言うなよもう。」

バグの襲来よりも怖い目線を向ける青。

真顔で言うもんだから本当に寒気がする。

まぁ、この前にあの水色頭がふざけていたらバグが襲ってきたから、

そんな心配をする青にも納得がいく。

あの時は本当に驚いた。

でも負けるなんてことは絶対にない。 完全勝利だ。

今までも、そしてこれからも。

あの時は突然襲ってきたバグにも同情しちゃったよ。

なんせあの青髪がすぐにバグを消したから。

しかも玉一発で。恐ろしいやつだよ、本当。

うちの水色なんて叫ぶ暇もなく青に感謝してたし。

いつもなら誰よりも早く戦闘体制に移る赤も、武器を出す暇さえなかったと言っていた。

…あ。やば。目、合っちゃった

桃さん「俺の心も…頭と同じようにふらふらどっか行っちゃうのかな」

青の細いのにしっかりとした腕を引っ張り、こちらに引き寄せる。

青が完全に止まったのを確認して青の目の前に立ち、青の行先を邪魔する。

青さん「?…どうかね」

桃さん「はぁ、?そこは引き留めるとこでっ…」

“ばん”

俺の後ろから聞こえた銃声。

突然のことに目を見開きながらも冷静に対応する目の前の青髪。

俺を背中に回して、結界を開いて守る。

流石だな、なんて感心しながら青の腕の中にすっぽり入る。

青さん「…Watch me clutch」

桃さん「BANG!」

青が隠れてしまったバグを再び呼び寄せ、

俺がポケットの中に入っていたピストルを取り出し、それを撃つ。

我ながら 最高の連携プレーだ。

桃さん「…笑」

青さん「なに笑っとるん、お前…」

キレ気味に青が言う。恐ろしいほどの剣幕にやられてしまいそうになる。

青がキレてしまうのもまぁ仕方ない。

元はと言えば俺のせいだ。

桃さん「怖。目が怖いですよ、青さん」

青さん「本当に馬鹿。なんで言わんかったん?」

桃さん「戦場でお説教ですか?冗談よしてくださいよ。てか放せ」

なにを、とは聞かない。だって分かっているから。

分かっていて伝えなかったから。 だからこそ青はこんなに怒っているのだろう。

俺と違って仲間の死傷に敏感な青は、防げる怪我は防いでおきたいタイプだ。

たかがバグの生み出した、死に至るほどの力はない攻撃だ。攻撃力なんてまるでない。

それでも防ぎたいなんて素晴らしいほどに至誠だ。俺からしたら恐ろしいぐらい。

でも、敵に背中を見せるのはダメ…とかなんかあった気がするから仕方がないのだろう。

青さん「帰ったらみっちり聞いてやるよ」

桃さん「うわ怖。いっそのこと一生ここにいようかな…」

青さん「引きずり出してやるから安心しろ」

寒気がする。こいつなら本当にやりそうで怖いんだよ。

目が本気なんだよ。ハイライトなんてなくなってるし、睨むようにこちらを見てくる。

恐ろしいことこの上ない。

でも今は無性に笑顔の青が見たい。

はやくあっちへ戻ろう。

そう思った俺は、青の腕の中からすり抜けるように出て、四体目のバグを探した。

今日も俺たちと数体しかいないこの静かな街で大掃除をする。



桃さん「ただいまー!!いやぁ、今日も疲れた…」

青さん「みんな寝てんのやから声のボリューム下げろや」

桃さん「…今日のお前は本当に冷ややかだね」

あんなところで精一杯頑張ってきたのに褒めてくれないのかとアピールする。

青さん「…じゃあ、今日のお前は本当に浅はかだな」

桃さん「浅はか、ね。どういう意味だよ…」

少々イラっときた俺は青の腕に、いつもより強く抱きついた。

青さん「こういうとこ。こんなこといっぱいしてると俺の理性が持たないのわかってる?」

桃さん「分かんない、って言ったらどうする?」

青さん「はぁ、本当タチ悪いよな。今からベッド直行だけど良き?」

桃さん「早く」

青さん「なんなんお前。顔真っ赤なの反則すぎるやろ馬鹿が」

桃さん「馬鹿はどっちだよ、えろ男」

こんな雰囲気だとベットに着く前に始まってしまいそうだ。

他の部屋にはみんながいる。それでも青は止まろうとしない。

むしろ馬鹿みたいに悪戯を繰り返す。

そんな青に、今夜も溺れてしまうのだろう。

いや、溺れさせて欲しい。いつまでも君と一緒に。



次の日。

桃さん「いってぇ…お前何回シた?」

青さん「覚えとらんの?3回はシたけど」

3回という単語に度肝が抜かれる。

昨日は疲れていたはずなのにこいつはどんだけ体力があるんだ。

そしてよく頑張ったな俺。

この調子だとトんでも起こされトんでも起こされの繰り返しだったのだろう。

想像するだけで頭が痛くなってくる。ついでにお腹も痛い。処理はしているはずなのに。

出されたことを想像してしまったのだろうか。衝動的にお腹をさすってしまう。

桃さん「うっわ。やば、性欲お化けじゃん。すき」

青さん「情緒怖いわ。あ!てかなんでバグの場所教えてくれんかったん?」

桃さん「覚えてたのかよ。だる…」

青さん「だって危ないやん」

桃さん「まぁ、そうだけど…」

青さん「お前、バグいたの分かってただろ」

桃さん「分かってたよ。でも青なら上手くやってくれると思ったから」

ケロっとして答える俺に青は呆れた顔をする。

そう。あの時目が合ったのはバグだ。

まだあそこに来て短かったみたいだからまだ原型があった。

人の形をしている分、打つのに躊躇するような白色頭みたいなやつはいるが俺は気にしなかった。

原型はあっても心は完全に壊れている。ただのバグだ。

こんなことを言っちゃ青に言ったことと矛盾するが、本心はこれ。

バグの人間時代なんてどうだっていい。

心を病んでしまっていることに対しての慈悲もなければ

哀れな最期に対する同じ人間としての同情もない。哀れみはあるが。

馬鹿だな、と思うぐらい。それすらもないかもしれない。

俺自体がこの現代社会に転がり落ちてしまったバグのようなモノだから。

そんな俺を拾い上げてくれたのが青。 俺の最愛の人。

青さん「俺が守ってやれるという保証はなくても?」

いや、守ってくれるという保証しかないが。

別に守られなくとも青がいるというだけで俺は安心できる。

俺は運がいい。それに、生まれ持った才能がある。

その才能を存分に活かせている俺は、最強と言ってもいいだろう。

その最強という枠の中の欠けた部分を癒してくれる存在。

それこそが青だろう。俺は自信たっぷりに言った。

桃さん「もちろん」

loading

この作品はいかがでしたか?

110

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚