時折夢に見る。
__痛くて辛かった過去の夢を。
私は幼少期、親から虐待を受けていた。…勿論、生涯誰にも話すつもりは無い。こんな話をした所で、相手の気分を損ねてしまうだけだろうし、変な距離感が出来てしまっては嫌だから。
自分でも存外だった。
_…自分は、こんなに他人に執着をしているのだと。…昔は、自分は一人でも平気だと思っていた。…でも、今は一人が怖くて仕方がない。昔は一人じゃない未来なんて考えられなかった。
_一人が当たり前だったから。
でも、ポートマフィアに拾われて、それから中也や織田作、森さんや紅葉さんに出会って、当たり前だった日常がいきなりガラリと変わった。
…正直嬉しかった。
…でも今は、こんな事になるくらいなら最初から誰とも一緒に居るんじゃなかったと心底後悔している。
…一人が怖くなったから、大切な人を、私の所為で苦しめてしまう様になった。
一人になりたくない一心。…必死だった。…だから中也を縛り付けて、洗脳して、私無しじゃ生きていけないような身体にして、心身を傷付けて……。
__こんな筈じゃなかったのに…。
〔ガチャ〕
太「中也おはよう〜、起きた?」
中「…ッ…。(睨)」
…勿論、こんな顔で見られて当然だ。…私は中也に散々酷い事をしたのだから。
可哀想だとは思っていたけれど辞めもしなかった。
…だって辞めたら、中也は私から逃げてしまうでしょう?それに、中也を逃がした所で私が命を狙われて真っ先に殺されるのは目に見えているし……。
太「…まぁまぁそんな怖い顔しないでくれ給え…。私はこれでも中也の事を愛しているのだよ?痛い程…ね。」
私が何時もの口振りでそう言うと中也は何時も分かりやすい目付きで、”これの何処が愛だ”と目で訴えてくる。…そして、その瞳は黒く濁っていて、”お前をぶっ殺してやる”と、私に訴えてくるのだ。
太「…殺したい?」
中「…殺したいに決まってんだろ…ッ”!!!」
太「…わぁ怖い…。今にも噛み付いてきそう…。…でも残念ながら今の君にそれは不可能だ。…そんな状態じゃぁ、殺そうにも殺せないでしょう?」
中「…手前ッ…、わざと挑発してんだろ…?」
太「せいかーい♡…犬の割には賢いじゃない?その頭をちゃぁんと上手いこと使わなくちゃ駄目だよ?…君は馬鹿じゃないけれど、自分の脳の使い方が下手だ。」
中「…余計なお世話なんだよ…ッ!!!(ギロッ)」
太「…はぁ、中々懐いてくれないねぇ…。」
中「…手前正気か…?こんなやり方で、嫌われるってのが分からねぇのかよ…!?」
太「…嫌われる…。んー、そうだねぇ…。私も別にそう思っていなかった訳じゃぁないけれど、君って誰にでもしっぽ振るからこうやってちゃんと自分の物って分からせておかないとフラッと何処かに消えて行っちゃいそうで心配なのだよ。」
中「…あ”ァ?つまりは何かァ…?俺が尻軽とでも言いてぇのかよ…??」
太「実際そうでしょ(笑)」
どうしてかは分からないし、何時からかも分からない…。…何時から私は、中也を挑発する様になったのだろう。…嫌われたくない。…これ以上中也に恨まれたくないと思うのに、何故か挑発してしまう。傷付けてしまう…。
自分の欲望の為に…。
私も辛かった。
…中也の身体が日に日にボロボロになって行って、その度に私を見る目が憎悪に変わって…。…目が会う度に私への憎しみや怒りが分かる。
辛い…。
でももう後戻りは出来ない。
一度この道を進んだのなら、私もこの運命を受け入れる。
それが例え、君に殺される未来だったとしても…__。
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