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曽野舜太side
今日は高校の入学式。
俺は小さい頃からサッカーをしていてそれなりに実力もあった。
この高校はサッカーの強豪チームで、全国大会優勝の実績もある。俺はこのチームで更に強くなりたいと思いこの高校を選んだ。
入学式が終わり教室へ向かう。
ホームルームでは、担任の自己紹介や学校行事、校則についての説明が続いていた。
そしてその後、校内見学として先輩たちの教室を回ることになった。
先輩たちの教室の前を通るたび、
「あの人かっこいい!」
「あの前から3番目の人かわいくね?」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
そして3年B組の前を通ったときだった。
俺は 名前も声も何もかも知らない、その人に釘付けになった。
窓際の席で頬杖をつく先輩。
柔らかそうな髪が春風に揺れて、整った横顔がやけに目を引いた。
不意に、その人がこちらを見る。
一瞬だけ合った視線に、息が止まりそうになった。
チラッとこちらを見たその瞳に吸い込まれそうになった。
だが、後ろから人も来ているため立ち止まることは出来ない。
名前だけでも、と思ったが確認することができないまま次の教室へと足を進めるしかなかった。
これって、もしかして一目惚れ?
……でも、あの人男だったよね?
いやそんなの関係ない。
だって俺はあの人が好きだ。
廊下を歩きながらも、頭の中にはさっきの先輩の顔ばかり浮かんでいた。
柔らかく揺れた髪も、眠たそうなのに綺麗だった目も。
たった一瞬目が合っただけなのに、心臓がまだうるさい。
「おーい、曽野」
隣を歩いていたクラスメイトに肩を叩かれ、はっと我に返る。こいつは同じ中学で適度に仲も良かった。
「さっきからボーッとしすぎじゃね?」
「……え、あー、ごめん」
「なんか気になる先輩でもいた?」
図星を突かれ、思わず言葉に詰まった。
「え、マジでいたんだ?」
「ち、違っ……」
否定しようとして、出来なかった。
だって、気になるなんて言葉じゃ足りない。
名前も知らない。
どんな人なのかも分からない。
それなのに、もっと見たいと思ってしまった。
「……3年B組」
「ん?」
「いや、なんでもない」
気づけば、無意識に呟いていた。
もう一回、会いたい。
たった一瞬で俺はあの先輩に心を奪われた。
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