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晴れた日の放課後、ローファーを履いてバッグを持って、いつもの道を歩いていた。横には友達の…名前は思い出せないけど、この子がいる。この子は明るくて、誰とでも仲良くしてくれる。ずっと孤立していた僕にも話しかけてくれた。素敵な子だと思う。

「なぁ、寄り道しないか?この辺美味いスイーツできたらしいからよ~ 」

「うーん…まぁ、いいけど…昨日も君は他の子と一緒に行ってなかった?」

「関係ないだろ?ミラにも食って欲しいからさ~」

友人とはこう呼ぶのだと僕は思う。もしかしたらこの子は僕のことを「クラスメイト」としてしか見てないかもしれない。だって、この子は他にも仲いい子、多いだろうし。

でも、全く対人関係を築けていなかった僕にとっては幸せだった。

「…こうして幸せなのは、神様がいるからだね…神様に毎日感謝してるよ…」

「ミラってさぁ、そういう宗教熱心な所あるよな。そんなに毎日祈って何になるんだ?」

「うーん…?特に何って訳では無いけど、少しでも貢献出来たら嬉しいから…」

「ふーん…真面目だなぁ、俺だったらそんなに持続出来ないや」

そう苦笑いしてる彼。彼にはあまり分かっていないのかもしれない。僕は物心ついた頃から、何時間も祈りを捧げていた気がする。教会にもよく行っていたし、聖書だってよく読んでいる。

もちろん周りから気味悪がられる事が多いけど、この子はそんな僕を理解しようとしてくれていた。すごく優しい子なんだ。

「君って、優しい子だよね…君みたいな友人ができて僕は幸せ者だよ」

「なんだよ、急に(笑)そんな事言っても奢らないぞ~?」

「ふふ…いいんだよ、本音を伝えただけ。」

僕は改めて思った。こうして笑い合えるのも、幸せになれてるのも、全ては神様のおかげなんだなって。周りの人のおかげってのも勿論。でも僕は神様が運命を定めてくれたからこうして生活出来てるんだろうな。って。

「なあ、もう数分で着くし、走って行かないか?」

「え?いいけど…急だね」

「まぁな、でも疲れた後に食べたスイーツは格別だぞ?」

僕は そうかもね。と言って承諾した。 この子はスポーツが得意だから、足も早い。僕は普通くらい。苦手でもないし、得意でもない。すぐにその子は走り出し、僕は後を追うように走った。この子にレースなどで勝ったことはないけど、僕にとってこれは(遊んでる)という類に入ってると思って、すごく楽しかった。

走っていると、目的地が見えてきた。あの子はもう立ち止まって待っている

「お~い、早く早く~!」

僕は緩く走っていたが、一気に走ろうと速度を上げた。もうすぐ着く。もうすぐ着くと走っていたところ、肩に誰かがぶつかった。その人も走っていたようで、すぐに去ってしまった。

でも、僕は違和感を覚えた。なんだか体がおかしい。痛いというか、熱いというか。危ない気がした。僕は足を止めて立ち止まった。

(あれ…?何だかおかしい…)

すると急激に腹…胃でも腸でもない、おかしな所が痛くなってきた。そのまま腹を抑えていると、滲んでくる。嫌な予感がしてしょうがなかった。

あの子が僕の方に来て、何か話している。だけどよくわからない。ふとお腹を見てみると、赤黒く滲んでいる。 さっきの人だろうと思ったが、傷が大きい。刺さったままズレてしまったのか。いきなり刺されたと自覚すると、重くて鈍い痛みが来た。声すら出ない。出せなかった。 あの子は戸惑っているようだ。スマホを取り出すと、すぐにどこかに通話していた。警察か救急車か、わからないけど…

僕は立つのも辛くなって、その場に座り込んだと思ったら後ろに倒れた。見えるものはただただ青い空と日光。日光は僕を見下していた。

(神様、僕は何がいけなかったのでしょうか…もっと懸命にしたら良かったのかな…?)

自身の行いを憎んでいた。だけど、どうしてだろう?他にも不真面目な人はいるのに、狙われたのは僕だけかもしれない。怖くて堪らない。本当に神様がいたのかすらも分からなくなる。僕は考える余裕もなく、そのまま眠りについた。


目を開けると、真っ白なところ。きっと死んだんだ。これは死後の世界なんだろうな…。混乱していると、1人の綺麗な女性が来た。天使なんだろう。

「ミラさん…ですよね?」

「え?はい…」

その人の声はとても落ち着いていた。眠たくなりそうだった。

「貴方の段階は決まっているので、準備をお願いしますね」

突然そう言われた。服を見てみると、制服とは違う。真っ白な服だった。下は長いスカートのようだった。

「あ…貴方様のお顔を身分の事情により少し変えましたので、鏡を見てもあまりびっくりしないでくださいね…?」

そう言われたので急いで手鏡を取る。目がひとつになっていた。これを世間では単眼と言うらしい。少し驚いたけど、あまり嫌だとは思わなかった。自分の頭にも天使の輪がついていたし、羽も3枚あった。

「あの…僕ってどういう天使なんでしょう? 」

「あぁ…そうですね、ミラさんの見た目は智天使…ケルビムとなっていますが、大天使の役割をお願いしますね。主に 神と人間の連絡役です」

僕はそう伝えられると、天使のような女性は飛んでどこかへ行ってしまった。


それから毎日…今日が何月なのか、何年なのかもわからずに役割を務めていた。どうやら新しく死んでしまった人の案内をするのも僕の役割らしい。

そんな時に、ある1人の少女が来た。

「…こんにちは、君の名前は何かな?」

「…クララ、です…あの、ここは天界でしょうか…?」

「うん、理解が早い子だね…」

僕はその子をそのまま天界まで案内して、天使の階級を教えた。

さっきも聞いたとおり、この子の名前はクララ。病気の悪化による病死で、守護天使となったらしい。

僕はまだこの子は幼いから。という理由で世話係…のようなものを命令された。

「それじゃあ、これからよろしくね。クララさん」

「は、はいっ…」

この子はまだ緊張してるようだ。僕は何故だろうと考えたが、すぐに分かった。

「…ねぇ、正直に言っていいけど僕って怖いかな?」

「えっ?」

この子はぽかんとしていた。

「いえ、そんなことは…!こんな、こんな無礼者な私が天使でいいのか分からなくて…あは、すみません…」

「…大丈夫、君も宗教熱心だったらしいね。実は僕も同じなんだ。それに若くして死んだのもね…」

「そう、なんですね…」

「僕は近い存在として見てもいいから、改めてこれからもよろしくね?」

「は、はい…!これからも神に貢献できるよう頑張ります…!」

相当努力家だった彼女は、すぐに緊張を解けさせて、毎日を懸命に務めていた。


そんな同じような毎日を過ごしてたある日、僕は気づいてしまった。僕はあんなに幼い子を好きになってしまった。

「…なんでだろうなぁ」

生前に1度女性と付き合っていたけど、浮気を疑われてそのまま振られてしまった。それに何度も僕に散財させて…主従関係のようなものだった。

でも、クララさんは誰にでも平等で、優しくて凄く魅力的に感じた。

だけど、この天界で付き合ったって何にもならないし、僕とクララさんは幾つ離れてるかもわからない…僕は享年18歳ってだけで、今は20代ってことかもしれないし…

「…?ミラさん、どうかしました?」

「っ…あ、あぁ、なんでもないよ…もう勤めは一旦終わったのかな?」

「はい…ミラさん、お疲れでしょうか…?いつもお仕事抱えすぎですよ…」

クララさんは心配してるようだ。僕は大丈夫だと言い張ってその場を離れた。

どうしたらいいのだろうか?そんなの分からなかった。

そこから幾つ経っても進展は無いし、僕は片思いのままだ。だけど、これも楽しい。別にこの子と離れることはないだろうし、僕は今のままでも幸せだ。と考えた。

可笑しいかもしれないけど、僕は生前も死後も幸せだったんだ。

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