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23話 「仲間の声」
海の斬撃が、空気を裂いた。
鋭い一閃がみこへと迫る。
だがその直前、赤い光が弾ける。
——キィンッ!!
みこのステッキがそれを受け止めていた。
みこ「っ……!」
重い衝撃が腕に伝わる。
第零契約の力がなければ、防ぎきれなかった一撃。
海「……やっぱり、その力……」
低く呟く海の声は、どこか苦しげだった。
ふぶき「やめてください……!」
ふぶきが前に出る。
震える手で魔法を展開しながら、それでも真っ直ぐ海を見る。
ふぶき「あなたが本当に守りたいのは……みこさんでしょう!?
どうして、その人に刃を向けるのです!」
海「……分かってる……!」
叫ぶように返す。
海「分かってるけど……もう、止まれないんだよ!」
その瞬間、背中の黒い鎖が強く締め上げる。
ギリ、と嫌な音が響いた。
海「ぐっ……!」
ときが一歩前に出る。
表情は変わらない。ただ、静かに状況を見ていた。
とき「……契約の干渉が強いね」
カレン「ええ。“意思”を押し潰して、行動を強制している」
ときは短く息を吐く。
とき「なるほど。本人の問題だけじゃないってわけ」
らんま「でもな、それでもあいつは俺たちに剣向けてる」
らんまの声は低く、鋭い。
敵を見る目だった。
らんま「みこ。甘い判断すれば、お前が死ぬ」
その言葉に、みこの肩がわずかに揺れる。
みこ「……それでも」
一歩、前に出る。
みこ「それでも、私は海を信じる」
海の瞳が、大きく揺れた。
海「……やめろ」
小さな声。
みこ「海」
まっすぐに呼ぶ。
みこ「私は、あんたに何回も助けられてきた。
戦いの中でも、日常でも……ずっと」
一歩ずつ、距離を詰める。
みこ「だから今度は、私が助ける番」
海「来るな……!」
剣を構える手が震えている。
海「これ以上近づいたら……俺は……!」
とき「斬るつもり?」
静かな一言。
海の動きが止まる。
とき「守りたいんじゃなかったの。みこを」
海「……っ!」
言葉に詰まる。
ふぶき「あなたのしていることは……逆です……!」
カレンが続ける。
カレン「“呪われし契約”は、願いを叶える代わりに、本質を歪める。
あなたの場合——“守る”が、“排除する”にすり替わっている」
海の呼吸が乱れる。
海「違う……俺は……!」
鎖がさらに食い込み、言葉を遮る。
みこ「海!!」
思わず叫ぶ。
その瞬間、海の剣が——振り下ろされた。
だが。
ピタリ、と止まる。
みこの目の前、あと数センチの位置で。
海の腕が、震えていた。
海「……なんでだよ……」
かすれた声。
海「なんで……斬れないんだよ……!」
黒い鎖が、無理やり腕を動かそうとする。
ギチギチと音を立てながら。
それでも——動かない。
みこは、目を逸らさなかった。
みこ「だって、海は優しいから」
その一言で。
空気が、止まった。
海の瞳から、何かが崩れる。
海「……やめろ……」
弱々しい声。
海「そんなこと言われたら……俺は……」
次の瞬間。
ドクン、と。
鎖が強く脈打つ。
アノマリーの声が、空間に響いた。
「——迷うな、契約者」
低く、不気味な声。
「その感情こそが、貴様を縛る」
海の体が大きく揺れる。
海「ぐああああああっ!!!」
鎖がさらに増え、全身を覆っていく。
とき「……まずい」
カレン「完全に支配される……!」
みこ「やめて……!」
だが、光は届かない。
海の瞳から、色が消えていく。
そして——
ゆっくりと、剣が再び構えられる。
今度は、迷いなく。
海「……対象、排除する」
その声はもう、海のものではなかった。
みこ「……海?」
返事はない。
ただ、冷たい殺意だけが向けられる。
らんま「……来るぞ」
次の瞬間。
海の姿が、消えた。
——そして。
凄まじい速度で、みこの目前に現れる。
振り下ろされる、決定的な一撃。
みこ「っ——!!」
その戦いは、もう“仲間同士”ではなかった。
完全な敵としての衝突が、始まる。