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あぁ、今でも鮮明に覚えてる。
あの、泣きたくなるほどの
静けさの雨の日の事。
梅雨のまだあけない時期に、
猫を見つけて追いかけた。
自然に目が向いたから。
自殺をはかっていたのに。
あの猫の向かった先は、
さっきの重たい雨が嘘のように
優しい光が差し込んでいた。
そう、見えた。
くる。
こっちを見るのは、
華奢で、女の子みたいな男の人。
やつれて、見るからに
気力のない目を向けると、
その人が声をかけてくれた。
嬉しかった。
あんな目をするひとは、
はじめてみたから。
無視するひと
話を流すひと
怒るひと
面倒くさそうなひと
怖がるひと
広めるひと
うわべだけのひと。
いっぱいいる。
けど、あんなに、
あんなに心配!っていう
目をもつのは、
あの子がはじめてだった。
だいじょーぶ?うちくる?
優しそうだから着いていった。
大きいビルに案内されて、
少し待つと、
その子が人をつれてきた。
怖そうなひとが たくさんいた。
あの優しい人を
取り囲む4人の男の人。
怖そう、とは思ったけど、
なぜか嫌悪感は感じなかった。