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アメ日帝です!!
1年前にフォレストページで投稿した七夕の話ですが、現在はないかもしれません…🥹🥹🥹
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昔むかしあるところに、織姫と彦星がおりました。
織姫は機織りの名人で、彦星は牛飼いでした。
ある時彼らは恋に落ち、夫婦になりました。
それはそれは仲睦まじく、お互いに夢中な二人は機織りも牛飼いも次第に疎かになってしまいました。
織姫の父である神様は怒って、織姫と彦星を天の川の対岸へ引き離してしまいます。
しかし、あまりに嘆き悲しむ織姫の姿を見て哀れに思った神様は、年に一度だけ逢うことを許しました。
それが七夕-二人が天の川を渡って共に過ごす日なのです。
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アメリカ視点
日帝「で、七夕っていうのが今日なんだ。」
日帝ちゃんはそう言って、夜空を見上げた。
彼女の隣を歩いていたオレも、つられて目を上げる。
満天とは程遠い、まばらな星空だった。
日帝「機織りが上手な織姫様にあやかって、願いごとをするようになったらしい。」
諸説ありだけど、と付け加える彼女に視線を戻す。織姫を思っているのか、日帝ちゃんは少し悲しそうな顔をしていた。
安心させたくて、柔らかな手をそっと握る。
彼女が七夕の物語を話してくれたのは、オレが尋ねたからである。
7月の初めから、街のあちこちで笹や短冊を見掛けるようになった。居候している日本家でも、皆で大きな笹に折り紙飾りや短冊を括り付けた。
短冊には願いごとを書くのだという。
アメリカさんもと渡されたけれど、何を願えばいいか分からなくて、書けなかった。
アメリカ「どうして今日は願いごとをするんだ?」
いつものようにカフェで過ごした後、ぶらぶらと街を歩きながら、オレは日帝ちゃんにそう訊いた。
日帝「願いごと…?あぁ、七夕か。」
すぐに合点がいったらしい彼女が語ってくれたのが天の上の伝説だった、という訳だ。
握った手を軽く揺らして、日帝ちゃんを呼ぶ。
我に返った彼女の、黎く美しい髪が跳ねた。
日帝「何だ?アメリカ」
アメリカ「オレなら、神サマの言うことなんてきかない。川なんてシャボン玉に乗って渡っていくちっぽけなものさ。」
日帝「あはは、急にどうした?」
鈴を転がすような笑い声に、心がじんわり温かくなる。その声をずっと聞いていたい。
日帝「お前らしいな、出来そうだし」
アメリカ「出来るよ。だから、オレは日帝ちゃんを一人になんて絶対しない」
日帝「え?」
アメリカ「ずっと隣にいるから」
どちらともなく立ち止まっていた。
此方を見上げる彼女の大きな瞳が潤む。
日帝「や、約束よ」
アメリカ「うん、約束する」
指切りの代わりに、繋いだ手に少し力を込める。自然と彼女を引き寄せるような動きになった。
白くて小さな手が、オレのセーラー服の襟に添えられる。さらさらした髪に、そっと指を通した。
ゆっくりと顔を近づける。
あと30センチ。
と、唐突に桜色の唇が開いた。
日帝「あたしもアメリカのこと一人にしない」
アメリカ「ん?オレ?」
日帝「姿が見えなくっても、絶対見つけてみせる」
まっすぐな視線は、先程不安げな表情からは想像もできないほど強い意志を宿していた。
あぁ-見つけた。オレの願いごと。
アメリカ「ありがとう-日帝ちゃん」
オレの大切な人。君から、オレが始まった。
ずっとずっと共にいられますように。
星に願いをのせて、オレたちはそっと唇を重ねた。