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ぷぬ
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#さのじん
nan
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【小さな相棒】
episode7 世界でいちばん、かわいい
朝。
カーテンの隙間から差し込む光が、部屋の中をゆっくりと明るくしていく。
昨日までの賑やかさが嘘みたいに、静かな朝だった。
床には、並べられた布団。
その上では、六人がそれぞれ思い思いの格好で眠っている。
なつは布団を半分蹴飛ばしている。
こさめは丸まって眠っている。
いるまは顔まで布団を被っている。
すちは当然のように熟睡。
みことは寝返りを打ったらしく、少し離れたところまで移動していた。
そして——
らんも、眠っていた。
「……ん……」
ゆっくりと目を開ける。
朝の光が眩しい。
「……朝?」
ぼんやりと辺りを見る。
昨日の夜は遅くまで話していた。
だから、まだ眠い。
もう少し寝よう。
そう思って、再び目を閉じようとした。
そのとき。
——ぴょん。
「……?」
何かが動いた。
視界の端。
黒とピンクの小さな影が、らんの布団の上を歩いている。
「……うさらん?」
呼びかける。
うさらんは、らんの顔をじっと見ていた。
右耳の半分は黒く染まっていて、その耳には桜の模様。
朝の光を受けて、毛並みがふわりと輝いている。
「……なんでこんな朝早くから……」
らんは眠そうに目を擦る。
うさらんは、そんならんを見たあと——
くるり。
部屋を見渡した。
そして。
ぴょん。
布団から飛び降りる。
「……?」
らんは不思議そうに見つめた。
うさらんは、そのまま部屋を歩き始める。
誰かの布団の前で止まり。
次へ。
そしてまた次へ。
まるで、何かを確認しているようだった。
「……何してんだ?」
らんは布団の上から眺める。
うさらんは、まずなつのところへ行った。
すやすや眠っているなつ。
その横には、つなまる。
つなまるも眠っている。
うさらんは二匹をしばらく眺め——
次に、こさめのところへ。
ここさめが、こさめの腕の近くで丸くなっている。
その隣を通り過ぎる。
いるま。
いるべあ。
すち。
すちもす。
みこと。
みこりん。
「……」
そして、うさらんは再びらんのところへ戻ってきた。
らんと目が合う。
「……何?」
うさらんは、じっとらんを見る。
そして。
ぴょん、と布団に上がった。
らんの隣にちょこんと座る。
「……」
なんとなく。
その姿を見ていると、笑えてきた。
「お前、みんなのこと確認してきたの?」
返事はない。
けれど、うさらんは少しだけ胸を張った。
「……なんだよ」
らんは笑う。
「偉そうだなぁ」
頭を撫でようと手を伸ばす。
すると——
うさらんは、すっと顔を逸らした。
「……」
「え?」
もう一度、手を伸ばす。
また逸らす。
「なんで?」
三度目。
やっぱり逸らす。
「お前、昨日はあんなに撫でさせてくれたじゃん」
らんが困ったように眉を下げる。
すると、うさらんは少し離れた場所へ移動した。
「……」
その様子を見て。
「……もしかして」
らんは思った。
「撫でてほしいんじゃなくて、俺から追いかけてほしいとか?」
うさらんが、ぴくっと耳を動かす。
「……当たり?」
また一歩近づく。
うさらんが逃げる。
「ほら!」
らんも追いかける。
ぴょん。
ぴょん。
ぴょん。
「待てって!」
静かな朝だったはずの部屋に、足音が響き始めた。
その音に。
「……ん……?」
こさめが目を覚ました。
「……何の音?」
顔を上げる。
目の前を、うさらんが横切った。
「……うさらん?」
そして、その後ろかららん。
「おい待てぇ!」
「朝から何してんの……」
さめは眠そうに瞬きをする。
その声で、他の四人も次々に目を覚ました。
「……うるせぇ」
なつが布団から顔を出す。
「まだ寝てたい……」
すちは布団を頭まで被った。
「朝っぱらからやかましい、……」
いるまも起き上がる。
そして。
「……」
うさらんを見る。
らんを見る。
もう一度うさらんを見る。
「……朝から元気だな」
「こいつが逃げるんだよ!」
らんが叫ぶ。
うさらんは、らんの少し前で立ち止まっている。
そして くるりと振り返った。
その顔は なんとも満足そうだった。
「……」
らんは、なんとなく分かった。
「……お前、楽しんでるだろ」
うさらんは答えない。
ただ、耳をぴんと立てた。
「絶対そうだろ!」
部屋に笑い声が広がった。
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朝食を食べ終えたあと。
みんなはリビングに集まっていた。
昨日の夜ほど騒がしくはない。
それぞれ眠そうで、どこかぼんやりしている。
そんな中。
「なあ」
みことが言った。
「昨日から思ってたんやけど」
腕の中には、みこりん。
「みんなの相棒って、それぞれ全然違うよな」
「確かにな」
なつがつなまるの頭を撫でる。
つなまるは大人しくしている。
「ここさめは元気だし!」
こさめが言う。
足元では、ここさめが楽しそうに動き回っている。
「いるべあは……」
いるまが見る。
いるべあはソファの下を覗いていた。
「……何してんだ?」
特に理由は分からない。
「すちもすは寝てるし」
すちが言う。
「いつもやん」
みことが笑う。
そして みんなの視線が、最後にうさらんへ向いた。
うさらんは、クッションの上。
前足を揃えて座っている。
「……こいつは」
らんが腕を組む。
「自分が一番可愛いと思ってる」
「え?」
みことが首を傾げる。
「見てみ」
らんが言う。
スマホを取り出す。
カメラを起動する。
「うさらん」
呼ぶ。
すると。
うさらんが顔を上げる。
カメラを向ける。
ぴしっ。
姿勢が整った。
「……ほら」
「すご」
こさめが笑う。
らんが一枚撮る。
うさらんは満足そうに座っている。
「もう一枚」
ぱしゃ。
今度は少し首を傾げる。
「……モデル?」
なつが呟く。
さらに一枚。
今度は、前足を揃えてちょこん。
「可愛い……!」
みことが目を輝かせる。
みこりんも画面を覗き込む。
「お前、写真撮られるの好きなんだな」
らんが笑う。
すると。
うさらんは、すっと立ち上がった。
そして——
みことの前へ歩いていく。
「え?」
みことが驚く。
うさらんは、みことの膝に前足を乗せた。
「……」
「どうしたん?」
みことが優しく撫でる。
うさらんは目を細めた。
「……おお」
みんなが見つめる。
その様子を見たらんは、少しだけ呆れたように笑った。
「ほんと、誰にでも可愛いアピールするな」
すると。
うさらんが顔を上げた。
そして、らんを見る。
「……?」
少しの沈黙。
うさらんは、みことの膝から降りる。
ぴょん。
そして、らんのところへ。
「……ん?」
らんの足元まで来る。
そして。
ぽす。
足に体を寄せた。
「……」
らんは一瞬、何も言えなかった。
昨日、ペットショップで初めて触れたとき。
威嚇していたうさぎ。
猛獣みたいな目をしていた。
なのに。
今は、こんなにも近くにいる。
「……なんだよ」
しゃがみ込む。
そっと頭を撫でる。
今度は逃げない。
むしろ、もっと手に頭を寄せてくる。
「……可愛いな、お前」
ぽつり。
その言葉に、うさらんは嬉しそうに目を細めた。
「らんくん、めっちゃ甘やかしてる〜」
こさめが笑う。
「だって可愛いから仕方ないだろ」
らんは開き直った。
「お前、世界で一番可愛いと思ってそうだけどな」
うさらんの耳が、ぴんと立つ。
「……あ、今の絶対肯定した」
みんなが笑った。
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昼前。
そろそろ帰る時間になった。
玄関で、それぞれ荷物をまとめる。
みこりんはみことの腕の中。
ここさめはこさめの隣。
いるべあはいるまの足元。
すちもすは、最後まで眠そうだった。
つなまるは、なつの横で静かに待っている。
そして。
うさらんは、らんの腕の中。
「じゃあ、また学校でな」
なつが言う。
「うん!」
こさめが笑う。
「楽しかったな」
いるまも小さく笑う。
「またやろうや!」
みことが手を振る。
すちも頷く。
「……今度は、もうちょっと早く寝たい」
「お前が言う?」
らんが笑った。
みんなが外へ出る。
それぞれの隣には、それぞれの相棒。
昨日までは、別々だった。
拾った子も。
気づいたときからいた子も。
自分で選んだ子も。
でも今は——
六人と六匹。
同じ場所で笑っている。
らんは腕の中のうさらんを見下ろした。
うさらんは、相変わらず堂々としている。
「……お前さ」
頭を撫でる。
「ほんとに、自分が一番可愛いと思ってるだろ」
うさらんは答えない。
ただ、らんの腕の中で少しだけ胸を張る。
「……まあ」
らんは笑った。
「俺も、そう思うけどな」
うさらんの耳が、嬉しそうに揺れた。
春のような柔らかな風が吹く。
その風に、桜模様の耳がふわりと揺れた。
世界で一番かわいいと思っているうさぎ。
そして。
そんなうさぎを、世界で一番可愛いと思っている飼い主。
二人の帰り道は、いつもより少しだけ賑やかだった。
コメント
1件
いやもうね、朝からうさらんがみんなの布団を確認して回るところから胸がきゅんきゅんしすぎてやばかった😭💕 特に「撫でてほしいんじゃなくて俺から追いかけてほしい」ってらんが気づくシーン、天才かよ…! 写真撮るときにモデルポーズ決めるうさらんも可愛すぎるし、最後にらんの足にぽすっと寄り添うところで完全に涙腺ゆるんだよ。世界で一番可愛いって言い合える関係性、尊すぎて推すっきゃない🌸⋆♡