流行りのやつを小説で書いてみよ〜
の会
「あれ、先生が好きなやつじゃないですか?」
「先生に似合いそうですよね」
「あの時の先生、カッコよかったなぁ…」
「この前先生が〜…」
店長が前の街に戻ってからというもの、トピオさんは以前にも増して店長の話をするようになった。
最初は、思い出を懐かしむように、店長が好んでいたものやホットドッグ協会の話など、いろいろな話をしていた。
だが、次第に様子がおかしくなり始めた。
最近では、まるで店長がそこにいるかのように、虚空に向かって話しかけるようになっていた。
「あ、そういえばこの前、先生がヘリの特訓をしたいって言ってましたよ!」
店長がいた頃に見せていたのと同じ表情で、
もういない店長との『会話』を、嬉々として語る。
「僕が先生みたいになりたいです!って言ったら、『まだ早い』って言われたんですよ」
「……」
「まあ、確かにまだまだ先生の足元にも及ばないですけど。でも、もう少し褒めてくれたっていいと思いません?」
悲しんでいるのだから、今はそっとしておこう。
そう考えた自分が馬鹿だったと思っても、もう遅かった。
「……どうして、トピオさんは、店長の話ばかりするのですか?」
「もういない」という言葉は、自分の中で飲み込む。
この声掛けが、自分にとっての精一杯だった。
今、事実を突きつけてしまえば、 “店長”という存在で心を保っているトピオさんが、崩れてしまうかもしれない。
そう思うと、なかなか事実を言えずにいた。
「どうしてって……先生のことを話すのは、いつものことじゃないですか?」
「そう、ですか」
変わりのない、いつも通りのトピオさん。
それでも私には、その笑顔がトピオさんのものではないように思えてしまう。
トピオさんは868の大切な構成員。
大切な、うちの子。
私のような無機物とは違う。
その心は、 ほんの小さなきっかけで、簡単に壊れてしまう。
だから、私はこう答えるしかなかった。
「トピオさんは、店長が大好きなんですね」
トピは静かに元気に狂っていてほしい
流行りのやつを入れようとしたけど、これ入ってるか?
コメント
1件