テラーノベル
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とある夜。
冷たい風が頬を刺し続ける頃。
俺の玄関の前には、一つの扉と。
一匹の白狼が転がっていた____。
星導side
いや待ってくれ。なんだよ一匹の白狼が転がってるって!
取り敢えずその文章通りなのでこの白狼…こと、小柳くんを家に運び入れる。
変身するのも面倒くさいので、ほいっ、と小柳くんを担ぎ玄関を開ける。
思ってたより軽いな…。あの怪力はどこから…?
施錠もせずに靴を脱いでずかずか自宅に入っていく。
どこに置こっかな…まあソファーでいいや。衝撃が行かないように優しくソファーに置いた。
改めて小柳くんを観察すると、羽織の一部が赤く染まっていた。そういえば単独任務が入っていたような…。
…るべち記憶喪失だから分かんないっ!
治療はしようと簡易的な医療道具を詰め込んだ箱を持ってくる。
え〜、と包帯はどこだったかな。
ガサゴソガサゴソ探す。最近使う機会が無さすぎて忘れた。
漸く見つかったのですぐ見つかった消毒液と清潔なガーゼを持って小柳くんに近づく。
「お体失礼しまーす」
まず血がついた羽織を脱がす。うわ、ソファー洗濯しなきゃ…と思いつつ洗濯機に羽織を投げ込む。
次に服を脱がす。見たところ下半身は軽い擦り傷と切り傷だけだったので脱がさずに済んだ。
無駄に難しい和服を脱がし、洗濯機にぽい。あれ、洗濯機ってそのままでいいっけ……まあいっか。
傷口の血液はすでに固まっていて、止血は要らなかった。清潔なタオルで優しく血の塊を落とし、消毒液を浸したガーゼで傷口を拭く。拭いたとき少し体がピクっと動いた。寝てる間も痛覚は感じるんだな。
特に深い傷口は肩と腹の部位に大きく刻まれていた。どちらも小柳くんの致命傷となりかねる位置だから、そこだけ他よりも丁寧に包帯を巻いて処置してやった。きゃー!!るべち偉い!!!
「はぁ…ソファーどうしよ」
もう捨てるか?買ってから、まあ二年も経つし、いや逆に二年で、、?
よし決めた。この狼に買い替えてもらおう。
そこで寝てる小柳くんは放置して、洗面所の方に歩いていく。手前にある洗濯機のボタンを押すと、ごうんごうんと音を立てて中が回り始めた。…やべ、金具入ってたかも。もういいや知らね。
「…なんか人殺しの手みたいですね」
と笑いを含みながら言ってみた。小柳くんの血で真っ赤に濡れた手は、とてもグロテスクだった。
さてと、と沸かしていた風呂に入る。
小柳side
目が覚めると、妙に寒い感覚を覚えた。辺りを見回すと、なんだが見覚えがある家具。
嗚呼、そうか。星導の家か。
……確か…意識がなくなる直前に星導の家に着いたんだったか。
にしても寒い。と思い自身の体を見てみると。まあ、上裸、である。
あのクソ蛸服ぐらい着せろ。
だが、同時に巻いてある包帯も見れたので、プラマイゼロということで。
暫く経つと、湿ったものが床をぺたぺた歩く音が聞こえてきた。
「ふわ…さっぱり…、って起きたんですか。」
と髪をタオルで拭きながらこちらまで歩いてきた。
「起きちゃ悪いのかよ。」
「いいえ、でも小柳くんにとっては悪いことかと、ソファー弁償してくださいね。」
と満面の笑顔で言われた。え〜と、やっぱふかふかの座り心地が良くて〜、あ!もちろんでかいやつですよ、色は〜ん〜紫?いや黒でもいいかも…。と想像に浸っている蛸は置いといて、喉が渇いたので飲み物を取ろうと、上半身を起こそうとした。
「いッ…!」
「…なんで起きようとしたの?傷口見てないの?お腹と肩ですよ?逆になんで起きようと思ったの??え??」
「うっせ、変なとこで煽ってくんな。麦茶で。」
「了解です、2L持ってきますね。」
「お前に配慮というモンは存在しない訳?コップに注いでこい。」
「了解、ついでに服も持ってきますね」
「おう」
と変な茶番を挟みながら飲み物を持って来させる。ついでに服も持ってくるらしいから手間が省けた。
……行ったか?
横に置いてある無線をちらりと見る。その無線は伊波が作ってくれたもので、メールも送れる機能付き。
なんとか腕を動かし、無線を掴む。そして、
バギッッ、と握りつぶす。ごめんな、伊波。
確か発信機は戦闘中に壊したので、気にしなくていいだろう。
…この無線だったものはどうしよう。持ってさえいれば伊波が修理できるか…?
「小柳くん戻りましたよ……え、なんですかその鉄クズ?……無線じゃないですか、ライにすっげぇ怒られますよ?」
「…そん時はそん時だろ。それより服着せろ。」
星導は意味がわからない、という視線を俺に投げかけていたが、一つため息をつくと、飲み物を置き、俺に近づいてきた。
「背中あげますねッ…と、腕上げれますよね、自分で着てください。」
「へいへ〜い」
少し回復したのか結構動かせるようになったので、自分で着れた。
「…ふっ、あは、ははッははは!!!」
突然星導が大笑いし始めた。なんだ此奴狂ってんじゃね??
「ひいッ、はッ、やばい、お腹痛い、ははははッは!!!」
自分のきた服を見てみると、黒地のTシャツに白い文字が刻まれていた。
『快楽主義者』と。
「お前…まじでどこからこんなん持ってきたんだよ。これ買うよりもっといいの買えよマジで」
「いややっぱ?こういう時のために?持っとくもんですよね!」
「意味分かんねぇよ」
無線はソファーの上に置いて、麦茶が注がれたコップを持って口に運ぶ。
ぷはっ、生き返る。
少しの沈黙がつづいた。
「…ねぇ、小柳くん」
口開けたのは星導だった。
「んだよ」
重苦しくなってしまった空気に、音を乗せて。
「なんで俺の家、来たの?」
続きはおそらくある。
一旦ステイで
コメント
2件
続きが書かれることを祈って全裸待機します👀👀