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/ 神ですか?好きです。これから応援させてもらいます!

夜が寒くなってきたこの時に出されるとは……( ; ; )👏👏✨️
〜side伊波〜
「‥‥‥‥西側にお住まいの方々は積雪にご注意下さい。続いては‥‥‥‥」
「早くない?雪降るの。どうりで寒い訳だよ」
テレビを消してカーテンを開ける
曇る窓を手で拭く
すでに雨に混ざった雪が空から落ちて来ていた
「すげー。今年は雪降るの早いな」
窓を開けると、明らかに昨日までとは違う冷たさの空気を感じる
「雪だってよ、小柳。お前のいるところでも降ってんのかな?どう?見てる?」
雨雪はだんだんと白くなり、大きな結晶となりふわふわと舞い落ちて来る
手を伸ばし雪が手のひらに乗るとすぐに溶けて行く
小柳がいなくなって5年
もうこんなに待てたなら10年、20年だって待ってやる
「お前、こんなに長く空けるつもりで俺に『待たなくてもいい』とか言ったのかよ」
小柳をつつく気持ちで自分の胸をつついた
「お前は甘いね。俺はお前を手放すつもりはないよ?ずーっと待ってるからね」
次々と降る雪を見上げる
ふと下から小さな水音が聞こえた
ピチャピチャ‥‥
玄関先を覗き込む
白くなりつつあるコンクリートの上で何かが動いている
「まったく‥‥汚れて洗うのは俺なんだからな」
「なーぅ!」
そう言いながら門を開け、オトモを拾う
「‥‥‥‥ロウ」
名前を呟きながら体は駆け出していた
玄関の扉を開け、目の前で驚いている小柳に抱きつく
「小柳っ!!」
「うわっ!‥‥っ痛‥‥」
勢い余って小柳が尻餅をつく
それでも俺は小柳を離さない
「お前‥‥‥‥遅いよっ!」
「‥‥‥‥ただいま」
「‥‥‥‥お帰り」
「‥‥ん〜にゃうっ」
俺と小柳の間からオトモが顔を出す
「あ、ごめん」
「なーぅ!うぅ〜」
「痛ってーな!噛むなら伊波を噛めよ」
「二人ともびしょ濡れじゃん。早く中入ろう」
小柳はオトモを連れて風呂に入り、俺は洗濯物を回す
風呂から上がった小柳を見ても、出て行った時と変わらない
「‥‥お前俺の部屋に住んでない?」
「良いだろ別に」
「おい、物増やすなよ」
「和室にはこたつだろ?あったかいよ」
「そうだけど‥‥‥‥」
こたつに入ろうとする小柳の腕を引き寄せる
オトモが俺たちを見上げて鳴く
「俺の部屋で遊んでおいで。そこから出れるでしょ?」
「なーぅ」
ふすまに小さく開いた蓋付きの出口
オトモはテコテコと歩き、前足で蓋をチョイチョイと揺すって潜り、出て行った
「おい、勝手に作るなよ」
「便利だろ?あった方が」
「なんでもするじゃん。俺の居ない間に」
「5年もあったからね。有効に使わないと」
ベッドに座り手を繋ぐ
「この5年間‥‥毎日ずっと会いたかったよ、ロウ」
「‥‥ごめん。俺もこんなに長くなるとは思わなくて‥‥」
「良かった。5年が長いって感じてるみたいで。ロウの5年は俺の一週間くらいだとか言い出したら泣くところだったよ」
「そんな事言わないだろ。この5年の間だって‥‥」
言いかける小柳の身体を抱きしめる
「話は‥‥明日聞いても良い?」
「‥‥‥‥良いよ」
低く優しい声が心地良い
「待っててくれてありがとう」
その日
初めて小柳からキスをしてくれた
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