身体冷えてんだから風呂入ってきなーと背中を押され
気づいたらお風呂場。
服乾かしとくからこれ着ときなって渡されたのはもちろんローレンの服。
ばっと広げてみると華奢なはずなのにわたしの身体よりだいぶ大きくて少しドキドキ。
洗面台に置いてある使いかけのメイク落としと
どう見ても女性用の化粧水と乳液は見て見ぬふりをした。
『お風呂ありがとう』
かしてもらった服を着てタオルで髪の毛をごしごしと拭きながら部屋に戻ると
ぎょっとした顔でわたしの方を見てきた。
「お前、下は?」
『ズルズル落ちてくる。し、上普通に長かったからいいかなって。』
『見えないでしょ?別に』
「見えねーけどさあ…」
そういうことじゃねーんだよなあなんてブツブツ言いながら
吸っていた煙草を灰皿に押し付けた。
部屋は少し煙たくて臭くて、換気した方がいいと思ったけれど
普段から吸ってるなら今更かと思い何も言わなかった。
立ち上がったローレンはそのまま
お風呂のある方に歩いていって数秒後にはシャワーの音。
待っている間に髪でも乾かしちゃおうと思った瞬間に光る自分の携帯。
『もしもし?』
「もしもし。なんかしてた?」
『髪乾かそうとしてた』
「タイミング悪かったか」
ごめん、と謝る電話の主はもちろん刀也。
夜遅くに急に電話をかけてくる相手なんて刀也くらいしかいない。
ローレンが上がってくるまでなら大丈夫か、
とさっきまで座っていたクッションに腰掛ける。
『なんかあったの?』
「授業、メモ取れてない部分あったから都愛とってるかなって」
『多分とってる、んだけど今ちょっと無理かも』
刀也ってちょっとめんどくさいというか
わたしの人間関係に口うるさい所があるから
人の家にいるなんて言えず少し言葉を濁す。
案の定「なんで?僕はいま知りたくて電話したんだけど」
とチクチクする言葉を浴びせられる。
そんなこと言われてもメモしてない刀也が悪いじゃん
なんて言い返したら更にチクチクした言葉をぶつけられそうで
なんて言おうかと頭を悩ませていると
「都愛髪乾かしてねーじゃん、風邪引くぞ」
最悪のタイミングでローレンが戻ってきた。
電話の向こうから聞こえる「は?」と
誰と電話してんのとでも言いたげな顔の家主。
『ご、めん刀也また掛け直すね!?』
『てかメモ取ってない刀也が悪いから!じゃあね!』
慌てちゃって言わなくていい言葉もぶつけてそのまま通話をぶちりと切った。
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もしかして嫉妬展開!?え、好き え、好き(2回目)