2月14日、バレンタインデー。多くの人は好きな人にチョコレートを渡して楽しんでいるけど俺は2月14日になる度涙がでる。
ごめんな、不甲斐ない俺でごめんな。俺がもっとちゃんとしていれば今もお前と幸せに暮らせていたのかもしれないのに…
俺は2月14日を40回以上体験してきた。
俺がまだ小せー頃はバレンタインなんてものは知らなかった。でも高校にあがったころに一際目立つ彼女に恋をしたんだ。最初は無理だと思ったよ、でもなぁこれが、いけたんだよ。俺は高校2年の2月14日に彼女と付き合った。すげーだろ?
そこから毎年2月14日になると彼女から手作りのチョコをもらった。嬉しくてたまらなかったよ。彼女の作るチョコは本当においしくて、これから先も毎年食べられると思ったら涙が出るほど嬉しかった。それだけ俺にとっては彼女との2月14日は特別だった。
高校を卒業して俺たちは同じ大学に進学した。彼女との交際は大学を卒業するまで続いていた。俺たちは結婚まで考えていたんだ。本当に彼女のことを愛していたよ。もちろん、彼女も俺のことを愛していた。
だけど彼女のおやじさんは違ったんだ。俺は頭がいいほうではないし、顔も良くない。その割に運動もろくに出来ないし、ちゃんと職に就けるか、就けたところで生活が苦しくないか。俺のダメなところは探せば探すだけ出てくる。
でも、お互い諦めきれなかったんだ。本当に愛していたから。
「お父さん、何度言ったら分かるの?私はこの人のことを心の底から愛している。彼も同じよ。お願いよ…」
「ダメだと言ったらダメなんだ、お前のためなんだぞ?」
「お父さんが勝手に決めないでよ!」
「だからダメだと言っているだろう」
「私、この人との結婚を認めてくれないのなら……」
彼女のおやじさんに彼女の言葉はもう届かなかったさ。俺の言葉を聞く気などみじんもなくて。あの時めげずに何度も話していれば少しは変わっていたのかもしれない。
数週間後の2月14日の夜、彼女は帰らぬ人となった。
お前ら若造にとって2月14日はさぞ楽しいものだろう。俺だって楽しかったさ。本当に、楽しかったんだ…もう一度あの頃に戻りたいよ……
補足
2月14日はローマ皇帝クラウディウスが結婚を禁じたのに反抗して殺された、聖人バレンチヌスを祭る日に由来していると言われています。今回のお話とちょっと違うけど結婚沙汰で2月14日に帰らぬ人となったという事実は同じです。こういうの知ったら2月14日に簡単にはしゃげなくなっちゃいますね😉
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