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はるあきの反応が可愛かった‼︎
でっへへ(?あおちゃんの新作( ᐙ )うんうんうんうん、毎度晴が可愛い……0(:3 _ )~
第1話「迷子の転入生と、生徒会長」
春の光が、百鬼学園の正門を包み込んでいた。
重厚な門をくぐると、目の前に広がるのは手入れの行き届いた広い敷地。
整然と並ぶ校舎と庭園――どこを見ても圧倒されるほど美しい。
転入生安倍晴明は、思わず口を開けた。
晴明『……で、でっか……!?』
案内図を片手に右往左往。けれど、どっちに進めばいいのかさっぱり分からない。
通り過ぎる生徒たちは皆、制服のネクタイの色が違って見える。
(あれ、もしかして……上級生?)
声をかけようにも勇気が出ず、しばらく立ち尽くしていると――
晴明「どうしたの?迷ってるのかな?」
柔らかな声が背中から落ちた。
振り向くと、落ち着いた雰囲気の男子生徒が立っていた。
涼しげな笑みと、金の刺繍が入った制服。
切れ長の瞳が印象的で、どこか柔らかな色気を纏っている。
彼は明らかに、普通の生徒とは違うオーラを持っていた。
晴明『あっ……その、はいっ。教室がどこか分からなくて……!』
晴明「ふふ、初日から大変だね。君、転入生でしょ?」
晴明『はいっ、安倍晴明です!』
その瞬間、相手が少しだけ目を丸くした。
晴明「へぇ……なんか、名前似てるね。僕は“安倍晴明”って言うんだ」
晴明『えっ、ほ、ほんとに!? 似てるどころか、ほぼ一緒ですね!?』
晴明「うん。面白い偶然だね」
彼――安倍晴明は穏やかに微笑み、校舎の方を指さした。
晴明「君の教室はこの先を曲がって、階段を上がったとこ。すぐ分かるよ」
晴明『ありがとうございます! あの……案内してもらっ――』
晴明「大丈夫。もう僕は別の用事があるから」
そう言って、せいめいは颯爽と背を向けた。
風が彼のコートを揺らし、その姿は春の光の中に消えていった。
晴明『……なんか、すごい人だったなぁ』
ぽつりと呟きながら、晴明は地図を握り直した。
(同じ名前、しかもあの雰囲気……なんか、かっこよかった)
どうにか教室にたどり着くと、担任がにこやかに声をかけた。
担任「おっ、転入生の安倍くんだね。よく来たね」
晴明『はい!すみません、ちょっと迷っちゃって……』
担任「百鬼学園は広いからね。じゃあ早速だけど、全校集会があるから体育館へ行こうか」
晴明『え、あっ……はい!』
(つ、着いてすぐ集会!?)
慌てて教科書を抱え直す。
廊下を歩く途中、他の生徒たちが小声で囁いているのが聞こえた。
「Ωの転入生だって」
「ふーん、珍しいな」
「でも可愛い顔してんな」
……聞こえないふり。
それでも、胸の奥が少しだけ痛んだ。
(大丈夫。笑っていれば、きっと平気)
体育館の中はざわざわとした空気で満ちていた。
学年別に整列する生徒たちの列に、はるあきも加わる。
隣にいた金髪の男子がちらりと視線を送ってきた。
佐野「新入り?」
晴明『え、う、うん!今日から!』
佐野「……そう、」
短く答えるその声は低く落ち着いていて、クールそのもの。
けれど、不思議と冷たくはなかった。
(この人、静かだけど優しそう……)
そう思っているうちに、マイクの音が響いた。
「――静粛に」
壇上に立つのは、先ほど校門で出会ったあの人。
まさかと思って目を凝らす。
晴明「この学園の生徒会長、安倍晴明です。」
(や、やっぱり!?)
晴明「新学期が始まり――」
晴明の落ち着いた声が響く中、晴明はつい口にしてしまった。
晴明『あっ!朝、道案内してくれた人だっ!』
一瞬、周囲の視線が一斉に向く。
朱雀がぷっと吹き出し、隣で道満が小声で呟く。
道満「……なんだあいつ、バカなのか?」
佐野は無言で前を向いたまま、ほんのわずかに口角を上げた。
佐野「(面白いやつ)」
壇上の晴明は、一瞬だけ視線をこちらに向ける。
――そして、微かに笑った。
まるで、「覚えてるよ」とでも言うように。
(あ……やっぱり、かっこいい……)
春の光が差し込む体育館。
転入生・安倍晴明の新しい日々が、静かに幕を開けた。
いかがでしたか?
Ωとかがめちゃくちゃ好きな私、書きたくて書きたくて仕方ありませんでした。やっと構成が考えられてとうとう実行に移せたことに一人歓喜しております。
皆様に喜んで頂けたら幸いです。
次回も楽しみに待っててね♪