僕はこの場で新しい生命を授かった。
僕はこのたまり場で新しい夢を見た。
僕はこの学び場で新しい知識を得た。
僕はこの食事会で新しい料理を食べた。
僕はこの風呂場で新しい快感を得た。
僕はこの実家で父と仲を悪くした。
僕は程なくして父を亡くした。
何もかも失った。喪失感のお焼香。憔悴しきった顔の色。鳴り響く零時の時報。ふわふわ登るこの煙の様にいっそ、煙に巻いて旅立ちたい。お父さんのお供をしたい。
人生は得ることの方が多いが、失った時の方が多く感じる。大事にすればする程に、手の中から滑り落ちる感覚が長く、永く、そして強く、剛く感じるからなのかも、知れない。
いつか父に伝えたい。もう少しで、向かいますと。そちらに母と向かいます。と。
コメント
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ありがとうございます!(´▽`)