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裏五条
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#ダンジョン
リーさん
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夜鐘
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雨宮と水戸は人工島・ストウェアの地下へ向かい走っていた。
動力室があるのは地下3階であり、既に彼らは当該のフロアに到着していた。
「いやー。ごめんなさいね、川端さん! 再生した直後に全力疾走させて!」
「……いえ。これも私の不徳の致すところ」
「本当に、無理しないでください! 待機していて良いんですよ、川端さん!!」
そこに加わる川端監察官。
なにゆえ彼は先ほど両腕を叩き斬られたにもかかわらず、元気な2人に帯同しているのか。
「川端さんもあれでしょ? ね? キャシーのおっぱいにやられたんですよね? あ、違うジェシーだ! いやー、イギリスの女の子、おっぱい大きいですもんね! 仕方ないよ、川端さん! 私たち独身だし、別に悪い事してた訳じゃないんだしさ! おっぱいにむしゃぶりついて毒を仕込まれることもあるよ! ねぇ、川端さん!!」
「……水戸くん。私に名誉挽回の機会をくれ」
「心中お察しするに余りありますが、本当に無理しないでください!!」
川端監察官は寡黙な男。
だが、脳内では活発な議論が細胞たちによって行われていた。
「このまま報告が日本に伝わったら、私は生涯おっぱいジャンキーの業を背負う事になる……!!」と言う、かつてないほどの焦燥が彼を走らせている。
川端一真の武器はその鍛え抜かれた両足である。
かつては拳を用いた肉弾戦を得意としていたが、木原監察官が『ダイナマイト』を確立させたタイミングで彼はキック主体の戦闘スタイルに変更した。
監察官は8名。
上級監察官も加えると10名。
武器被りやキャラ被りはそのまま、イメージの低下、ひいてはイメージの消失へと繋がる。
現に、川端監察官は「存在感の薄い仕事人」と言うイメージが付いており、オマケにイギリスへの長期出張のため、月刊探索員で連載していた「川端一真の今月の一句」も打ち切りとなっていた。
「川端さんはどんなおっぱいが好きですか? あ、待って、待って! 当てちゃいます! ズバリ、ロケット型でしょ!? あ、黙ってるって事は、当たりだー! 分かるー!! 弾力と張りの両立って魅力ですもんねー!!」
このままでは、川端一真は「おっぱいジャンキー」以外の記録が残らない。
「……かぁっ!!」
「な、なんて煌気だ、川端さん! 両腕がくっ付いてまだ数十分なのに……!!」
川端監察官、命を賭した戦いの幕が開ける。
動力室の前に到着した3人は、中の様子を伺おうと気配を消した。
「……かぁぁぁっ!! 『裂空脚』!!」
「なにやってるんですか、川端さん!! いきなり突入はまずいですよ!!」
川端監察官には、なりふり構っている余裕などない。
喩え、勇み足になろうとも。もはや猪突猛進しかないのである。
「まさか、川端まで参戦してくるとはな。総員、構えたヤツから撃ち抜け」
「イエス、サー!!」
当然、待ち構えているのは7番。ロン・ウーチェンとアトミルカ2桁ナンバーたち。
彼らは『幻獣玉』を込めた煌気銃で川端を狙い撃ちにした。
「……ぬぅあぁぁぁぁっ!! ……なんの、これしき!!」
「川端さん!? 全身に『幻獣玉』が付着してますけど!? 8……9個も!!」
「うぉおぉぉぉおおぉぉぉぉぉっ!! ……私は、私は!! もう2度と!! 過ちは犯さない!! 女を見たら全力で逃げる!! ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
川端監察官、気合で『幻獣玉』の雨を弾き飛ばす。
精神が肉体を凌駕した瞬間であった。
「これは参った。察するに、これが日本人の大和魂と言うヤツか」
「ううん、違うよ? これは、おっぱい魂さ! さあ、川端さん! 私と一緒にイギリスの人工島でおっぱいと叫ぼう!!」
「違うんだ!! 私は、私は!!」
「そう! 私たちは!! おっぱいが大好きです!!」
雨宮によって、川端の気合が全て「おっぱいが要因のもの」みたいな空気になった。
「おっぱいへの情熱で『幻獣玉』を弾き飛ばしたヤベーヤツ」と言う認識を持ったアトミルカの2桁ナンバーたちは息を吞む。
「ジャパニーズはクレイジーだぜ」と恐れ慄いた。
「下がっていろ、貴様たち」
「7番様! 小官はお供いたします! この場の2桁で最上位でありますゆえ!!」
「いらん心配だ。その気持ちだけ頂いておこう。オレが何の準備もしていないと思ったか? 3番から預かっている新兵器がある。もう起動済みだ」
7番が煌気を込めると、彼の背中から圧縮されていた人形が飛び出す。
そして、その人形は7番と瓜二つの姿に変異する。
さらにそれが5体ほど、次々に生み出された。
「さあ、監察官諸君。この『人造人形』を相手にどう立ち回る? 言っておくが、この全てがオレと同じ実力を持っている。……ついでにオレは強いぞ?」
不敵に笑うロン・ウーチェン。
煌気を纏った同じ顔の戦士が5人、川端一真の前に立ちはだかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
アトミルカの3番は同組織の技術開発局長を兼務しており、『幻獣玉』も彼の発明である。
3名の監察官の前に並んでいる、煌気を一定量与える事で当人と同じ力量を持った自律兵士となる『人造人形』も、まだ試作機とは言え驚異的な兵器であった。
「……お二方。ここは私が」
「無茶ですよ、川端さん! どう見てもこの人形、1体がSランク探索員相当の力を持っています! それを同時に5体も相手にするなんて!!」
「そうだ、言ってやれ。若き監察官よ。お前はなかなか見所がある」
7番は余裕の表情を崩さない。
オリジナルのメンタルが『人造人形』に連動するらしく、5体の人形もいやらしく笑う。
「水戸くん! ここは川端さんに任せよう! 男には背負うものを捨てられない戦いだってあるんだよ! さあ、私たちは応援だ!! 精一杯のエールを送ろう!!」
「……感謝します。雨宮さん」
川端監察官の足捌きが閃く時。
「……つあぁぁっ! 『冷鬼首狩り』!!」
川端監察官は水スキルを得意とするが、そこから派生する冷凍スキルも彼の十八番。
人体の急所を的確に狙いすました蹴りは、対象の呼吸を止める。
「なるほど、見事なスキルだ。……だが、惜しい。そいつらはとどのつまり人形なのだよ、川端監察官。人形は気道を潰されようと、みぞおちを貫かれようと、痛みを感じない。つまり、急所を狙ったところで無意味だ」
それでも川端監察官は蹴りを止めない。
「……かぁっ! 『気突絶蹴』!! 『白金水連』!! 『凍える川の水鳥』!!!」
「す、すごいぞ、川端さん!! 人形が動かなくなりましたよ! 2体同時に!!」
「水戸くん! 川端さんは寡黙な人だから、無言で語ってるんだよ! 見てごらん、あの雄弁な背中を!! ほら、耳をすまして!!」
「す、すみません! 自分、弱卒なもので、分かりません!」
「よし、じゃあこの私が代弁して差し上げよう! 私がコールするから、水戸くんも続くんだよ? それが、それだけが川端さんの望みなんだ!!」
「すごく胡散臭いですが、了解しました!」
雨宮は満足そうに「うんうん!」と首を縦に振って、川端の代弁をした。
「おっぱいが好きだー! 私は何度辛い目に遭おうとも、おっぱいを裏切らないぞー! 見てろアトミルカ!! おっぱいの力を!! そぉれ! おっぱい! おっぱい!! はい、水戸くんも続けて!! 川端さんがせっかく乗ってるんだから!! 勢いを殺さないの!!」
水戸信介。
彼はその若さゆえに、おっさんの悪ノリを理解できなかった。
「お、おっぱい。おっぱい」
「ダメダメ! そんなコールじゃ、川端さんの情熱に火がつかないよ! さあ、もっと気合を入れて! おっぱい! おっぱい!!」
「お、お、おっぱい! おっぱい!!」
「「おっぱい! おっぱい!! 川端一真はおっぱいが大好き!! おっぱいがあれば何もいらない!!」」
コールが効いたのかは判然としないが、そののち川端監察官は鬼神の如き勢いで『人造人形』をなぎ倒していった。
あと、7番が普通にドン引きしていた。
コメント
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ああ〜っ第297話読み終わったよ!!😭💕✨ 川端監察官の「♡♡♡ジャンキーの業を背負いたくない!!」って焦り方が切実すぎて笑ったwww しかも雨宮さんの代弁コールでさらに泥沼にハマってく感じ、完全にコメディの神が降りてた…!!😇🙌 寡黙なイメージだった川端さんの内面の熱い葛藤と、人造人形5体を相手にした戦闘シーンもかっこよかった!! 何より7番がドン引きして終わったのが最高すぎた😂💖 次回も楽しみにしてます‼️