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<契約書>(ルール)
パートナーになった際に、NG行為、好きなこと、苦手なことなどをまとめて書き記し、お仕置き(躾)の仕方や褒め方なども記し、双方の同意のもとサインをして制作されるもの。なお書面にはせずとも一般的にルールは必ず示し、互いの同意を得る必要がある。
(若井side)
部屋に入った瞬間から、空気が違ってた。
元貴はソファに座ってて、珍しく、なにかを手元でいじってる。
小さなファイル。
見慣れないそれに目を奪われたまま、
「……ただいま」と言うと、元貴が顔をあげて、やわらかく笑った。
「おかえり。……ちょっと、話したいことがあるんだけど、いい?」
うなずくしかできなかった。
その声の奥に、なにか大きなものを抱えてる気配がして。
「これね、ふたりの“契約書”」
そう言って、元貴が差し出したファイル。
中には印刷された紙が何枚も綴じられていて、
その一番上に、「Dom/Sub パートナー契約における遵守事項」って書いてあった。
「……本当に、やるの?」
「うん。ちゃんと形にしたいと思って。
曖昧なままじゃ、若井が不安になるって……わかってたから」
指が勝手に震えた。
元貴はずっと、“それ”を察してくれてたんだ。
「これ、ルール一覧。お互いに確認して、加筆して……同意したら、署名しよ?」
差し出された紙を見た。
⸻
ルール
滉斗以外のSubを相手にしないこと
痛みを感じたらすぐ伝えること
Subとしての自分を恥じないこと(これは命令)
4.Collarは大切なとき以外は自由でOK
週に1度は“ふたりだけの時間”を必ず作ること
しんどいときは“助けて”って言っていい
寝落ちLINEは必ず返信すること(翌朝でも可)
無理なときは“NO”と言うこと、それも命令
笑顔を見せてくれること(努力目標)
「好き」は、いつでも何度でも言っていい
11.泣いてる顔も好きだから、無理に笑おうとしないこと
12.ライブ中、視線を合わせたら一度だけ笑い返してほしい
13.疲れた日は黙って膝に甘えてきてもいい(ノーカウント)
14.ファンの前では何も言えないから、楽屋で1回だけ手を握らせて
15.Subとしてじゃなく、若井として苦しいときも、ちゃんと教えてほしい
元貴からのルール:
・本当に俺がplayできない時は涼ちゃん頼ってもよし(結構嫌だけど!!!!!!)
・play中苦しくなったらちゃんとSafe word使って
・基本的にお仕置きしたくないから、あんま俺が怒ることしてほしくない!!!!!!
・たまに構えない時あるけど、嫌いになったわけじゃない
⸻
「……ふふ。元貴らしいね」
なんだか二人のルールの後半も元貴のルールっぽさがあったが…
緊張でこわばってた表情が、すこしほぐれた気がした。
元貴は、照れくさそうに笑った。
「ほら、若井の番。追加して」
俺は、手のひらが汗ばんでるのも忘れて、ボールペンを握る。
震える指で、何度も言葉を考えて……ようやく、書き出した。
⸻
若井からのルール:
・レコーディングのとき、褒めてもらえると頑張れるから、ちゃんと言ってほしい
・自分から「撫でて」って言ったら、断らないでほしい
・「頑張ったね」って、たまに言ってもらえると嬉しい
・寝る前の「おやすみ」は絶対にかわすこと(既読スルー禁止)
・Collarをつけたとき、ちゃんと見てくれるとうれしい
・お仕置きは痛いのはいや
・基本的に優しくしてほしい
・たまにメンタルぐちゃぐちゃになって死にたくなる時あるから、全力で甘やかして
・play中に『いや』とか『やめて』って言っても、続けて。ほんとに嫌ならSafe word言うから
・頭撫でてくれたらすげぇ喜ぶ
・……俺に飽きたら、他に移ってもいいよ
⸻
書いた瞬間、少し視界がぼやけた
でもその前に、元貴の手がすごい勢いで俺の手首を掴んだ。
「……いや、飽きるわけないんだけど!?!?!?」
「……っ」
真っ直ぐな目が、俺の泣きそうな顔を見つめる。
「なんでそんなこと書くの? おれが若井にどんだけ夢中か、わかってないでしょ?」
「……だって、怖いんだよ……。俺、Subだし。元貴、ドチャクソ忙しいし……いろんな人に頼られてて……」
「でもその中で、若井が一番、特別なの」
その声に、なにも返せなくて、
ただぎゅっと、元貴の胸に顔を埋めた。
「若井が俺を信じてくれたら、おれ、なんでもできるんだよ?
契約書なんてただの紙かもしれないけど──
これは、俺らふたりの、心を結ぶ婚姻届だから」
「……婚姻届……?」
「うん。書いて、出すだけじゃだめなの。
読み合って、納得して、信じ合って、初めて効力がある。
そういうやつ。おれは、そう思ってる」
涙がこぼれて止まらなかった。
「もう、なんなの元貴……ずるいよ……」
「Subの涙、Domにとっては最高のご褒美なんだけどなぁ」
いつもの冗談も、今だけは本気に聞こえた。
俺はようやく、笑った。
そして──ふたりで、契約書に署名した。
⸻
「これで、Sub Domとしても、ちゃんとパートナーだね」
元貴の声が、少し震えていた。
俺はうなずいて、そっと、自分のCollarに触れる。
今日からこのCollarは、
ただの飾りじゃない。
__ふたりの関係を示す、大切な誓いの証だ。
ちょっとつづく
最近Xの鍵垢でめっちゃ動いてます。
そこでしか見られない物語とかも書いてるので、是非遠慮なくフォロー申請してくださいね!
あ、でも自我しか出てないです!!キモ発言全然するので!愚痴とか!
コメント
6件
大森さんの大きな愛がめちゃくちゃ良く伝わって来た〜!🥰️独占欲強いけど所々で優しさがチラチラ覗いてて可愛い!若井さんは遠慮気味だけど実はすごい甘えん坊な所がハァァッって感じ‼️(??)他に移ってもいいよで何故か私も泣きそうになってしまったーー!若井さん愛されてること自覚していいんだぞ😭😢 え!Xやってるの!?良ければ繋ぎたいですヮ…👉🏻👈🏻︎ミセス用のアカウント作っとこ()
大森さん、結構若井さんのこと大事にしてるようなルール多めだけど、独占欲が滲み出ちゃってるのが良い💕 若井さんはとにかく甘えたで、大森さんに甘やかされたいんだなって、もう尊い🫶🏻💕でも最後の一文が悲しすぎる😭もっと、愛されてるって知ってほしい😭今回も神でした✨️