コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ここから後の成宮候補者へのインタビューは、選挙事務所の質疑応答室で個別対応を受け付けます。こちらにどこのテレビ局か報道会社―ああ・・名刺はこちらの箱に入れてください、名刺が無い所は受け付けません、折り返しインタビューのスケジュールをお送ります。ハイハイ・・秩序をお守りくださいね、順番に必ずインタビューの時間を設けますので」
紺色に黄色いネクタイのスーツの牧師和也が、キビキビと群がる報道陣をみごとに捌いて行く
和也の首にも北斗の選挙事務所のIDカードが、ぶら下がっている
さすが牧師だけあって和也の威厳に記者団も、大人しく一列になってインタビュー名簿に書き込んでいく
..:。:.::.*゜:.
「こ・・・これは・・・何の冗談だ・・・・ 」
鬼龍院が動画から目を外し喉の奥で唸った
「おのれ~~~っっ成宮北斗ぉ~~~どこまで私をバカにすればいいんだ・・・」
鬼龍院の顔は憤怒で赤らみ、額の血管は怒りに浮き上がっている
ずっと蓄積されてきた、北斗への恨みが込み上げてくる
「き・・・鬼龍院様・・・・お気を静めて・・・一杯いかが? 」
慌ててマダムが鬼龍院にワインを渡す、彼はそれを一気に飲み干し、そのままワイングラスを壁に投げつけた、ワイングラスは甲高い音を立てて砕け散った
「いつもいつも私の邪魔ばかりしおって・・・目にものを言わせてやるっっ」
鬼龍院は凄まじい形相で吠えた
佐原は目の前で怒り狂っている鬼龍院を見て、その驚きと恐怖にまったく身動きできず戦慄さえ覚えた
そして考えた
あの優しくて善良な北斗は、いったい鬼龍院に何をしてこんなに恨みをかっているのだろうと・・・・
..:。:.::.*゜:.
「ヤッホー!成宮陣営紹介の回よ!」
貞子が大きなマザーズバッグを抱えて、颯爽とリビングの母屋に入って来た
今はリビングのソファーとダイニングテーブルは、政治道具で山積みになっている
きゃーーー!「ももちゃぁ~~ん(はぁと)」
アリスが貞子の後に入って来た、ジンのお腹の前に抱っこ紐でぶら下がっている百子(4か月)を見て悲鳴を上げて駆け寄る、モチモチのグーのお手てに頬を摺り寄せる
ああ・・ももちゃん・・・私が取り上げた天使・・・
ジンは少々疲れた顔をしているが、とても幸せそうだった
へぇ~・・・「男性用の抱っこ紐なんてあるのね~」
「ああ!すっげぇ~便利だぜ!これを付けるのと付けないのでは、腰の疲れが全然違うんだよ!」
ジンが誇らしげに前かがみに百子を寝かせ、複雑な形の抱っこ紐のホルダーをプロテクターのように順番に外してみせた
「つけるのも外すのも大変そうね」
「ももちゃん抱っこしていい?」
明がふわふわの髪の毛の百子を瞳を、輝かせて見ている
「落とさないようにね~アキ君!」
「うん!ももちゃん!おいで~ 」
子供は子供が好きだ、アキの膝の上でキャッキャッはしゃぐ、百子をジンが心配そうに観察しているが百子はご機嫌だ、どうやら子供同士で通じるモノがあるみたいだ
「今日はもう一人協力な助っ人を連れて来たわよ!」
勝手口が開き貞子に手を引かれて、おどおどした男性が連れてこられた、クリーム色のアディダスのパーカーに紺のジーンズ
背は低く、ぽっちゃりしてて、髪の生え際が薄くなってはいるが、肌の張りからしてとても若い
「ほらほら!信夫!挨拶しなさい!私の弟よ!」
貞子が弟を励ましながら体を引っ張る
「で・・・でも姉さん・・・まだコメントのレスが終わってないんだ・・・少しだけスマホを・・・ 」
「ダメ!」
貞子がきっぱり言った
「約束したでしょう?北斗の選挙のSNSとメディア部分を手伝うって!」
貞子は信夫をダイニングテーブルに座らせ、厳しい顔で顔と顔を突き合わせた
「もう今日はあんたのSNSの事を考えるのはおしまい!今日はここまで!いいわね!頭を切り替えて! 」
「ああ・・わかったよ・・・姉さん・・・」
信夫はそう言って貞子に従ったが、スマホをじっと見ている、まるで念力でスマホの電源を入れる勢いだ