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「怠惰とはその者の本質を表す」その言葉を彼は知っている。自身の母から投げ掛けられた、恐らくだが遠回しな自身に対する愚痴だろう。だがしかし何故自身に直接的にそれを言わないのだろうか、甚だ疑問だ。そしてこんな事を深読みして時間を無駄にする自分を鼻で笑った、やる事はない。だが腰を上げてとぼとぼと宛もなく、外を歩く事にし始める。玄関先、靴が一組しかなかった。母はどうやら外出らしい….行く場所が在るのが羨ましいと彼は少しばかり思う。
「まぁ。歩いたら何とかなるよね..小さい事は気にしない気にしない。」視線を前にやると普通の扉がある。ドアノブに手を掛けて前に押す、それだけだ。
そう、思っていたのだが。ふと、ドアノブに手を掛ける直前で手がブレーキを掛ける。…なんだかめんどくさくなったのだ、これに例を出すなら最寄りのコンビニに何か寄ろうとした時だろう。だが彼と違うところは行く宛が無いのだ、まあ言ってみればどちらに共通する事は「めんどくさい」と言うことだろう。折角履いた靴も玄関口にきっちりと直してまたリビングの床に転がりこむ。
「怠惰じゃなくて目標が無いだけなんだよな~ハハ..」誰もいない事からのちょっとした愚痴を溢すと、彼は天井の蛍光灯に目をやる自分のつまらなさに焦燥感があった。陽にいえば将来を考えようとしているだろうか?自身がさっきふと止まった玄関口が自身の頭にぽっかりと一瞬うっすらと写った、仕方なしとまたさっきと同じ手順を踏む。
自身が止まったドアノブに今度は勢いよく手を伸ばした。本心は面倒臭さのあまり暴れまわってはいるがそんな事はお構い無しだ、手をクルッと回して外の情景を見る。やはり何の変哲もない、普通でしかない。
取り敢えず、暇潰しできる場所に行ってみることとした。道端に生えた苔は誰かにちょっかいを掛けられたのか少しばかり断面が見える。一瞬の哀れみを向けて、ただ前を向いてみる。人が前から来るが、「人だ」位にしか思わない。まぁ其れが多分普通。何の変哲もない答えだろう、捻りようがないし。
….暫く。歩いて見れば殆どが捻りようがない事実だが、少しばかりの疑問が自分に投げ掛けられる。
「結局何してる?」物思いに耽りすぎて本題を見誤ってしまった。これは只のお散歩では無いのだ、目標を探す為なのだ。だが考えようと考えようと何も成らない、「行動を起こすしかないのか。」と彼は一人問題に直面する、前を向いても横を向いても後ろを向いても上を向いても。何もないし、それで空からお金がバーンと降って億万長者。という訳にはいかない、そうだろう?やたらと面倒な税金も掛かるだろうし。
「なんか。アホらしくなってきた」眠たそうに目蓋を落とし、腕をキリリと伸ばす彼。その頭の中は家の中を淡々と移しこむ、最終的に行き着くのは気付けば家だった。
「あら。」ひょうひょうとした彼は少しばかり呑気にまたドアノブに手を掛けた。