この作品はいかがでしたか?
63
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82日目
まふゆが、旅行の事を少し教えてくれたよ。
電車で行くらしいけど…何処に行くんだろ。
後、何をするのかな……
出来れば旅行先でも曲を作りたいけどまふゆにダメって言われちゃった…まぁ、空気が悪くなっちゃうかもしれないし辞めておこうかな
その代わり帰ってきたら沢山作らなきゃ…
だから、今日も曲作りを頑張ろう、
奏
今日も今日とて曲を作る。
曲調はどれも暗くて、寂しい。
孤独感漂う曲しか生まれなかった。
もう全部ボツだ。
新しく作り直さなきゃ。
なのに……
『こんな時にスランプかな…、全然いい曲が作れないや……』
気分も曲も沈んで行くばかりだった。
メロディも何もかも上手くいかない。
こんな時に……困ったな、
なんて思いながら頭を抱えていると…突然、インターホンが鳴った。
この前頼んだカップラーメンが届いたのかと玄関の扉を開けた。
『はーい……!?』
「…奏、来たよ」
ビニール袋を持ったまふゆが立っていた。
『ま、まふゆ!?何でここに……』
「奏、健康な物食べてないでしょ。
……だから私が作ろうと思って」
そう言いながらまふゆはズカズカと歩いていってしまった。
『で、でも…やっぱり、悪いし……』
「大丈夫、…奏の方が大事だから。
それで旅行に行けなくなったら困るし」
『あはは…まぁ、それもそうだけど……
明日は望月さんも来るし…』
「でも作り置きももう無いんでしょ」
『う……』
図星を突かれ何も言えなくなってしまう。
「……家事は私がやるから、奏は休んでて。
…でも、曲作りはしないでね」
『わ、分かったよ……』
私はリビングの椅子に座り、スマホを見る。
最近のニーゴのコメント欄はどうなってるかな…と軽い気持ちで覗いてしまった。
【なんか、最近似たような曲ばっかじゃない?】
【イラストとかMVはいいんだけどねー、 曲がなんかねー】
【歌詞は好きだな深くて心地よい】
【メロディいまいち】
【飽きてきたな、】
【ニーゴだいしゅき♡Byおじさん♡ 】
【MV好きだな〜曲は…うん、、笑】
『あ……、』
まふゆや絵名、瑞希の担当する物は皆凄く褒めている。
でも、私の曲には……
『誰も、褒めてくれない…むしろ、飽きられて…』
嫌な汗が伝う。
……やっぱり、私なんか居なくても皆が居れば平気じゃないか。
だってコメント欄のみんなも遠回しにそう言っている。
『……もう、必要ないよね、』
嫌な不快感。
凄く気持ち悪い感覚。
そんな空間に私は居る。
それが、嫌だった。
ならもういっそ消えてしまおう。
そう思って椅子から立ち上がろうとした時__
目を覚ました。
嫌な汗と涙で全身びしょびしょだった。
『はあっ、はぁ……ゆ、め…?』
辺りを見回す。
そういえば、昨日寝られなくて睡眠薬を飲んだ気がする。
『……』
改めてニーゴのコメント欄を見る。
そこは、いつもと変わらなかった。
私も、皆の事も褒めてくれて、良い曲と言ってくれていた。
『なんだ…良かった、』
ホッとして私はベッドから立ち上がる。
きっと、まふゆが家に来たのもユメだったんだろう。
そう思いながらリビングへと向かった。
『何か食べないと…何を食べたら__』
ふと机に視線をやると、ラップに包まれたおにぎりを発見した。
『え…こんな物、あったかな……』
おにぎりをよく見ると、紫のリンゴの付箋が貼ってあった。
【これ食べて、元気にしてね まふゆ】
『ま、まふゆ……!?』
驚いて辺りを見回すが、もう誰も居なかった。
『来て、くれたんだ…』
おにぎりを1口食べると、まだ少し暖かかった。
『美味しい…っ、』
私は思わず涙を流してしまった
コメント
1件
夢でよかった😭 奏も救われてきて嬉しい、